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今月の潮流●北海道のGM栽培規制条例、隔離距離が焦点に
7月4日、北海道知事の諮問機関である北海道食の安全・安心委員会の専門部会が開かれ、GM栽培規制条例の細則が検討された。この中で、交雑防止の基準に「科学的に十分といえるデータや根拠がない」として慎重な姿勢を示す委員がいるなか、部会長の北海道大学大学院教授松井博和は、農水省の指針が定める隔離距離の2倍の安全策をとる案を示し、8月11日承認された。その際、隣接農家と220mしか離れていない北陸研究センターの試験栽培を意識したのか、300m以上としたイネの隔離距離について、袋がけなどをした場合は例外とする条件が付けられた。
7月13日、市民団体・北海道遺伝子組み換えイネいらないネットワークは、北海道農業研究センターが2007年から予定しているGMイネの野外栽培試験中止を訴え、申し入れを行った。2003年に野外試験をしたGMイネは、収量増という触れ込みが逆に減少するなど、計画のずさんさが目立ったことに加えて、GM栽培規制条例の細則を検討している段階で試験再開を発表したことで市民の反発を招いている。
表1 隔離距離案
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検討案 |
農水省の指針 |
イネ |
52m以上 (*) |
26m |
ダイズ |
20m以上 |
10m |
トウモロコシ |
1200m以上 |
600m |
ナタネ |
1200m以上 |
600m |
テンサイ |
2000m以上 |
1080m(**) |
*:出穂期を2週間以上ずらした場合。ずらさない場合は300m、農水省の指針では明示されていない。
**:農水省の指針がないため北農会データに基づく。
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