■2005年9月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
蝶の大幅減少はGM作物が要因

 過去5 年間にわたり蝶を調査している専門家が、オオカバマダラが75%も減少したのはGM作物が原因の1つだと指摘した。オオカバマダラは、メキシコから米国北部にかけて長い距離を移動する貴重な蝶として有名で、かつてコーネル大学の実験で、Bt毒素の影響を受けていることが指摘されていた。専門家は、米国で栽培されている除草剤耐性作物に使用される除草剤の大量撒布によって蝶の幼虫の餌が枯れることが原因だと指摘している。 〔Daytona Beach News-Journal 2005/7/5〕

オーストラリア産非GMナタネGM汚染

 オーストラリアから日本に輸出される非GMキャノーラに、GMキャノーラの混入が判明した。オーストラリア大麦評議会(ABB)による輸出時の検査で、バイエル・クロップサイエンス社の「Topas19/2」が微量見つかった。この事実は、生産地ヴィクトリア州政府もバイエル社も確認している。
 現在、同国ではニューサウス・ウェールズ州を除くすべての州政府でGMナタネの試験栽培は認められていない。ヴィクトリア州で以前試験栽培されたものが圃場外に広がったのか、カナダから輸入された非GMキャノーラに混入していたのか、いまだ原因は明らかになっていない。 〔Gene Ethics Network 2005/7/15〕

インドで干ばつなどに強いGMイネ開発へ

 インド・ハイデラバードにあるDRR(イネ研究所)は、米国コーネル大学が開発した遺伝子を用いて、干ばつ・塩害・低温に抵抗性を増したGMイネを開発することを明らかにした。この計画はすでにICAR(インド農業研究委員会)も承認しており、遺伝子の輸入も認められたことから、まもなく始まると思われる。〔The Hindu Bisiness 2005/6/27〕

釜石・博多港でもGMトウモロコシBt10検出

 農水省は、米国産トウモロコシの未承認GM品種混入検査を行ってきたが、7月13日に岩手県釜石港、8月8日には博多港で未承認Bt10(シンジェンタ社の殺虫性トウモロコシ)が見つかり、処分すると発表した。これでBt10の検出は7件になった。
 また、同省は7月20日に「2003年下半期以降スターリンク(バイエル・クロップサイエンス社のBtトウモロコシ) の混入は見られない」と発表した。スターリンクの検査は2000年から始まり、2003年上半期まで混入があった。

表2 Bt10 検出状況
   農水省発表の日   検出された日   発見された港   処分された量
1 6月1日 5月31日 名古屋      390トン
2 6月3日 6月3日 苫小牧      822トン
  (追加検出分)    6月16日 〃       1170トン
3 6月23日 6月23日 志布志      4170トン
4 7月6日 7月5日 苫小牧 1429トン
5 7月11日 7月11日 鹿 島 3880トン
6 7月13日 7月12日 釜 石 1277トン
7 8月4日 8月4日 博 多 7674トン


イラン政府がBtイネを承認、商業栽培始まる


 イラン政府は、ABRII(Agricultural Biotechnology Reseach Institute of Iran)の研究者が開発した殺虫性(Bt) イネを承認し、商業栽培が始まった。GMイネは、フィリピンにある国際イネ研究所(IRRI)から提供を受けた「香り米」を用いて開発され、1999年から温室内で試験が始まり、2004年に圃場試験が終了していた。イランは世界で初めてのGMイネ商業栽培国となった。〔SciDev Net 2005/7/18〕

アフリカの研究機関がスーパーソルガム開発へ

 南アフリカにあるアフリカ最大の研究機関CSIR(the Council for Scientific and Industrial Research)は、米国デュポン社の子会社パイオニア・ハイブレッド・インターナショナル社、ミズーリ大学コロンビア校などの協力を得て、5年間、1700万ドルをかけて、GMソルガムを開発する。ソルガムはトウモロコシの仲間で、アフリカでは多くの人々が主食にしている。しかし、栄養面で欠ける部分があるため、その成分を充足させた「スーパーソルガム」を開発するのが目的である。 〔ロイター 2005/7/5〕

●モンサント
モンサント社報告書の中身明らかに

 ドイツ裁判所より公開を命じられた、モンサント社のラットを用いた動物実験の中身が明らかになった。殺虫性(Bt)トウモロコシ「MON863」を90日間ラットに投与したところ、アレルギー性疾患、リンパ球の増加、貧血、血圧の変化、血糖値の増加、肝臓障害、腎臓障害などさまざまな影響が見られたという。しかしモンサント社は結果を巧みに操作して「健康には影響しない」という結論を導き出していた。 〔Institute for Responsible Technology 2005/7/11〕