■2008年1月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●豪州、2州政府がGM作物栽培モラトリアム政策中止


 11月24日、オーストラリアで総選挙が行われ、10年ぶりに保守連立政権から労働党政権への移行が決まった。GM作物推進一辺倒だった前政権の崩壊によって、各州政府で検討が続くGM作物栽培モラトリアム法の行方に変化が見られるかと思われたが、直後の11月28日、ニューサウスウェールズ州とヴィクトリア州政府が、GM作物栽培モラトリアム政策中止を決定した。
 この2つの州政府の決定によって、両州と共同歩調をとってきた南オーストラリア州もまた、中止に動く可能性が強まった。他方、西オーストラリア州とタスマニア州はモラトリアム継続の姿勢を打ち出している。(表参照)
 オーストラリアでは消費者はもとより、ほとんどの農民もGM作物に反対している。それを受けて、大手食品メーカーのグッドマン・フィールダーにつづいて、大手スーパーのコールズが、GM作物栽培解禁に反対を表明した。いずれも消費者の懸念に配慮したものである。実際に食品を扱う大企業が声明を出したことから、その影響が注目される。〔North Queensland Register ほか 2007/11/22〕


表1 オーストラリア州政府の動向
ヴィクトリア州
 「GM作物管理法」ナタネのみの規制、2008年2月29日期限切れ、継続せず。
ニューサウスウェールズ州
 「遺伝子技術法2003」綿は規制の対象外、2008年3月3日期限切れ、継続せず。
南オーストラリア州
 「GM作物管理法2004」あらゆるGM作物の商業栽培を禁止、2008年4月29日期限切れ、継続しない可能性強まる。カンガルー島など一部をNON-GM作物地域として残す動きあり。
タスマニア州
 「GM作物管理法2004」あらゆるGM作物の商業栽培を禁止、2009年11月16日期限切れ、継続の可能性強い。
西オーストラリア州
 「GM作物フリー地域法2003」あらゆるGM作物の商業栽培を禁止、2008年12月末期限切れ、継続の可能性強く、種子法を改正して栽培禁止強化の動き。
クイーンズランド州
規制法を持っておらず、GM綿を栽培している。他の州政府がモラトリアムを中止するとGMナタネ栽培に踏み切る可能性が強い。
ノーザンテリトリー(準州)
規制法はないが、2002年にGM綿の栽培を禁止、GMナタネ栽培に対して消極的な姿勢。