■2008年5月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子汚染
●北海道で農水省指針の20倍の距離で交雑確認

 北海道「遺伝子組み換え作物栽培の交雑防止条例」にもとづき行った「交雑試験」の調査結果が、2月13日に発表された。イネ、大豆、トウモロコシ、テンサイ、ナタネのうち、イネでは、600m離れた距離でも交雑が確認された。農水省指針の隔離距離はわずか30mであることから、その非現実性が浮き彫りになった。

●シュマイザー裁判、今度はモンサント社に事実上勝利

 カナダの農家パーシー・シュマイザーは、モンサント社のGMナタネに自家採種の畑を汚染されたにもかかわらず特許権侵害で同社に訴えられ、最高裁まで争った。結果は5対4で敗訴したが、その後、栽培をやめたナタネ畑の除去費用を求めてモンサント社を提訴し、このほど和解が成立した。事実上の勝利といえる和解の条件は、2005年にさかのぼり、汚染を取り除くための費用660カナダドルをモンサント社が支払うというものである。〔Newswire,Canada 2008/3/20〕

●ケニア政府が南アのGM汚染種子を輸入禁止

 ケニア政府は、モンサント社のGMトウモロコシ「MON810」に汚染されているとして、南アフリカからのトウモロコシの種子の輸入を禁止した。この禁止措置は、政府によって安全性が確認されるまでつづくことになるだろう、とケニア植物健康検査サービスの責任者チャゲマ・ケデラ博士は述べている。 〔Dairy Nation,Kenya 2008/3/30〕

●米国で除草剤耐性雑草が拡大

 米国アーカンソー大学とモンサント社は、アーカンソー州南東部で除草剤(ラウンドアップ)耐性雑草(Johnsongrass)の存在を確認した。またミシシッピー州立大学の専門家とモンサント社も、ミシシッピー州クラークスデール近郊で同じ耐性雑草を確認した。これまで交雑の可能性は温室内の実験のみだったが、これを受けて今年は野外での試験が行われる。 〔Monsanto,USA 2008/3/12〕

●メキシコのGM汚染深刻に

 北米自由貿易協定(NAFTA)締結から14年がたち、メキシコの農民の大半がGMトウモロコシの汚染に直面している。1990年代後半から不法栽培された結果、作物だけでなく原生種にまで汚染が拡大。生物の多様性や消費者の健康が危機にさらされており、不安が広がっている。 〔The McGill Daily 2008/3/30〕
●クローン
●FDA調査、消費者はクローン家畜食品を拒否

 これまで米国では、クローン家畜食品に関する複数の消費者調査が行われてきたが、結果はいずれも、消費者が拒否している姿勢を反映したものだった。今回、FDA動物用薬品センターによって調査・作成された内部リポートでも、消費者は、食肉はもちろん、ミルクや子孫も食べたくないという意向を示している。〔Center for Food Safety 2008/3/17〕
●北米事情
●米メイン州の町でGM作物栽培禁止条例可決

 米メイン州のモントヴィレが、GMOフリー自治体宣言に向けて動きだした。同町では年に1度タウンミーティングが開かれているが、2006年4月に開かれた会合で、市民がGM作物栽培禁止を求める条例を提案し、GM作物栽培農家に非GM作物へ切り替えることを働きかけた。そして、今年3月29日に開かれたタウンミーティングで、同条例を可決した。このような決定は、米国ではカリフォルニア州に次ぐものである。〔Northwest Resistance Against Genetic Engineering 2008/3/29〕

●米国でGMテンサイ栽培開始か

 米国でGMテンサイの栽培がまもなく始まろうとしており、カリフォルニア州などの家族経営の農家や環境保護団体に反対の動きが強まっている。栽培されるのはモンサント社の除草剤耐性テンサイで、これまではテンサイが原料の砂糖の消費先である欧州市場への販売が難しいとして栽培が見送られてきたが、ここにきてバイオ燃料ブームが起き、テンサイを原料にする動きが強まり、栽培の開始に至ったようである。日本では、飼料用に砂糖の絞り滓をシュガービート・パルプの形で輸入しているため、その影響は小さくない。

●ハワイでGMタロイモの試験栽培5年間禁止

 4月3日、ハワイ州下院農業委員会は、ハワイでのGMタロイモの野外試験栽培を5年間禁止する法案を可決した。農家や環境保護団体は全面禁止か10年間の禁止を求めていたが、短期間の禁止措置にとどまった。また、この法案では、タロイモ以外のハワイや熱帯地域固有のGM作物の研究は推進することが謳われている。〔The Honolulu Advertiser 2008/4/4〕
●欧州事情
●ルーマニアでGMトウモロコシ栽培禁止へ

 これまてEUではイタリア、オーストリア、ギリシャ、ポーランド、ハンガリー、フランスの6カ国でモンサント社のGMトウモロコシ「MON810」の栽培を禁止する措置をとってきたが、これにルーマニアも加わることが確実になった。3月27日、同国の環境省が検討を開始した。これまで欧州で栽培されたGM作物は、「MON810」のみであり、欧州からGM作物が消える可能性が出てきた。 〔Greenpeace International 2008/3/27〕

●GMナタネの種子は土の中で10年間生きつづける

 GMナタネの種子は、播かれたあとに土の中で10年間生きつづけることがわかった。ナタネは通常越年しないが、日本のような暖かい地域では越年・多年草化が見られる。これは極寒のスウェーデン・ルンド大学が行った研究で明らかになったもので、GMナタネ種子の監視・管理に新たな問題を突きつけたといえる。〔Nature 2008/4/2〕

●ドイツ、2つのGM作物の野外試験を承認

 ドイツ食品安全局は4月2日、2つのGM作物の野外試験を承認した。プランタ社のGMテンサイの試験栽培は、1万2000平方メートルの土地で2008〜11年の間行われる予定。BASFプラント・サイエンス社のGMジャガイモは、3万平方メートルの土地で2008〜12年の間行われる予定である。 〔ロイター 2008/4/2〕