■2008年7月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●スイス政府がGM作物栽培停止を継続

 スイス政府は、2013年までGM作物栽培停止の継続を決定した。同国では、2005年に行われた国民投票によって、5年間のGM作物栽培停止措置が可決されたが、それが延長されることになったもの。 〔Swissinfo 2008/5/14〕

●ポーランドが新たなGMO規制法を準備

 ポーランド環境省が、新しいGMO規制法を準備している。法案では、GM作物の栽培禁止は含まれていないものの、GM作物排除の方向性を示している。元環境大臣のJan Szyszkoは、この法律によってGMOフリーゾーンを可能にすると指摘している。ポーランドは、農業生産力が国内需要を上回る農業国であるが、EUによる割当制限で生産力は押さえられている。〔Polskie Radio 2008/5/20〕

●ドイツの大学がGM作物栽培試験を断念

 ドイツの2つの大学が、GM作物の野外での栽培試験から撤退することを決めた。その1つ、中部の都市ギーセンにあるジャスタスリービッヒ大学学長は、「一般の市民による大規模な反対がその理由である」と述べた。〔ネイチャー 2008/5/14〕
●北米事情
●カナダ国会がGM食品表示法案を否決

 長い間、カナダの消費者はGM食品表示を求めてきたが、今回それを制度化する「C-517」法案として国会に提出された。4月3日、5月5日の討論を経て、5月7日に下院は、156対101で同法案を否決した。 〔The Tyee 2008/5/26〕

●米国の過半数の消費者はGM食品を拒否

 米国の消費者の半数がGM食品を食べたくないと思っており、圧倒的多数の人が表示を求めていることが判明した。ニューヨーク・タイムズ紙やCBSなどによると、53%の人がGM食品を食べたくないと思っている。また、実に87%もの人が表示を求めている。これまで連邦議会でGM食品表示について議論されたことは1回もない。 〔Eco preneurist 2008/5/23〕

●食料危機をGMO促進に利用するブッシュ政権

 ブッシュ政権が、現在広がる食料危機を利用してGM作物の栽培拡大や売り込みを図っているとして、途上国から強い批判を浴びている。とくに食料危機対策として発表した7億7000万ドルの総合援助計画の中に、GM作物使用促進の文言が入っていたことに対して、アフリカ諸国から反発を受けている。〔Chicago Tribune 2008/5/14〕

●米国財団が支援する旱魃耐性キャッサバ開発

 マイクロソフト社のビル・ゲイツ率いるビル&メリンダ・ゲイツ財団が支援して、GMキャッサバ開発が進められている。開発を進めているのは、オハイオ州立大学リチャード・セイアー教授らの研究チームで、旱魃耐性の性質を持ち、アフリカで栽培することを目的にしている。 〔Voice of America 2008/6/2〕
●アジア事情
●パキスタンがBt綿導入か

 パキスタン政府の経済調整委員会は、Bt綿を導入するために食料・農業・飼料省が求めていた、モンサント社との技術協力を目的とした諮問委員会の設置を拒否した。しかし、モンサント社に協力を要請する趣意書草案は承認したことから、Bt綿導入に向け動き始めることになりそうだ。 〔Business Recorder, Pakistan 2008/5/8〕

●インドの民間機関が政府にBt綿の見直しを求める

 インド・デカン開発協会と多様性保護AP連合が、州政府と連邦政府に対して、Bt綿がおよぼす人間や動物への健康被害や土への悪影響について、科学的な調査を行うよう求めた。これらの組織はまた、インドでGM作物を承認している遺伝子工学承認委員会(GEAC)が、多国籍企業の息のかかった科学者に支配されていることから、連邦政府に対して、GM作物の承認をGEACに依らないよう求めた。 〔The Hindu 2008/5/11〕
●アフリカ事情
●ケニア、飢餓軽減にGM作物輸入を促される

 ケニアでは、価格高騰によってトウモロコシの輸入減少が見込まれている。東アフリカ穀物協会(EAGC)は、南アフリカのトウモロコシの収穫が6月から始まるため、そのGMトウモロコシを輸入し、不足を補うようケニア政府に促した。 〔Africa Science News Service 2008/5/21〕
●オセアニア事情
●オーストラリアでナタネ畑の1〜2%がGMナタネに?

 モンサント社のスポークスマン、アンナ・ホールは、オーストラリアで今年、同国のナタネ畑の1〜2%程度にあたる、1万〜1万2000haにGMナタネが作付けされる見込み、と述べた。〔Bloomberg 2008/5/7〕
 このような動きに対して、グリーンピースの働きかけに応え、同国のニール・ペリーやカイリ・フォンなど多くの有名シェフがGMOフリーを宣言した。同様の動きは広まりそうだ。 〔The Age 2008/5/29〕

●西オーストラリア州首相がGM作物に注文

 西オーストラリア州アラン・カーペンター首相が、GM食品の安全性が確認されるまで、オーストラリア全土で販売されているGM食品に表示を行うよう求めた。また、独立した機関による安全性評価の仕組みができるまで、連邦政府は新たにGM作物を承認すべきではないと述べた。 〔The Greens in Palerang 2008/6/2〕