■2008年8月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●中国でバイテク企業による種子独占進む

 中国を代表するバイテク企業オリジン・アグリテク社は、6月13日、新たに3種類のハイブリッド・トウモロコシと1種類のBt綿の種子を5つの州で販売すると発表した。政府はすでに、同社の68種類のトウモロコシと15種類の綿
の種子の販売を認めている。中国でも少数の大企業による種子支配が進んでいる。 〔Business Wire 2008/6/13〕

●インドのBt綿収穫地での羊大量死、原因未だ不明

 インド最高裁に遺伝子組み換え承認委員会(GEAC)のBhargava博士が呼ばれ、2006年4月アンドラプラデーシュ州で起きた、Bt綿収穫後に放牧した羊が大量死した事件について証言した。博士は、GEACとしては、硝酸塩と亜硝酸塩やシアン化水素(HCN)が高い割合で見つかっていることに加えて、有機燐化合物もいくらか残留しており、それらが原因と考えていると述べた。しかしBhargava博士がすでに発表している2つの報告書と州政府に提出した文書には、「硝酸塩と亜硝酸塩やシアン化水素(HCN)、アルカロイド、グリコシドは見つかっていない」と述べていた。事件はさらに薮の中に迷い込んだといえる。 〔The Hindu 2008/6/26〕

●インド・ケララ州政府がGM作物拒否を表明

 インド・ケララ州農業大臣のMullakkara Ratnakaranは、同州政府はGM作物の栽培を拒否すると述べた。その理由として、ケララ州が欧州に大きな販路をもつスパイスを守るためだとしている。 〔The Hindu 2008/6/15〕

●タイでGMイネ栽培か?

 タイの稲作協同組合が、政府に対して、海外の投資家によってGMイネが栽培されている可能性があるとして調査を求めた。もしGMイネが栽培されれば、タイの農業に大きなダメージを受けることになる。この背景には、海外の投資家による土地買い占め問題があるようだ。 〔Bangkok Post 2008/6/23〕

●米国・フィリピン政府が農業協定に調印

 米国のエド・シェーファー農務長官と、フィリピンのアーサー・C・ヤップ農業大臣は、農業分野の貿易と投資に関する協定に調印した。フィリピンは、アジアで初めてGMトウモロコシを栽培した国であり、2009年には耐虫性のナスの商業栽培を開始しようとしている。さらに、ウイルス抵抗性のパパイヤと栄養強化米の商業栽培を目指しており、GM作物拡大を目指す米国にとって、よきパートナーになりつつある。 〔USDA 2008/6/24〕
●アフリカ事情
●アラブ世界初、エジプトでGM作物承認

 エジプトが、アラブ世界で初めてGMトウモロコシの栽培・流通を承認し、波紋を広げている。エジプト人でブラジル大学教授のナジブ・ナッサールは、「エジプトの固有品種の終焉であり、モンサント社による支配の始まりである」と述べた。 〔Intellectual Property Watch 2008/6/16〕

●ウガンダのGMバナナ実験失敗

 ウガンダで行われていた細菌抵抗性バナナの実験が失敗した。このGMバナナは、ウガンダなどで問題になっているスス病菌による斑点病への抵抗性を付与したとされていた。しかし、実際の実験では抵抗性を示さなかったようである。 〔New Vision Online 2008/6/17〕

●南アフリカがGM作物栽培時の環境アセスメント義務化へ

 南アフリカ共和国で、環境保護法の大幅改正が行われることになり、政府が草案を示した。それによるとGM作物の栽培には環境アセスメントが義務づけられ、違反した場合には重い罰金刑が科せられる。このニュースを伝えた新聞は、これからはGM作物がもたらす野生生物への影響やスーパー雑草に焦点が移行する、と述べている。 〔The Star 2008/6/11〕
●オセアニア事情
●GMナタネ収穫をむかえ、混入を危惧する豪州

 AGHA(Australian Grain Harvesters Association)が、ナタネの収穫時期が近づいたことから、GMナタネの混入に強い懸念を表明した。GMナタネの栽培に踏み切った農家はまだごく少数であるものの、非GMナタネに混入する危険性は強まっている。 〔The Land 2008/6/10〕

●旱魃耐性小麦をめぐり対立深まる

 オーストラリアのビクトリア州で試験栽培中の旱魃耐性GM小麦について、同州首相のJohn Brumbyが6月17日、BIO国際コンベンションで、従来の品種に比べて収量が20%多かったと報告した。それに対して環境保護団体は、従来の品種の改良で対応できるはずであり、その開発目的は特許の取得にあると批判した。 〔Business Wire 2008/6/17〕
●欧州事情
●リトアニア最大のスーパーがGM表示を導入

 リトアニアで最も大きなスーパー・チェーンの1つ「Rimi Lietuva」が独自にGM食品表示を導入する、と発表した。 〔The Baltic Course 2008/6/3〕

●ルーマニアとスイスでGM作物引き抜かれる

 世界遺産に登録されているルーマニアのドナウデルタ地域で、モンサント社のGMトウモロコシが不法に栽培されていたため、生物多様性に対する脅威だとして、環境保護グループが共同で、このGMトウモロコシを引き抜いたと発表した。 〔Greenpeace Romania 2008/6/10〕
 また、スイスと英国の企業が共同で開発し、スイスのチューリッヒ近郊で栽培試験が行われていたGM小麦も、6月13日、何者かによって引き抜かれた。〔Swissinfo 2008/6/13〕

●GM作物は有機作物を駆逐する

 スペイン・アウトノーマ・デ・バルセロナ大学の環境科学技術研究所が行った調査によると、同国で広がるGMトウモロコシが、有機栽培のトウモロコシを脅かし、その栽培面積を縮小させていると結論づけた。また、GM作物と有機作物との共存は難しいとも述べている。 〔Universitat Autonoma de Barcelona 2008/6/26〕