■2008年12月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●GMO汚染
●米国で除草剤耐性スーパー雑草拡大

 米国では、除草剤耐性作物の拡大に伴い、除草剤を散布しても枯れないスーパー雑草が広がっている。すでにジョージア州やノースカロライナ州で見つかっている、耐性のあるパルマーアマランス(ブタクサの一種)がアーカンソー州でも確認され、環境悪化が深刻な状況にあることが示された。 〔Delta Farm Press 2008/9/25〕

●GMOフリー
●ペルーとエクアドルがGMOフリー宣言へ

 米国政府やモンサント社などによるGM作物売り込み攻勢が激しさを増すなかで、GMOフリーを目指す国も出てきた。ペルーのアントニオ・ブラック・エグ環境大臣はこのほど、ペルーをGMOフリー国家にすると、議会での演説で述べた。その理由として、GM作物は生物多様性を奪い、人々の健康を脅かす。GMOフリーによって遺伝資源は守られ、有機農業が広まり、競争力が増す、としている。 〔Living in Peru 2008/10/3〕
 またエクアドル政府は、国民投票による「野生動物保護憲章」採択を目指している。憲章では、野生動物に対し「存在する権利、進化の過程で構造・機能を維持し、世代交代を行う権利」を付与し、それを阻害するGM作物を禁止するなどの権利を政府にもたらす、としている。 〔OpEd News 2008/9/26〕

●南米事情
●GM大豆栽培を阻止するパラグアイ農民

 パラグアイ・サンペドロ県の農民が、ブラジル人農園主が所有する農地の入口を封鎖して、胡麻やユッカなどの農作物の作付けを開始した。これは農園主がGM大豆栽培を行おうとしていることに抗議して始めたもので、農民たちはパラグアイ人による領土権の復活を目指したものだと述べている。 〔Latinamerica Press 2008/10/9〕

●シンジェンタ社がGM作物試験栽培地を返還

 スイス・シンジェンタ社とブラジル・パラナ州の小作農との間でつづいてきた紛争は、2人の農民の死をもたらし、最終的にシンジェンタ社が撤退することで決着した。パラナ州政府は10月14日、シンジェンタ社の撤退を発表すると同時に、試験栽培地の用途について、同州固有の品種を生産し、その種子を自然災害で被害を受けた農民や貧困にあえぐ地域に提供する、と発表した。〔Amnesty International 2008/10/22〕
●欧州事情
●トルコのGMO規制法案への批判強まる

 EUへの加盟を目指しているトルコ政府は、このたびGMO規制法の草案を発表した。法案は大学や一部の研究者、企業などの協力を得て作成されたもので、EUの規制に沿っておらず、首相に提出する前に十分に議論されてこなかったため、専門家や市民の間から、GM農作物の栽培や輸入、消費に道を開くものだと批判されている。 〔Turkish Dairy News 2008/10/6〕

●チャールズ皇太子が多国籍企業を強く批判

 英国のチャールズ皇太子が、インドでGM 作物栽培が農民を自殺に追いやっていることにふれて、多国籍企業を強く批判した。「グローバル化が進むなかで倫理的に許されないことであり」「世界の食糧供給を誤った方向に導いている」とした上で、「倫理のない商売であり」「人間性のない科学である」と述べた。〔The Independent 2008/10/5〕

●ハワイ郡議会がGMコーヒー豆とGMタロイモ栽培禁止

 ハワイ島のヒロ郡議会が10月9日、GMコーヒー豆とGMタロイモの栽培禁止措置を決めた。島の農家も積極的に支援しており、法案は郡議会の全会一致で承認された。コーヒー農家は、GM品種が栽培されれば汚染が広がり、毎年2500万ドルの収益を島にもたらしている特産コナ・コーヒーの市場価値が下がり、打撃を受けると懸念している。
 またワイメアとコナ両郡議会は、住民とテレビ会議を開き、GMコーヒー豆とGMタロイモの栽培禁止を州議会に求めることを決定した。〔Honolulu Advertiser 2008/10/10 ほか〕

●カリフォルニア州郡部でGM作物規制条例可決

 米国カリフォルニア州レイク郡の郡政執行者評議会で、GM作物規制条例が3対2で可決成立した。評議会は賛成・反対両方の立場の団体から意見を聞き、3時間半かけて議論した上で裁決した。〔Lake County News 2008/10/10〕

●米国ニューメキシコ州先住民が種子主権宣言

 米国ニューメキシコ州の先住民が、伝統的に受け継いできた品種がGM作物によって汚染される可能性が強まったことから、種子、農業、食文化を守るため、種子主権宣言を発表した。宣言では、郡政府や州政府に対して、GMOフリーゾーンを設置するよう求めている。〔GENET 2008/10/23〕
●アジア事情
●パキスタン政府がモンサント社に多額の補助金

 パキスタン政府がモンサント社に、年間2億4700万ドル(190億ルピー)の補助金を支払うことを検討している。今後10年にわたり、モンサント社が開発したBt綿の種子を販売し、同国の種子会社に技術移転をする間、この補助金を支払い続けるという。
〔The News International 2008/10/23〕