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ニュース
●アフリカ事情
●ケニアの農民団体がGM作物受け入れ政策に抗議
ケニアのウイリアム・ルト農相は、GM作物受け入れのため積極的に動き、2008年バイオセーフティ法を示し、9月には国家バイオテクノロジー受け入れ戦略を開始した。これに対して同国農民団体の間で抗議活動が起きている。この法律が、GM作物がもたらす飢餓、貧困、健康破壊から国民を守ることができず、多国籍企業に利益をもたらすだけであるというのが、その理由である。そのため農民団体では、対案を用意し、それを政府が受け入れるように迫っている。
〔Dairy Nation 2008/10/16〕
●エジプトで安全性未確認のままGMトウモロコシの栽培開始
エジプトで安全性の確認がないままGMトウモロコシの栽培が開始された。栽培は、モンサント社から種子の提供を受けて行ったもので、栽培した品種は「MON810」である。しかし、同国にはカルタヘナ議定書国内法がないため環境への影響評価が行われず、しかも種子登録制度もないまま作付けされたことから、国際的な批判が起きている。
〔Business Today 2008/10/1〕
●オセアニア事情
●ヴィクトリア州政府、GMOフリー自治体と対決姿勢
オーストラリア・ヴィクトリア州政府は、GMOフリーを宣言した地方自治体の決議を拒否する姿勢を示し、両者の間で軋轢が強まっている。同州でこれまでGMOフリーを宣言した自治体は、Greater
Bendigo、Yarra Ranges、South Gippsland、East Gippsland、Moreland、Bass Coast
と増え続けている。〔Weekly Times 2008/10/22〕
●遺伝子組み換え作物
●イリノイ大学が2,4-D耐性ブドウ開発
米国イリノイ大学が、除草剤「2,4-D」に耐性を持つ新しいブドウ品種「Improved Chancellor」を開発した。除草剤「2,4-D」は米国でトウモロコシや小麦などの栽培に広く使われているが、ブドウは除草剤に敏感で枯れてしまうため、これまで使えなかったという。〔University
of Illinois 2008/10/14〕
●ケニアに売り込まれる旱魃耐性作物
米国コロラド州およびカリフォルニア州で、旱魃耐性GMナタネ、トウモロコシの栽培実験が行われている。カナダのPerformance Plants社が開発したもので、4〜5年以内の商業化を目指している。通常の品種と比べて、水不足の状態でも40%増の収穫が見込めるという。野生種との交配を危惧する声もあるが、開発した研究者はその可能性は極めて低いと述べている。同社はケニアのNGO、Africa
Harvest Biotech Foundation Internationalとの合意文書に署名しており、ライセンス料なしでこの技術の使用を認め、普及に努める予定だという。
〔The Guardian 2008/10/8
●クローン
●欧州ではクローン家畜は受け入れられず
EUの行政組織である欧州委員会は、クローン家畜食品に関する政策を決めるにあたって、27カ国2万5000人におよぶ大規模なアンケート調査を行い、10月9日に結果を発表した。それによると、クローン動物の長期的な影響が未知だ84%、倫理的に問題がある61%、生物多様性を奪う63%、食料への応用を認めない58%、であった。また、食品の表示を求めた人が83%いた。〔ロイター
2008/10/9〕
●ES細胞
●万能細胞からの生殖細胞作成解禁で合意
ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)などの、いわゆる「万能細胞」から精子や卵子を作り出すことを、文科省の作業部会は認める方針で合意した。10月17日に開かれた作業部会では、作成を解禁するという基本方針は早々に決まったものの、その先をどうするかで委員の間で大きく意見が分かれた。作り出した精子と卵子を受精させることを認めるか否かである。東大医科学研究所教授・中内啓光は、「いくら形の良い精子や卵子を作ったとしても、受精させてみなければわからない」と述べ、受精まで認
めるよう主張。それに対して複数の委員から反対意見が出され、慶應大医学部教授・須田年生は「そこを認めてしまうと、次の(受精卵を)体内に戻すことも考えなければならないので、当面受精は禁止でいいと思う」と語った。結局、時間内に決着は付かず、継続審議となった。いずれにしても、当初万能細胞にかけられた厳しい縛りは、徐々に緩められる方向に行くことは間違いないようだ。
●ヒトES細胞研究、二重審査見直しへ
10月30日に総合科学技術会議生命倫理専門調査会が開かれ、ヒトES細胞の研究指針に定められている二重審査を見直すよう、文科省に提言することで合意した。現行指針では、新たにES細胞を作り出す樹立研究と、すでにあるES細胞を用いる使用研究の双方とも、研究機関内の倫理委員会と国による二重審査を行わなければならない。これに対して専門調査会は、樹立研究の二重審査はそのままだが、使用研究の審査を大幅に緩和し、いくつかの条件はあるものの、機関内審査のみで行えるようにする方針を打ち出した。今後、文科省の専門委員会で検討し、見直し案を専門調査会に答申することとなる。
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