■2009年3月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●ラウンドアップの新たな毒性が判明

 除草剤耐性作物に使われる除草剤のラウンドアップに、新たな問題が判明した。フランスの「遺伝子工学に関する独立研究・情報委員会」によれば、ラウンドアップは製造方法を変更すると、胎児のへその緒、胎盤の細胞死をもたらすことがわかった。実験は、4種類の異なる製造方法のものを用い、通常の残留レベルで行われた。〔Committee of Independent Research and Information on Genetic Engineering 2009/1/5〕

●GMナタネの収量、非GMナタネを大きく下回る

 オーストラリア・ヴィクトリア州で作付けされたGMナタネが、非GMナタネに比べて収量が大幅に減少していた。これは同国の穀物研究開発会議が明らかにしたもので、同州5カ所で試験栽培を行い、渇水と霜の害により3カ所の実験は失敗したが、残り2カ所(ホーシャム、フォーブス)の収量は、GMナタネが1ヘクタールあたり0.7トン、非GMナタネが0.8トンだった。通常、種子代、特定の除草剤など費用のかかるGMナタネが利益を上げるためには、16%収量を上げなければならない。〔Western Australian Business News 2009/1/16〕

●モンサント社がステアリドン酸含有大豆を開発

 モンサント社は、次世代のGM大豆として開発したステアリドン酸含有大豆を用い、90日間ラットに投与する実験を行い、「安全」という実験結果を発表した。ステアリドン酸は不飽和脂肪酸であるオメガ3脂肪酸の1つで、サプリメントによく含まれるEPA(エイコサベンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)の前駆体である。日本ではすでに、昨年より野外での栽培試験が行われている。 〔Nutra Ingredients 2008/12/19〕

●北米事情
●米国はGMO輸入に対して無防備

 米国農務省監査局は、GM作物の輸出大国である米国が、輸入に対しては無防備であると警告した。今後増えていく可能性があるGM動物食品などに対しても、規制する手段を持っておらず、米国だけがこの分野で取り残されかねない、と指摘している。 〔ロイター 2009/1/14〕

●米国でGM綿の栽培面積が2年連続減少

 米国での2008年のGM綿栽培が、中南部を中心に2年連続で減少したことが明らかになった。減少の原因と考えられているのが、除草剤が効かないスーパー雑草と害虫の拡大で、アカザ科のスーパー雑草は綿の畑だけでなく他の畑をも浸食している。米国の全綿栽培面積の90%近くを占めるGM綿の多くは、Bt菌を導入した殺中性作物だが、標的以外の害虫が増大し、殺虫剤の使用量が増加している。こういったことから年々費用がかかるようになり、2009年には従来の非GM綿のコストを上回ることが確実になった。 〔Delta Farm Press 2009/2/5など〕

●アジア事情
●インドの医師団体がGM作物栽培停止を求める

 1月14日、「食とバイオセーフティのための医師たち」というインドの著名医師による団体が、GM作物の野外での栽培試験をすべて停止するよう求め、インドの承認機関である遺伝子工学承認委員会の建物の前に訴えを掲げた。 〔Express Buzz 2009/1/15〕

●GMナスの安全性に警告

 インドで承認間近とされている殺虫性(Bt)ナスが、安全とはいえないとする報告が出た。発表したのはフランスの「遺伝子工学に関する独立研究・情報委員会」で、Btナスは人間や動物の健康に深刻な被害をもたらしかねず、商業栽培を禁止すべきだと結論づけている。
 インド最高裁判所は政府に使者を派遣して、栽培の一時停止(モラトリアム)を求めていた。この科学的知見を受けて、政府も商業栽培のモラトリアムに向けて動き始めた。しかし、モンサント社のインド現地法人マヒコ社は、研究・開発を継続しており、政府もその動きを止めようとはしていない。 〔CNN-IBN 2009/1/30〕

●インドでGM綿農家の自殺者増加

 2007年、インド農民の自殺者が1万6625人だったことがわかった。マハーラーシュトラ州がその4分の1を占め、とくに同州ビダルバのバギー村など「白い黄金」と呼ばれる綿花栽培地帯に集中している。自殺の原因は、種子代の高額なGM綿がコストの増大を招いたことに加えて、生産量が落ち、質も落ち、綿の価格が暴落したため、借金が膨らんだことによるものと見られている。 〔The National Newspaper 2009/1/20〕

●オセアニア事情
●ニュージーランドの野外栽培で規則違反

 ニュージーランド・カンタベリーで行われたGM作物野外栽培試験で、安全上守らなければならない規則違反が2つあったことが明らかになった。これを受けて、有機食品団体の「土壌と健康協会」は、現在リンカーンで行われているアブラナ科GM作物の野外試験中止を求めた。 〔3 News 2009/1/13〕

●アフリカ事情
●ブルキナファソでGM綿の商業栽培始まる

 1月8日、モンサント社は、西アフリカにある最貧国の1つブルキナファソで、商業栽培用のGM種子を販売したことを明らかにした。販売したのは、Bt綿の「ボルガード2」。同社の研究者ジョン・グリーンプレートによると、ブルキナファソ政府が昨年6月にGM種子の使用を承認したのを受けて、11月に9000haの農地に作付けされたという。農家は、収穫後に種子代を支払うことになっている。 〔ロイター 2009/1/8〕

●ウガンダでGMキャッサバ野外試験栽培へ

 ウガンダ・ナムロングにある国立作物資源研究所が、GMキャッサバの野外試験栽培を、バイオセーフティ委員会に申請した。研究所では、温室内で12種類のGMキャッサバの実験をしていたが、その内10種類が病気への抵抗力がなく、抵抗力があったのは2種類だけだった。その2種類を野外で栽培して評価するのが目的だという。 〔The News Vision 2009/1/6〕