■2009年3月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●GM汚染
●インドでGMイネ汚染起きる

 モンサント社のインド現地法人のマヒコ社が開発したGMイネが、インド・ジャルカンド州でGM汚染事件を引き起こしていた。これは市民団体ジーン・キャンペーンが発表したもので、汚染を引き起こしていたのは殺虫性(Bt)イネで、野生種からGM遺伝子が見つかった。同団体によると、マヒコ社は試験栽培で守らなければならない規則違反を繰り返していたという。ジャルカンド州は、オリッサ州やチャッティスガル州と並ぶイネの原生地で、多様な品種が育っている地域にあるため、生物多様性への影響が懸念されている。〔Gene Campaign 2009/1/20〕

●韓国で食品からGM大豆検出

 3月2日、韓国の消費者団体「グリーン・コンシューマー・ネットワーク」は、ドンウォン・ホーム・フーズが製造・販売している大豆製品から、GM大豆が検出されたと発表した。昨年10月に購入して検査したもの。韓国では、非意図的混入の場合3%まで混入が認められている。いずれも3%未満のため違法ではないが、団体は、韓国食品医薬品局に検査結果を報告するとともに、より詳細な調査を求めた。 〔The Korea Times 2009/2/3〕

●ドイツで蜂蜜からGM大豆遺伝子見つかる

 ドイツ『エコテスト』誌が行った検査で、蜂蜜24製品中11製品からGM遺伝子やその断片が見つかった。その多くがラウンドアップ耐性大豆由来のものだった。蜜蜂が大豆の花を好まないことから、この結果は意外なものだった。なおもっとも混入率が高かったのは、カナダ産ナタネ由来製品だった。 〔Okotest 2009/1/2〕
●企業動向
●ビル・ゲイツ財団がGMバナナなどの開発に資金提供

 ビル・ゲイツ&メリンダ財団は、食料関連等に351億ドルを寄付しているが、新たに540万ドルをドナルド・ダンフォース植物科学センターに寄付すると発表した。今回の寄付金は、アフリカで作付けされるGMバナナ、イネ、ソルガム、キャッサバなどの開発のために用いられる予定になっている。それに対して、技術評論家などから、アフリカの人たちをモルモットにしかねない、という批判が起きている。 〔St.Louis Post-Dispatch 2009/1/7〕

●シンジェンタ社の利益、前年比25%上昇

 モンサント社と並ぶグローバル・バイテク企業のシンジェンタ社が、モンサント社同様、この間大幅に利益を増やしていることが判明した。食糧危機をバネに、2008年の1年間の利益が13億9000万ドルに達し、前年比25%も上昇した。同社は、2009年にも10%台後半の上昇幅を狙っていると述べた。 〔ロイター 2009/2/6〕
●コーデックス委員会
●コーデックス委員会でGM食品表示の審議再開

 コーデックス委員会の食品表示部会で、GM食品表示の審議が再開される。部会では1993年からGM食品表示の指針づくりが進められてきた。しかし、いっこうに進展せず、2008年5月に開かれた部会では、米国から審議中止の提案が出され、メキシコ、カナダ、アルゼンチンなどの国や産業界がこれを支持した。これにEUが反対、ノルウェー、マレーシア、ブラジル、日本などがそれを支持した。結果、辛うじて審議が再開されることになった。だがその際、従来の「指針」から、より拘束力の弱い「提言」へと変更された。今年5月の表示部会での議論が注目される。
●iPS細胞
●日本生殖再生医学会、万能細胞から作製の生殖細胞で受精卵まで容認をアピール

 産婦人科医や基礎医学の研究者らでつくる日本生殖再生医学会は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などの万能細胞からの生殖細胞作製について、精子や卵子を作りだすだけでなく、それらを受精させて受精卵とする研究まで容認すべきだとする見解を1月24日付でまとめ、対外的にアピールを行った。この件に関しては現在、文科省の作業部会が審議中で、生殖細胞の作製までを容認し、受精卵を作ることは当面禁止とする基本方針をすでに固め、報告書のまとめに入っている。日本生殖再生医学会の見解は、作業部会が決めた基本方針に真っ向から異を唱えるものである。
●ヒト胚
●ヒト胚作製容認の報告書まとまる

 1月26日、文科・厚労の合同専門委員会が開かれ、研究目的でのヒト胚の作製を認める報告書がまとめられた。内容については、生殖補助医療に関する研究目的に限り、新たにヒト胚を作りだすことを認めるなど、前号で報告した素案からとくに大きな変更はない(2009年2月号参照)。これによって、合同専門委員会以前の議論も含めると3年4ヵ月にわたって検討されてきた課題に、一定の方向性が示されたことになる。今後、内閣府の総合科学技術会議に諮問し、答申を得た上で文科・厚労の両省は指針の策定に入る。