■2009年7月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





























バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●欧州委員会、ポーランドのGMOフリー政策容認

 欧州委員会は、ポーランドのGM作物栽培禁止政策を受け入れた。この政策は、農家がGM作物を止める権利があると主張し、政府が支持して施行された。GMOフリー政策は、66%の国民が支持しており、欧州委員会とは8年間議論が続いていた。 〔Polskie Radio 2009/5/29〕

●GM栽培禁止措置をめぐるモンサント社の訴え、高裁が棄却

 5月28日、モンサント社が、ドイツのGMトウモロコシ栽培禁止措置に対して訴えていた裁判で、高裁にあたるニーダーザクセン州裁判所は訴えを棄却した。5月4日にブラウンシュバイク市地裁で敗訴し、モンサント社は上告していた。この栽培禁止措置は政府の権限の範囲内である、というのが棄却理由である。 〔Forbes 2009/5/28〕

●ラトビアがGM作物栽培禁止へ

 5月13日、ラトビアのGMO管理会議は、GM作物に関する14の提案に対して賛否を問う投票を行った。その結果、事前の評価を前提にGM食品の輸入・販売は承認されたが、国内でのGM作物の栽培は禁止されることになった。 〔The Baltic Course 2009/5/13〕
●南米事情
●GMトウモロコシが全土に広がるメキシコ

 GMトウモロコシの流入・GM汚染の防止に失敗した結果、GMトウモロコシ独自のタンパク質の発現がメキシコ中を覆っていると、メキシコとカリフォルニア大学デーヴィス校の研究者が発表した。この報告は、5月29日付「Public Librery of Science オンライン」に発表された。研究者は、生物多様性や原生種の保護が求められており、そのための政策に役立つことを期待する、と述べている。〔University of California, Davis 2009/6/1〕
●アジア事情
●ウズベキスタンでGM作物開発へ

 ウズベキスタン・カシュカダリヤ州都カルシにある同国科学アカデミー遺伝学・実験生物学研究所・遺伝学研究センターがGM作物開発に乗りだした。開発が予定されているのは、高収量ジャガイモなどである。〔Central Asian News 2009/6/2〕

●高額なGM種子代に苦しむフィリピン農家

 4月30日に最終日を迎えた、フィリピンで開催されたGMトウモロコシをテーマにした社会経済研究フォーラムで、フィリピン・バナイ島西ヴィサヤ地方カピス州での調査事例が報告された。それによると、同州の57%の農家がGMトウモロコシを栽培しているが、高額な種子代で借金が増え、7.10%の利息を支払っており、生活が苦しい、という指摘であった。〔The News Today 2009/5/11〕

●大豆市場開放で、油糧市場はGM大豆製品になった中国

 中国はWTOに加盟した2001年以降、大豆市場を開放し、その結果、現在では世界最大の輸入国となった。それに合わせて同国の穀物市場は徐々に、ADM、ブンゲ、カーギル、ルイ・ドレフュスといった穀物メジャーや外国資本に席巻され、約100ある大手油糧企業のうち約60が、なんらかの形で外国資本の支配下にある。それらの企業に輸入される大豆は、ほとんどがGM大豆であり、いまや中国産大豆油の大半がGM食品であるとされる。〔PR-Inside 2009/5/25〕
●北米事情
●米国でGMテンサイ作付けをめぐり激しい議論

 米国コロラド州ボールダー郡で、6人の農地所有者が空き地にGMテンサイを栽培したいと、郡委託委員会に求めたのがきっかけで、GMテンサイをめぐって激しい議論が闘わされている。特に強く反対しているのは有機農家である。栽培希望者は960エーカーに作付けしたいと述べているが、有機農家のグループは、除草剤にも枯れない「スーパー雑草」が拡大して、環境が破壊されると主張している。 〔The Denver Post 2009/5/28〕

●GM企業がハワイ議会選挙に現金攻勢

 現在、ハワイ州ではGM作物の試験栽培が盛んに行われており、影響が懸念されることから、環境保護団体、有機農家、先住民がGM作物栽培禁止を求めて州議会に働きかけている。それに対してハワイ大学の研究者とバイテク企業で構成されるGMO推進派が、ハワイ州議会議員選挙で、18人の現職すべてに資金を提供したことがわかった。この現金攻勢が学問の中立性を奪うとして、批判が強まっている。 〔Honolulu Weekly 2009/5/20〕
●遺伝子組み換え作物
●米加豪の小麦生産者協会、GM小麦推進へ始動

 米国・カナダ・オーストラリアの小麦生産者協会が、GM小麦導入に向けて協力して取り組むことを決めた。5月14日、三協会は、GM小麦推進のために反撃に転じる、という内容の文書に調印した。三協会がとくに求めているのが、旱魃耐性と窒素をより効率よく利用できる品種である。 〔ロイター 2009/5/14〕
 これに対して、小麦の流通を一手に扱うカナダ小麦局は、海外市場がGM小麦を受け入れていないとして、GM小麦導入に反対する、との見解を述べた。同局のスポークスマンは、除草剤耐性小麦や耐病性(フザリウム病耐性)小麦が消費者から受け入れられておらず、また、現在のところGM小麦を非GM小麦と隔離する方法がない、と指摘した。 〔ロイター 2009/5/15〕

●トリプトファン高蓄積イネ、栽培試験へ

 独立行政法人の農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所が、6月下旬より2011年3月まで、研究所内の隔離圃場でトリプトファン高蓄積イネの野外栽培試験を行うことを発表した。このGMイネは、健康食品として期待して開発されながら米粒がわずかしかできないなど、思ったような成果が出ず、飼料用に変更された経緯がある。今回は改良型で抗生物質耐性遺伝子を使っていないが、飼料用のイネを用いている。〔作物研究所 2009/5/20〕