■2009年8月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





























バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●拡大する除草剤耐性雑草15種類に

 GM作物栽培地域で、除草剤耐性作物に使用される除草剤に耐性をもつ雑草(スーパー雑草)が拡大している。2001年に初めて、耐性をもつヒメムカシヨモギが報告されたが、それ以降増え続け、現在は15種類に達している。米国に多いスーパー雑草は、パーマーアマランス、アカザの仲間のwaterhemp、普通のブタクサ、オオブタクサ、ヒメムカシヨモギである。 〔Agweek 2009/6/8〕

●寡占がすすむ除草剤ラウンドアップによる環境破壊

 除草剤耐性大豆が大豆の70%を占めるようになり、除草剤ラウンドアップの使用量が莫大な量になっている。ラウンドアップの主成分グリホサートの2010年の使用量は90万トンに達すると見られる。その結果、地球上の大地はこの一種類の農薬づけとなり、生物多様性への影響が懸念され、食の安全が脅かされる、と環境保護団体が指摘した。 〔Live-PR 2009/6/5〕

●ラウンドアップの危険性をめぐり論争激化

 ラウンドアップの主成分グリホサートが、人間の細胞、とくに胎児の胎盤とへその緒の細胞を殺す可能性があることがわかり、その危険性を指摘した研究者らと、開発メーカーなどとの間で論争が起きている。ラウンドアップは世界でもっとも使われており、GM作物の拡大に伴い消費量が増加しているため、その影響が懸念されている。 〔Environmental Health News 2009/6/22〕

●「枯葉剤」に耐性をもつGM大豆

 米国ダウ・アグロサイエンス社が開発し、現在ブラジルで試験栽培が行われている除草剤耐性大豆が、環境保護団体から「暗黒の時代への逆戻りの一歩」だと批判されている。このGM大豆は、除草剤2,4-DとHaloxyfop R に抵抗力をもつが、2,4-Dが、かつてベトナム戦争で枯葉剤として用いられたことから、この表現が用いられた。2,4-Dは発がん性も疑われている。〔GM Freeze 2009/6/12〕

●新型インフルエンザワクチン導入GMトウモロコシ

 米国アイオワ州立大学は、新型インフルエンザのワクチン遺伝子を導入したトウモロコシ開発を進めている。このトウモロコシを豚の飼料や人間の食品とすることで、インフルエンザを予防できるとしているが、次々と変化するウイルスに対応するのは難しいとする指摘もある。 〔Iowa State University 2009/4/30〕
●遺伝子組み換え昆虫
●インドで不妊に組み換えたGM蚊の実験

 英国オキシテク社によるGM蚊の実験が、インドで承認された。デング熱とチクングンヤ熱を抑制するのが目的。不妊にした蚊を放つことで、ウイルスを媒介する蚊の数を減らそうというもの。この蚊は、オックスフォード大学の研究者によって開発された。チェンナイ(マドラスのタミル語名)の近くパダパイにある、国際バイオテクノロジー・毒性学研究所で実験は行われる。〔The Hindu 2009/6/19〕
●モンサント
●モンサント社が野菜の種子開発に乗りだす

 6月23日、モンサント社とドール社は共同で、ブロッコリー、ホウレンソウ、レタスなどの野菜の種子開発に乗りだすと発表した。これまで穀物を中心に開発を進めてきたモンサント社が、新たな分野への進出を開始したものとして注目されている。 〔ロイター 2009/6/23〕

●モンサント社が大規模な合理化

 モンサント社が、大規模な合理化に着手した。原因は、ラウンドアップの特許が9年前に切れ、ダウ・アグロサイエンス社やシンジェンタ社などのライバル企業が競合品を販売し、同社のシェアを侵し始めたからだという。モンサント社はこれから、ラウンドアップ事業にかかわる900の仕事と、4%の人員を削減する予定である。〔St.Louis Post-Dispatch 2009/6/24〕

●モンサント社所有鉱山が環境汚染

 米国EPA(環境保護局)は、アイダホ州南ラスムッセンにある、モンサント社が所有する鉱山が連邦並びに州の水質基準法に違反していると発表した。鉱山では、ラウンドアップ(有機燐系除草剤)の原料として用いる燐酸塩を採掘している。 〔The Associated Press 2009/6/26〕
●北米事情
●モンサント社のGMアルファルファ栽培停止継続

 米国の第9巡回上訴裁判所は、モンサント社の除草剤耐性アルファルファの環境影響評価が終了するまで栽培停止を命じた第一審の判決を支持し、同社の上告を棄却、栽培停止継続を求めた。このGMアルファルファは2006年にいったん栽培されたが、翌年から栽培はされていない。 〔ロイター 2009/6/24〕

●カナダの農家のGM小麦推進派は9%

 カナダ小麦生産者協会がGM小麦推進を求めたことを受け、カナダ小麦局はGM小麦について、西部の農家1300人を対象に聞き取り調査をした。GM小麦推進に賛成した農家は9%にとどまり、大半の農家が反対または慎重な姿勢を示した。 〔ロイター 2009/6/26〕