■2009年9月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●企業動向
●モンサント社がGM小麦開発本格始動

 モンサント社はこのほど、4500万ドル(約43億円)を投じてバークレー・シード社の穀物研究開発部門ウエストブレッド社を買収した。この買収によって同社は、旱魃耐性小麦や、窒素有効利用、高収量の品種開発に向けて本格的に動き始める。世界戦略を担当するモンサント社カセール上級副社長は、買収の主目的がGM小麦を今後10年以内に市場に出すことにある、と述べている。 〔Grain news 2009/7/14ほか〕

●バイエル社が豪州の研究機関とGM小麦開発で提携

 このところGM小麦をめぐる動きが活発だが、モンサント社と並ぶバイオ企業、独バイエル・クロップサイエンス社も、世界各国の研究機関と連携を強める戦略をとり始めた。このたびオーストラリアの研究機関の連邦科学産業研究機構(CSIRO)と、小麦の新品種の共同開発で正式に合意した。旱魃耐性などの品種開発が加速するとみられる。 〔Bayer Crop Science 2009/7/21〕

●モンサント社、新世代GMナタネ開発まもなく開始

 モンサント・カナダ社はまもなく、除草剤耐性で高収量の新世代GMナタネ開発を始める。さらに、旱魃耐性や窒素肥料の効率を高める能力を持つ品種開発がつづく、と発表した。 〔Winnipeg Free Press 2009/7/28〕

●ブラジルとドイツの企業がGMサトウキビを共同開発

 ブラジル・サトウキビ技術センターと独BASF社が、8月4日、旱魃耐性サトウキビの共同開発に合意した。このGMサトウキビは、10年後の商業化を目指すとしている。旱魃に耐性をもつことで、これまで1ha当たり80トンだった収量を100トンまで引き上げることができるという。 〔ロイター 2009/8/4〕

●北米事情
●米国の2009年穀物栽培状況、GMOの割合は微増

 米国農務省が2009年米国の穀物作付け状況とGM作物の栽培状況を発表した。トウモロコシの栽培面積は1%増加して3521万haとなり、遺伝子組み換え作物の割合は2008年の80%から85%に増加。大豆栽培面積は2%増加して3136万haとなり、GMOの割合は2008年の92%から91%に減少。綿の栽培面積は4%減少して366万haとなり、GMOの割合は2008年の86%から88%に増加した。〔USDA 2009/6/30〕

●穀倉地帯に、独占禁止法に基づく調査入る

 司法長官の代理調査官が、穀倉地帯で、連邦反トラスト法(独占禁止法)に基づく調査を開始した。GM作物や食肉加工品・精肉などを対象にしており、モンサント社の本社があるセントルイスなども訪れている。〔The Wall Street Journal 2009/8/8〕

●オセアニア事情
●オーストラリアで青いバラ商業栽培承認

 オーストラリアの遺伝子技術規制局は、フロリジーン社が開発し申請していた、GM青いバラの商業栽培を承認した。このバラはペチュニアの遺伝子を導入して花の色を青くしたもので、同じ手法で花を青くしたカーネーションが先行して栽培・販売されている。バラはカーネーションと異なり挿し木で増殖するため、環境へのリスクが大きくなる。フロリジーン社は、2003年に日本のサントリー傘下となっている。〔The Chemical Engineer 2009/6/30〕

●オーストラリアでGM小麦実験開始か

 オーストラリアで、来年から耐塩性小麦の実験が始まりそうである。このGM小麦は、アデレード大学とオーストラリア植物機能ゲノミクス・センターが共同で開発したもので、実験では実際に塩分に抵抗力があるかを見ることになる。 〔Stock & Land 2009/7/29〕

●モンサント社、南オーストラリア州への攻勢強める

 モンサント社は、GMナタネ栽培の一時停止(モラトリアム)を継続している南オーストラリア州政府に対し、解除を求めてロビー活動を活発化している。現在、オーストラリアでは、ヴィクトリア州とニューサウスウェールズ州でGMナタネの商業栽培が始まり、西オーストラリア州では試験栽培が進められている。同社は、他の州で成果が上がったとして、次の標的を南オーストラリア州に絞ったようだ。〔Australian Broadcasting Corporation 2009/7/30〕

●欧州事情
●仏政府、欧州食品安全庁のGM作物安全評価を拒否

 フランス環境大臣と農業大臣は、欧州食品安全庁(EFSA)によるGMトウモロコシを安全だ、とする報告を拒否する声明を発表した。2008年12月に満場一致で欧州環境相理事会がリスク評価方法の変更を求めたにもかかわらず、EFSAが食品としてのリスク評価を変えなかったことを批判したもの。
 このGMトウモロコシ(モンサント社の「MON810」とバイエル・クロップサイエンス社の「T25」。現在欧州では「MON810」のみ栽培されている)は、欧州委員会が承認する一方、各国で栽培禁止措置を執り、3月に欧州環境相理事会で禁止継続が承認されている(93号参照)。〔Agence France Presse 2009/7/4〕

●米国からの輸入品に、EU未承認GMトウモロコシ混入

 8月3日にEU未承認のGMトウモロコシの混入が判明したため、EUの商社が米国からの大豆輸入を停止させていると、ワシントン駐在のEUスポークスマンが6日発表した。混入していたのは、モンサント社の「MON88017」(除草剤耐性×殺虫性)、シンジェンタ社の「MIR604」(殺虫性)。いずれも日本では承認されている。 〔Forexyard 2009/8/7〕

●アフリカ事情
●エチオピアでバイオセーフティ法成立

 エチオピア議会は懸案だったバイオセーフティ法を可決・成立した。同法は連邦政府環境保護局(FEPA)によって作成され、人間や動物の健康、生物多様性の保護などを目的にしており、その成立を環境保護団体や消費者団体が強く求めていた。 〔Capital 2009/7/30〕