■2009年9月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●GM汚染
●GMテンサイが販売用の土に混入

 米国オレゴン州で、一般家庭向けに販売されている土にGMテンサイが混入していたことが判明した。繰り返されるGM作物の管理体制の不備に、住民の不信感は募っている。 〔The Organic & Non-GMO Report 2009/7/1〕
 そんなこともあってか、コロラド州ボウルダー郡食料農業政策協議会は、一般市民を交えた討論の結果、予定していたGMテンサイ栽培に反対する意向を表明した。〔Colorado Daily 2009/7/30〕
●遺伝子組み換え動物
●米国のGM豚が中国に贈られる

 米国ハーバード大学で誕生した4頭の遺伝子組み換え豚が、中国四川省人民病院に贈られた。このGM豚は臓器移植用に開発されたもので、同病院臓器移植センターで、猿への移植実験が試みられる。〔Shanghai Daily 2009/7/4〕
●遺伝子組み換え作物
●2種類の殺虫毒素に耐性を持つ虫を確認

 特定の害虫へ効くように殺虫毒素を組み込んだ、殺虫性作物に対する耐性害虫の拡大が大きな問題になっている。その対策の一つとして、2種類の殺虫毒素遺伝子を導入した作物が開発されている。しかし、このたびアリゾナ大学のブルース・タバシュニクらの研究チームが、2種類の殺虫毒素に耐性を持つ虫を実験で確認し、その出現の可能性を示した。複数の抗生物質に耐性を持つ多剤耐性菌の出現と同様の事態が起きることが予測される。 〔Nature 2009/7/6〕
●省庁動向
●GMパパイヤ承認へ

 食品安全委員会は6月4日、GMパパイヤを安全と評価した。パブリック・コメントを経て、まもなく承認される見通し。このGMパパイヤは、パパイヤ・リングスポット・ウイルスへの抵抗性をもつ品種であり、遺伝子には同ウイルスの弱毒遺伝子を導入している。1998年からハワイで栽培が始まり、これまで何回か日本市場への違法輸入が発覚している。また、長い間データが不備だとして安全確認が進まず、さらにはオランダの研究者によって「アレルギーを引き起こす可能性が高い」と指摘されている。このまま承認されれば、初めて生で食べるGM食品が食卓に登場することになる。

●7ヵ月ぶりに万能細胞からの生殖細胞作製を検討

 7月31日、文科省の「ヒトES細胞等からの生殖細胞作成・利用作業部会」が、7ヵ月ぶりに開催された。昨年末の段階で、生殖細胞の作製のみを容認するとの基本方針は固まり、今年2月には上部組織の生命倫理・安全部会での承認も受けている。久しぶりに開かれた作業部会では、今後の検討事項、3項目の確認が行われた。@作製された生殖細胞の管理のあり方、A作製する際のインフォームド・コンセントのあり方、B研究実施に当たっての手続き。指針の適用については、最低限現行のヒトES細胞研究指針の改定は必要だが、新たに指針を作るかどうかに関しては今後の検討次第としている。
●クローン
●クローン家畜の現状

 6月25日に食品安全委員会は、体細胞クローン家畜食品を安全だと評価し、厚生労働省に答申した(前号参照)。その直後の6月30日、農林水産省が、2009年3月31日現在のクローン家畜の現状を発表した。
 それによると、受精卵クローン牛はこの1年間でわずか6頭しか誕生していないが、体細胞クローン牛は20頭誕生し、開発の軸が体細胞クローン家畜に移行していることがうかがえる。また、体細胞クローン牛の1年間の試験屠殺数が23頭に達し、研究が活発化していることもうかがえる。また体細胞クローン豚が1年間で48頭も誕生しているが、死産の数や生後直死など内訳は示されていない。


表1 農水省 家畜クローン研究の現状 (単位:頭)

08年3月末 09年3月末
受精卵クローン牛出生頭数 716 722
 死産 74 74
 生後直後の死亡 34 35
 病死等 102 102
 事故死 19 19
 廃用 26 28
 試験屠殺 46 52
 売却・食肉処理(内行方不明) 387(63) 394(63)
 研究機関で育成・試験中 28 18
受胎中 8 4

体細胞クローン牛出生頭数 551 571
 死産 78 79
 生後直後の死亡 91 94
 病死等 134 141
 事故死 8 9
 廃用 11 11
 試験屠殺 143 166
 研究機関で育成・試験中 86 71
受胎中 16 7


体細胞クローン豚出生頭数 328 376

体細胞クローン山羊出生頭数 9 9

*数字は、1998年〜2008年3月末現在の累計、及び1998年〜2009年3月末現在の累計を示す。