Chick Tack 英語5文型  >  ある英語学習者の英文解釈日記  >  カルミデス047

動名詞の意味上の主語は、所有格か目的格

英文

And do you think that a state would be well ordered by a law which compelled every man to weave and wash his own coat, and make his own shoes, and his own flask and strigil, and other implements, on this principle of every one doing and performing his own, and abstaining from what is not his own?

I think not, he said.

翻訳作業

And do you think that a state would be well ordered by a law which compelled every man to weave and wash his own coat, and make his own shoes, and his own flask and strigil, and other implements, on this principle of every one doing and performing his own, and abstaining from what is not his own?

「君はthat節と思うかい?」が大骨。that節の骨は、a state would be well ordered by a law の部分。「国家は法律によってきちんと秩序づけられている」。
which 以降は、その「法律」がどんなものか限定修飾する働き。
第27回で出てきた。“compel+O+to不定詞”。「Oに無理やりto不定詞させる」。
which を A law として、which から implements までの語句の関係を表に整理してみる。分かりやすいように、and は省略する。
A law compelled every man to weave his own coat
wash
make his own shoes
his own flask
strigil
other implement
on this principle of... は、「……というこの主義に基づいて」。
of every one doing...performing...abstaining の〔ing形〕は、of の目的語の〔動名詞〕と考えられる。〔動名詞〕の〔意味上の主語〕は、〔所有格〕か〔目的格〕で表す。これらの意味上の主語は、every one。〔目的格〕になっている。
strigil は所有の辞書にはなし。『アミカイ』の「翻訳デモ」を使わせてもらって「S字型溝彫り装飾」とわかった。少し違う気がするが、他に頼るべきものはなし。
「そして、みんなが自分自身のことだけやり、自分のことでないことは放棄するという原理に基づいて、すべての男たちに機を織らせ自分のコートを洗わせ、自分の靴や水筒・S字型溝彫り装飾、その他の道具を無理やり作らせる法律によって、国家は充分に治まると思いますか」

I think not, he said.

「『治まるとは思いません』と彼は言った」

暫定日本語訳

ソクラテス: 国民すべてが、自分のことは自分でやる。自分に関係ないことをすることは控える。この原則に基づいて、国民みんなに、自分の服は自分で織らせ洗濯も自分でさせる。靴(サンダル)や水筒・S字型溝彫り装飾ほか、道具など、自分のものは自分でつくらせる。そんな法律によって、はたして国家はよく治まるものだろうか?
カルミデス: いいえ、治まるとは思いません。

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ソクラテスさま(ここ、皮肉あり)のおっしゃるとおり。まず、真っ先に食べることに困る。無人島に流されても生き残る、という者は例外で、アリストテレスが言うまでもなく、「人間は本性上市民社会的(ポリティコン)なものにできている(『ニコマコス倫理学』第1巻第7章1097b;この他『政治学』にも関連表現あり)」のである。

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© 2005 Chick Tack 20051106