Chick Tack 英語5文型  >  ある英語学習者の英文解釈日記  >  カルミデスindex2  >  カルミデス053

動詞の時制に着目して

英文

No objection on my part, I said, but there may be a difficulty on his who proposes as a definition of temperance, 'doing one's own business,' and then says that there is no reason why those who do the business of others should not be temperate.

Nay (The English reader has to observe that the word 'make' (Greek), in Greek, has also the sense of 'do' (Greek).), said he; did I ever acknowledge that those who do the business of others are temperate? I said, those who make, not those who do.

翻訳作業

No objection on my part, I said, but there may be a difficulty on his who proposes as a definition of temperance, 'doing one's own business,' and then says that there is no reason why those who do the business of others should not be temperate.

“on one's part”は、「〜の側」。“on the part of one”でも同じ意味になる。
but 以降では、「on以降に関しては、困難があるかも知れない」と言っている。
on の〔目的語〕は何だろう。his ならば〔所有格〕は考えられずに、〔独立所有格(所有代名詞)〕となる。その場合、「彼のもの」は「彼の定義」「彼の主張」などを表すので、その後ろの〔関係代名詞〕が〔人〕を表す who ではおかしい。
ということで、his は「彼の」という意味の〔所有格〕となる。〔所有格〕が〔先行詞〕となるのはおかしいような気がするが、〔目的格〕などは躊躇なく〔先行詞〕となりうる。ならば、〔所有格〕だって、ということなのか。でも、〔主格〕や〔目的格〕〔独立所有格〕は、〔名詞〕の働きだが、〔所有格〕はどちらかと言えば〔形容詞〕の働きをしている。その〔形容詞〕的な〔所有格〕を、〔形容詞節〕たる〔関係詞節〕が修飾していいものだろうか。そんな疑問が浮かぶ。それでも、〔所有格〕には、〔名詞〕の部分と〔形容詞〕の部分が混在していて、〔関係詞節〕は、〔名詞〕部分を修飾しているのだ、と考えてしまえばよい。とんだ見当違いの話をしているのかも知れないが、ここはもう、そう信じて進んでいく。
〔所有格〕ならば、その後ろに〔名詞〕〔代名詞〕がくるはず。そして、「彼の名詞」という意味になる。その〔名詞〕の部分はどれだろうか。
who proposes as a difinition of temperance は、〔関係代名詞節〕だと考えられるので、これではない。and then 以降になれば、もうその候補はない。となると、'doing one's own business,' の他にはない。「彼の『自分自身の仕事をすること』(という言葉)」という意味になる。すっきりとはしていないが……。
最初、私は'doing one's own business,' と a definition of temperance は、〔同格〕なのであろうとみていた。しかし、先ほど述べたように、his が係って行く〔名詞相当語句〕が必要であると考え、そのように考え直した。
there から、そこのところまでの日本語訳は「節制の定義として提示した彼の『自分自身の仕事をすること』に関しては困難があるかも知れない」となる。なかなかいいのではないか。
しかし、and then 以後の取り扱いは、どうすればいいのだろうか。
says という動詞の〔時制〕に着目した。一番最初に出てくる動詞 said は〔過去形〕。つまり、これと対等に結ばれる and(then) ではないのだ。その次は may be。これは〔現在形〕とも言えるが、この〔主語〕a difficulty が、says の〔主語〕となることは、内容的にあり得ない。
あった、あった。who proposes の proposes は〔現在形〕だ。しかも says と同じ〔三人称単数〕を〔主語〕とする。これは共通の〔主語〕も持つに違いない。who つまり his の〔名詞〕部分が〔主語〕なのだ。
となると、これは〔関係代名詞節〕の続きということになる。本来ならば、his who proposes as a definition of temperance and then says that there is no reason why those who do the business of others should not be temperate と、途切れることなくつながっていなければいけないのだ。しかし、'doing one's own business,'を、この後ろにおいてしまうと、いかにも his と遠く離れてしまい、his 'doing one's own business,' のつながりがわからなくなってしまうため、やむなく1つめの述語部分の後ろに割り込ませたのだろう。
いや、それとも、who... of temperance の部分は、〔制限用法〕として使い、and then says...be temperance の部分は〔継続用法〕として使いたいのであろうか。確かにすべてを his の前に訳すのは、日本語で考えたときに無理があるような気がする。でも、これは日本語の問題であって、英語までが無理があるということではないが……。
「私に異存はないのだが、節制の定義を提示し、他人の仕事をする人々は節度がないという理由はないと言っている彼の『自分自身の仕事をすること』に関しては、困難があるかもしれない」
やはり、これでは、何を言っているのかわからない。〔制限用法〕〔継続用法〕の両方を使いたいときには、2つ目の方にも〔関係詞〕をつけるはずだから、どちらも〔制限用法〕なのだろうが、ここでは後ろの方を〔継続用法〕のように訳してみる。
「私に異存はないのだが、節制の定義として提示した彼の『自分自身の仕事をすること』に関しては、困難があるかも知れない。その後で、彼は『他人の仕事をする人々は節度がない、などという根拠はない』と言っているのだから」

Nay (The English reader has to observe that the word 'make' (Greek), in Greek, has also the sense of 'do' (Greek).), said he; did I ever acknowledge that those who do the business of others are temperate? I said, those who make, not those who do.

「いいえ(英語版の読者は、ギリシャ語では、『作る』という単語はまた、『する』という意味を持っていることに気づかなければない)、と彼は言った。私は今までに、他人の仕事をする人々が節度があると認めたことがありますか。私は、作った人のことをいっただけで、やった人のことは言っていません」

暫定日本語訳

ソクラテス: 私に異存はないのだが、節制の定義として提示した彼の「自分自身の仕事をすること」に関しては、問題があるかも知れない。その後で、彼は「他人の仕事をする人々は節度がない、などという根拠はない」と言っているのだから。
クリティアス: いいえ(英語版の読者は、ギリシャ語では、『作る』という単語はまた、『する』という意味を持っていることに気づかなければない)。私は今までに、他人の仕事をする人々が節度があると認めたことがありますか。私は、他人のものを作った人のことを言っただけで、やった人のことは言っていません。

カルミデス052 に戻る    カルミデス054 に進む

(増補・音声付)TOEIC(R)で920点を取った医師の英語勉強法

Chick Tack 英語5文型  >  ある英語学習者の英文解釈日記  >  カルミデスindex2  >  カルミデス053

© 2005-08 Chick Tack 20051126; 20080429