今までのあらすじ
ポティダイアの戦場から帰還したソクラテスは、久しぶりになじみの場所の体育館(レスリング場?)に向かう。たくさんの人がいたが、カイレポンが感激して駆け寄ってきた。カイレポンが用意してくれた席は、クリティアスの隣であった。
戦場での土産話などをしていると、ひときわ眉目秀麗な若者が、取り巻きを連れて入ってくる。その若者の美しさに驚きながら、その素性をたずねると、クリティアスのいとこのカルミデスであった。
カルミデスは近頃、頭痛に悩まされているという。ソクラテスに頭痛の治療を頼もうと、クリティアスはカルミデスをソクラテスのところに呼ぶ。
ソクラテスは、頭痛を治すためには、まず魂から治さなければいけないと言い、カルミデスに質問を始める。〔節制〕の徳についての哲学問答が始まった。
まず、二人の話し合いから、〔節制〕とは静かにしていることではないことが分かった。そのあとで、「節制とは自分自身の仕事をすることである」という定義を以前聞いたことを、カルミデスが思い出す。
これについても、二人の吟味が始まり、「自分のことは、何でも自分でやる」ことが〔節制〕ではないことが証明される。その節制の定義には、別の意味が含まれているのではないかということになり、その方面の吟味が始まろうとしている。
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