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no matter whether...or not

英文

Then not he who does evil, but he who does good, is temperate?

Yes, he said; and you, friend, would agree.

No matter whether I should or not; just now, not what I think, but what you are saying, is the point at issue.

Well, he answered; I mean to say, that he who does evil, and not good, is not temperate; and that he is temperate who does good, and not evil: for temperance I define in plain words to be the doing of good actions.

翻訳作業

Then not he who does evil, but he who does good, is temperate?

“not...but〜”「……ではなく〜」。この but は、「しかし」という意味ではなく、「(……ではなく)てむしろ〜」という意味の〔接続詞〕。上記の英文は、Then を除くと、
He who does evil is not temperate, but he who does good is temperate.
という英文内容が、そのままで疑問文となったもの。
“not...but〜”は、通例対照したい語句を、“not A but B”と、A・Bの部分に当てはめる。その方が分かりやすいからだ。
それでは、He who does not evil but good, is temperate? ではどうだろうか。単語数は節約できる。しかし、こちらは一人の人物が「悪」ではなく「善」を行ったときだけ「節度がある」とみなされるのではないか。いつも「悪」を行う傾向にある he who does evil と、「善」を生み出す状態にある he who does good という別の人物を表すためには、やはり、本文のように表記すべきなのであろう。
「それでは、悪を行う人でなく、善を行う人が、節度のある人なんだね」

Yes, he said; and you, friend, would agree.

いつものように、he said は、無視した。 「はい。そして、友人よ、あなたも賛同してくれるでしょう」

No matter whether I should or not; just now, not what I think, but what you are saying, is the point at issue.

“no matter whether...or not”は、「……であろうとなかろうと」。珍しいのではないか。
通常、no matter なしでも同じ意味を表すことができるはずだ。
no matter who=whoever 「誰が〜しようと」。no matter what=whatever 「何が〜しようと」。
no matter when=whenever 「いつ〜しても」。no matter where=wherever 「どこへ[で]〜しても」
no matter how=however 「どんなに〜しても」。no matter which=whichever 「どちらを〜しても」。
などと同じ感覚の〔譲歩〕の意味を強調したかったのだろう。
この文も、“not A but B”の構文が使われている。今回は、先行詞を含む関係代名詞 what に導かれる〔主語〕の〔名詞節〕が、対照の対象。
「私が賛成しようが反対しようが、私が考えることではなく、たった今、君が言っていることが、問題の核心なのだ」

Well, he answered; I mean to say, that he who does evil, and not good, is not temperate; and that he is temperate who does good, and not evil: for temperance I define in plain words to be the doing of good actions.

I mean to say は、「……を言うことを意味する」→「……と言いたい」。
that節は、say の〔〔目的語〕となる〔名詞節〕。
who does evil, and (does) not good は先行詞he を修飾。
and that 以降は、who does good, and (does) not evil は、is temperate の前の先行詞he を修飾するもの。本来の場所よりも、後ろに置かれた。
手持ちの辞書では確認できなかったが、“define for O to be C”で「Oに対してCと定義する」と使いたいのではないか。
in plain words は、割り込みで、「平易な言葉で言うと」。 「そうですねー、私が言いたいのは、悪を行う人や善をしない人は、節度があるとはいえません。そして、善を行う人や悪をしない人は、節度があります。分かりやすい言葉で定義すれば、節制とは善を行うことです」

暫定日本語訳

ソクラテス: それでは、悪を行う人ではなくて、善を行う人は節度があるんだね。
クリティアス: はい。それはあなたも賛成してくれるはずだ、ソクラテス。
ソクラテス: 私が賛成するかしないかは、どうでもいいことだ。大事なのは私が考えていることではなく、たった今、君が言っていることなんだ。
クリティアス: そうですね〜。私が言いたいのは、悪いことをして、善行をしない人は 節度があるとは言わないということです。そして、善行をし悪いことは行わない人は節度があります。分かりやすく言えば、節制とは善を行うことです。

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いやー、すっきりして分かりやすい。いいぞ、クリティアス。でも、正確ではなさそう。ソクラテスの反撃が……。
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Oxford Collocations Dictionary for Students of English   Oxford University Press

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