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英文の主語になる引用句

英文

This, however, like a prophet he expresses in a sort of riddle, for 'Know thyself!' and 'Be temperate!' are the same, as I maintain, and as the letters imply (Greek), and yet they may be easily misunderstood; and succeeding sages who added 'Never too much,' or, 'Give a pledge, and evil is nigh at hand,' would appear to have so misunderstood them; for they imagined that 'Know thyself!' was a piece of advice which the god gave, and not his salutation of the worshippers at their first coming in; and they dedicated their own inscription under the idea that they too would give equally useful pieces of advice. Shall I tell you, Socrates, why I say all this? My object is to leave the previous discussion (in which I know not whether you or I are more right, but, at any rate, no clear result was attained), and to raise a new one in which I will attempt to prove, if you deny, that temperance is self-knowledge.

翻訳作業

This, however, like a prophet he expresses in a sort of riddle, for 'Know thyself!' and 'Be temperate!' are the same, as I maintain, and as the letters imply (Greek), and yet they may be easily misunderstood; and succeeding sages who added 'Never too much,' or, 'Give a pledge, and evil is nigh at hand,' would appear to have so misunderstood them; for they imagined that 'Know thyself!' was a piece of advice which the god gave, and not his salutation of the worshippers at their first coming in; and they dedicated their own inscription under the idea that they too would give equally useful pieces of advice.

英文解釈の基本の第1は、文の主語(S)を見つけることである。文のSは、前方に前置詞のない名詞・代名詞で、一番最初に現れるものと心構えをしておく。
その原則に従うと、この文では、This がSの第1候補。however は挿入された〔接続詞〕だから無視。like は動詞とはなりえない。likes ならあるかも。like a prophet は〔前置詞+名詞〕で〔副詞句〕か〔形容詞句〕。これも文の主成分とは切り離して考える。と、he が困る。完全なる〔主格〕。him や his ではないのだ。これをSとする可能性が急浮上。後ろは、expresses 三人称対応の〔動詞の現在形〕だ。「これ」が「表現している」のか「彼」が「表現している」のか。経験から he の方がSと考える。expresses の直前にあることが要因の一つ。This がSでは、直前にいる he の立場がなくなる。in a sort of riddle は、〔副詞句〕なので(前置詞+名詞は副詞句か形容詞句だから)、これも主要素ではない。for... は別の節が始まるので、それは後回し。じゃあ、This は何だろう。前置詞がついていないので、一緒になって〔副詞句〕はなさそう。後ろに修飾できそうな〔名詞〕はないので、〔(指示)形容詞〕ともなりえない。となると……。express は〔他動詞〕なので、〔目的語(O)〕を必要とする。他にOになりそうな〔名詞〕〔代名詞〕は見つからない。したがって This がOであろう。〔倒置〕になっているのだろう。本来は、He expresses this. の語順。骨組みは“SVO”「SはOをVする」「彼はこれを表現している」。
for は〔接続詞〕。これが導く〔副詞節〕のSは、'Know thyself!' and 'Be temperate!'。このように〔引用句〕などもSとなる。動詞、補語もすぐ見つかる。その後の as は、〔接続詞〕で、「〜しているように」「〜している通り」だろう。the letters が引っかかった。「公式文書」かとも思ったが、そこに書かれている「文字自身」の方が自然だと思う。
nigh at hand の nigh は、near と同じ意味。“near at hand”で「すぐ近く」という意味なので、同じ意味になる。near の代わりに close を使うこともある。「手の近く」ということで「手もと」→「すぐ近く」という意味なのであろう。
for they imagined that 'Know thyself!' was a piece of advice which the god gave, and not his salutation of the worshippers at their first coming in;
の〔副詞節〕の中の imagined の〔目的語〕は接続詞that に導かれる〔名詞節〕。その〔名詞節〕の〔主語〕も〔引用句〕'Know thyself!'となっている。
「しかしながら、彼は預言者のように、一種の謎にして、このことを表現しています。というのは、『汝自身を知れ!』と『節度を持て!』というのは、同じなのです。私もそう主張しますし、その文字自身もほのめかしています。しかし、それらの言葉は、誤解されやすいのです。「度を過ごすな」や「誓え、悪はすぐそこにある」と付け加えた次の賢者たちは、その言葉を誤解しているように思われます。というのは、続いた賢者たちは、「汝自身を知れ!」というのは、神が与えた忠告の一つと想像し、最初にやってくる参詣者の挨拶だとは思わなかったのです。そして、自分たちも同様に役立つ忠告をしようという考えの下、自分たちの銘文を献呈してしまったのです」

Shall I tell you, Socrates, why I say all this?

all this は「これまで述べてきたすべてのこと」「以上のことすべて」。

「私があなたに教えましょうか、ソクラテス。なぜ、私がこれまでのことを言ったか」

My object is to leave the previous discussion (in which I know not whether you or I are more right, but, at any rate, no clear result was attained), and to raise a new one in which I will attempt to prove, if you deny, that temperance is self-knowledge.

文の〔主格補語〕は2つ。1つは to leave... もう1つは to raise...。どちらも〔to不定詞〕。〔名詞的用法〕。「話題から離れること」と「話題を出してくること」。
whether you or I are... となっている。動詞は you の方に一致させている。別に解釈とは関係ないが……。
prove の〔目的語〕は、that temperance is self-knowledge の〔名詞節〕。if you deny が割り込んできているので、紛らわしい。
ちょっと長かったので、かなり手を抜いて書いた。疲れた。

「私の目的は、先ほどの議論を離れることです。(先ほどの議論では、あなたか私のどちらがより正しいかは、私には分かりません。しかし、とにかく、明らかな結果は達成されなかった)私の目的のもう一つは、もしあなたが否定しないならば、節制とは自分自身を知ることだということを証明しようとする新しい議論を持ち出すことです」

暫定日本語訳

クリティアス(つづき): しかしながら、彼は預言者のように、謎めかして表現しています。「汝自身を知れ!」も「節度を持て!」も結局は同じことなんです。このことは、私も主張してきましたし、その文字の中にも暗示されています。でも、これらの言葉は、誤解を受けやすいのです。後を引き継いだ賢者たちは、「度を過ごすな」「気をつけろ。悪はすぐそこにある」と付け加えてしまいましたが、完全な誤解です。彼らは「汝自身を知れ!」というのは、神の啓示の一種と思ったのでしょう。最初にやってくる参詣者の挨拶とは思わなかった。だから、自分たちも同じように有益な箴言(しんげん)をしようとして、自分たちが考えた銘文を掲げてしまったのだと思います。お教えしましょうか、ソクラテス? 私がどうして、これまでのことをお話ししてきたかを。私は先ほどの議論からは、離れたいのです。(先ほどの議論では、あなたと私のどちらが正しいかは、判断できません。とにかく、はっきりした結論には至りませんでした)もしあなたが嫌でなければ、新しい議論を提示させていただいて、「節制とは自分自身を知ることだ」という事を証明したいと思います。

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「節度を守るということは、自分自身を知ること」。新たな定義が登場した。ソクラテスの信条のようにとらえられている「汝自身を知れ」。これは、クリティアスが持ち出してきた言葉だったのか?
『老子』にも、「知人者智、自知者明(上篇三十三章)」とある。「人を知るものは智なり、自らを知るものは明なり」。老子は智を高く評価していないから、「智<明」という関係があると思われる。

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© 2006 Chick Tack 20060115