Chick Tack 英語5文型  >  メール・マガジン『英語の文法と語法』  >  101号〜120号目次  >  113

第113号 助動詞の後ろの省略


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
┛┛
┛┛   英語の文法と語法    No.113    20090114   Chick Tack
┛┛  …………………………  ……………  ………………  ……………
┛┛      http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/index.html
┛┛┛
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


             ● 第113号 ●

………………
 Contents        助動詞の後ろの省略
………………
       (1)間接話法と間接疑問

       (2)Yes, No 応答時の省略

       (3)意味が明白な時、繰返しを避ける

       (4)by the 5:30 train


………………………………………………………………………………………………
(1)間接話法と間接疑問
…………………………………

  疑問文を伝達文とした間接話法の文がある。それについては第95号の(1)
  で触れた。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/091-100/egu095.html#1


………………………………………………………………………………………………
(2)Yes, No 応答時の省略
……………………………………

 (a) Can you hear me?  -- Yes, I can.
  「私の言っていることが聞こえますか」「はい、聞こえます」

  (a)の内容の応答が日本語でなされた時、「はい、あなたの言っていること
  が聞こえます」と言っても問題はない。時にはそう答える方が良い場合もあ
  る。しかし、多くの場合例文の日本語訳のように「はい、聞こえます」と、
  「あなたの言っていることが」の部分は省略してしまう。

  英語も同じで、Yes, I can hear you. の hear you の部分は省略してしま
  うことが多い。省略する部分に英・日で違いがあるが、省略するという行為
  は共通である。焦点がぼやけてしまうのを防ぐためだろう。


 (b) Have you ever been to Okinawa?  -- No, I have never.
   「あなたは今までに沖縄に行ったことがありますか」
    ――「いいえ、一度もありません」

  (b)の応答は、I have never been there[to Okinawa] の been there また
  は been to Okinawa の部分の省略である。

  (a)では〔助動詞〕の後ろが〔省略〕されているが、No で応答している(b)
  では、否定語の never の後ろが省略されている。否定の場合、not などの
  否定語は省略しない。


 (c) Were you happy then?  -- Yes, I was.
   「あなたはその時、幸せでしたか」「はい、幸せでした」

  I was happy then の happy then が省略されている。〔be動詞〕の後ろも
  〔省略〕される。もちろん、省略しなくてもよい。


 (d) Do you want to go there?  -- Yes, I do.
   「あなたはそこへ行きたいの?」「ええ、行きたいわ」

  Yes, I want to go there. の want to go there の代わりに do が置かれ
  ている。動詞以後の部分の代わりに置かれているので、do を〔代動詞〕と
  呼ぶことがある。

  助動詞もbe動詞も使わない文であれば、このように do(es), did が使われ
  る。

  No, I don't. と答えた場合は、I don't want to go there. の want to go
  there の部分の省略と考えられる。


………………………………………………………………………………………………
(3)意味が明白な時、繰返しを避ける
…………………………………………………

 (a) He can play the violin, but I can't.
   「彼はヴァイオリンを演奏することができる。でも、私はできない」

  but 以後の完全文は、but I can't play the violin であろう。この例では、
  play the violin と本動詞以後を〔省略〕している。

  通常、can't の部分は強く発声される。


 (b) Are you and Chris coming to the party?
   -- I am, but Chris isn't.
  (“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy, Unit51)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#egu
    「あなたとクリスはそのパーティーに来るつもりなの?」
    ――「私は行くわ。でも、クリスは来ないの」

  am と isn't のあとに、どちらも coming to the party が省略されている。

  省略するとき、否定の場合は isn't と短縮することもあるが、肯定の場合
  I'm とは短縮しない。


 (c) Please don't tell anybody what I said.
   -- Don't worry.  I won't.
  (“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy, Unit51)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#egu
    「僕が言ったことは誰にも言わないでね」
    ――「心配するな。誰にも言わないよ」

  won't の後ろに tell anybody what you said が省略されている。

  what は〔先行詞〕を含む〔関係代名詞〕で、what I said は the things 
  which I said と同じ内容。


 (d) All right, come along, if you must.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「分かりました。もしどうしてもとおっしゃるなら、来てください」

  must の後ろに come along が省略されている。「もしあなたがどうしても
  来なければならないならば、来なさい」ということ。

  come along は「一緒に来る[行く]」という意味に取ったが、一緒ではな
  く単に「来る」とも考えられる。


 (e) He said he would arrive before seven, and he did.
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#peu
    「彼は7時より前には着くと言った。そして、実際7時前に着いた」

  did が arrived before seven の代わりに置かれている。適当な助動詞がな
  い場合、代動詞(do, does, did)を使う。


 (f) I've forgotten the address. -- I have too.
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#peu
    「私はその住所を忘れてしまった」「私もだ」

  have の後ろに too が残っている。必要と思われる語句は省略しない。

  have と too の間に forgotten the address が省略されている。


………………………………………………………………………………………………
(4)by the 5:30 train
………………………………

  前(第112)号の(3)の記事内容について、三木さんよりメールをいただ
  いた。紹介させていただく。

 ▼三木さんからのメール===============================================

  >“by+乗り物”は乗り物の前に a, the, my などは置かないことになって
  > いる。しかし、乗り物が ***train に限って、冠詞や修飾語句が置か 
  > れることがある。

  飛行機の場合もありますね。 

 =============================三木さんのメール(関係分)終わり======▲

  三木さんは、実際の生活の中で何度も“by+飛行機”の英文をご覧になった
  のだろう。


      ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛

 (a) My son goes to school by bus.「息子はバスで通学しています」
 (b) My son goes to school on a bus.「息子はバスで通学しています」
 ((a)(b)ともに江川泰一郎著『英文法解説(改訂三版)』金子書房§87(2))
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#newguide

  交通手段として認識される場合。具体的に個別の乗り物が頭の中に描かれて
  意識されることがない場合。このような場合は“by+無冠詞乗り物”が使用
  される。

  個別の乗り物が意識される場合、on a bus や on the bus と冠詞がつく。
  bus, train などの公共交通機関や、またがって乗る bicycle などは、on 
  を、car, taxi には in を使う。

  bus や train, plane なども空間の中に入るのだが、大きいので包まれてい
  る感覚が薄いのだろう。地面に接しているのと同じ感覚か。


 (c) I'll take you to the train station in the car.
  (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
    English”Palgrave Macmillan)
   「私はその車で、あなたを列車の駅まで連れて行ってあげよう」

  具体的な車が目の前にあるように感じる。

 (d) I came on my bike.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”on-3)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「私は自分の自転車で来た」

  「自分の自転車」という特別な自転車が意識されている。

 (e) He's arriving on the 3.15 train.((×)in/with the 3.15 train)
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#peu
    「彼は、3時15分の列車で到着します」


    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・by+無冠詞乗り物
    ・on/in+a/the/my+乗り物
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  上記のように記述している参考書が多い。基本的にはこれを押さえておけば
  いいのではないだろうか。

  特定の時間を表す修飾語句がつく場合は“by the 修飾語句 乗り物”が可能
  だとしるすものがある。(研究社『英和中辞典第5版』今の版は7版)

  また、名詞が train の場合には冠詞を伴って by が使われることがある:
  by an[the] early train / by the 5:30 train(大修館『ジーニアス英和辞
  典第4版』by語法)と記すものもある。

  旺文社『ロイヤル英文法』§336(1)[注]には、
  [誤]I came here by my car [by the train, by a taxi].
  [正]I came here in my car [on the train, in a taxi].
                               とあった。


  皆さんは、実際の利用状況を監視し続けていただければ、と思う。


………………………………………………………………………………………………
 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
………………
       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
────────────────────────────────────
□このメールマガジンは、以下のメルマガ・スタンドから配信されています。
 ・まぐまぐ! :http://www.mag2.com/
 ・めろんぱん :http://www.melonpan.net
 ・カプライト :http://kapu.biglobe.ne.jp/サービス終了
 ・メルマ!  :http://melma.com/
 当メールマガジンは、無料でお読みいただけます。

□このメールマガジンの登録・解除は、下記のページからお願いします。
 ・まぐまぐ! :http://www.mag2.com/m/0000190027.html
 ・めろんぱん :http://www.melonpan.net/mag.php?009453
 ・カプライト :http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/11748.htmlサービス終了
 ・メルマ!  :http://www.melma.com/backnumber_175104/

□バックナンバーは、下記のページのリンクからご覧ください。
 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/index.html

∈≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡∋
 <(` )    Chick Tack
   (   )   E-Mail Address : mit_desde1994@ hotmail.com
    / |    魔笛を観に行こう: http://tatsuku.web.fc2.com/
  ∋  ∈   Chick Tack 英語5文型: http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/
 愛知哲仁 の ギリシア哲学への招待状:http://philos.fc2web.com/
∈≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡∋
メール・アドレスは、コピーして、あて先欄に貼り付けてから、@ と hotmail
の間の半角スペースを削除してください。面倒かけます。

 ┛ Chick Tack のおすすめ英語教材・無料サービスなどの紹介ページ ┛
 ┛ http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/recommend.html    ┛
 ┛                                ┛
      ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛

● あとがき

 Longman Dictionary of Contemporary English(ロングマン現代英英辞典)に
 DVD-Rom付きの第5版が出ました。
 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce5

 アマゾンで見てみると、桐原書店の日本版(といっても英英辞典)は昨年の年
 末26日の発行日付になっていますが、Pearson 発行のものは複数ありますが、
 日付が今年の2月になっていて「予約受付中」となっています。

 現在余裕がないので、当分第4版を使い続けます。( iдi ) 


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2009
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
      

前回 第112号 に戻る    この号の目次へ    第113号没記事    次回 第114号 に進む

Chick Tack 英語5文型  >  メールマガジン『英語の文法と語法』  >  101号〜120号目次  >  113