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第124号 不定詞を目的語とする他動詞


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.124    20090515   Chick Tack
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             ● 第124号 ●

………………
 Contents      不定詞を目的語とする他動詞
………………
       (1)不定詞の特徴とそれを目的語とする動詞の特徴

       (2)要求・希望

       (3)意図・決心

       (4)be entitled to do something

       (5)前(第123)号の訂正


………………………………………………………………………………………………
(1)不定詞の特徴とそれを目的語とする動詞の特徴
…………………………………………………………………

  前回までの2号は、動名詞句を目的語とする他動詞を中心に紹介した。動名
  詞について調べることが終わったわけではないが、今号は〔不定詞句を目的
  語とする他動詞〕についてみていきたいと思う。

  私の手元にある参考書で、不定詞句を目的語とする他動詞について、最も
  詳しく特徴を調べているのは江川泰一郎著『英文法解説』金子書房である。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#newguide

  今までに触れてきた点もあるが、不定詞には次のような特徴がみられるとい
  う。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・不定詞の特徴・・・時間的に未来を指向する
    ・不定詞だけを目的語とする動詞は、動作の実現に対して積
     極的な含みを持っている
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  不定詞句を目的語とする動詞を、表す内容によって分類もしているので、そ
  の分類に従って動詞を紹介したい。編集の都合上3号ほどに分けて紹介する。
  今号は〔要求・希望〕〔意図・決心〕の2グループ。

  なお、特に誤解は生じないと判断した場合、〔to不定詞〕のことを単に〔不
  定詞〕と記すことがある。また〔不定詞(に導かれる)句〕〔動名詞(に導
  かれる)句〕と表記すべきところを〔不定詞〕〔動名詞〕と表記することが
  ある。


………………………………………………………………………………………………
(2)要求・希望
………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・要求・希望・・・ask, beg, claim, demand, desire, hope
             long, wish
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) I asked to see my accountant.
 (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
   「私は会計士に会うことを要求した」
   「私は顧問会計士に面会を求めた」

  ask の時点よりは未来に会うのだから〔未来指向的〕。当然 to see に対し
  て〔積極的〕。

 (b) She begged to see the picture.
   「彼女はその写真を見ることを願った」
   「彼女はその写真を見たいと頼んだ」

  未来指向的で積極的。ask より堅い語。

  もっと後で触れるつもりだが、“ask someone to do something”の型があ
  るのと同様に“beg someone to do something”の型もある。


 (c) The girls claim to have seen the fairies.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「その少女たちは妖精を見たと主張している」

  claim の「真実であると主張する」という意味の使い方である。現在のこと
  を主張する場合もあるが、(c)のように〔過去〕の事実を主張する場合もあ
  る。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・完了形のto不定詞・・・to have 過去分詞
     完了形を使いたいときや、主節の動詞より過去の動作であ
     ることを示すときに使う
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  claim は積極的。

 (d) As soon as he recovered consciousness he demanded to be carried to
  his wife.(“The Age of Chivalry”by Thomas Bulfinch)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#chivalry
   「彼は意識を取り戻すと、すぐに『妻の所へ連れて行け』と要求した」

  claim より強い。

  “demand someone to do something”の型はない。


 (e)“When do you desire to go?” he asked coldly.
   (“The Hound of the Baskervilles”by A. Conan Doyle)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#hound
   「『あなたはいつ行きたいとお望みなのですか』と彼は冷たくたずねた」

  もちろん未来指向で積極的。

 (f)  I'm longing to see you again.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「私は、もう一度あなたに会うことを熱望しています」

  long は動詞で「熱望する」「待ち望む」「思い焦がれる」という意味があ
  る。

  desire は進行形にはしないが、long は進行形で表現することも可能。


 (g) He began to wish to know more of her.
   (“Pride and Prejudice”by Jane Austen)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#pride
   「彼は、彼女についてもっと多くのことを知りたいと思い始めた」

  begin は〔動名詞〕〔不定詞〕の両方を〔目的語〕にできる。これは数号後
  に取り上げたい。

  「〜したいと思う」の wish は〔不定詞〕を目的語にする。
  (×)wish knowing...。


………………………………………………………………………………………………
(3)意図・決心
………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・意図・決心・・・aim, decide, determine, mean, pretend
             resolve, seek
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) We aim to please our customers.
   「お客様を喜ばすことを目指しています」
   (江川泰一郎著『英文法解説(改訂三版)』金子書房)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#newguide

  “aim to do something”で「〜することを目指す」。

  「これから〜するぞ」ということで、未来指向でもあり積極的でもある。


 (b) Jill has decided not to buy a car.
  (“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy
    Exercises 54.2.3)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#egu
    「ジルは車を買わないことにした」

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・to不定詞の否定・・・“not to不定詞”
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  「買わないことを決めた」のだ。「買わないこと」に対して〔積極的〕と考
  えられる。

 (c) She determined to ignore his faults.
  (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
    English”Palgrave Macmillan)
   「彼女は、彼の間違いに気づかないふりをすることにした」
   「彼女は、彼の欠点を無視することに決めた」
   「彼女は、彼の落ち度を大目にみてやることにした」


  安藤貞雄著『現代英文法講義』や田中茂範他著『英語の感覚が身につく実践
  的指導』によると、
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lmeg
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#cc
  to不定詞の to は、前置詞 to と関係が深いという。

  前置詞 to には、「〜へ」「〜に」という基本的な意味があり、不定詞の 
  to にもその意味が生きている。「後ろに置かれる動詞の動作に向き合う」
  という意味になる。このため〔未来指向〕となり、その動作に〔積極的〕に
  かかわるのだという。

 (d) Sorry -- I didn't mean to interrupt you.
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan, 348.3)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#peu
    「すまない。君のじゃまをするつもりはなかったんだ」

  「〜することを意味する」「結果として〜することになる」という意味のと
  きの mean は、不定詞を目的語とはせず、動名詞を目的語にする。しかし、
  「〜するつもりである」という意味で使われるときは〔不定詞〕を目的語に
  する。

  intend より弱くくだけた語。intend は〔動名詞〕も目的語にできる。理由
  は不明。前出『現代英文法講義』では、「未来指向的な意味をもつため不定
  詞の方がふつうである」と解説している。


 (e) I got a book, and pretended to read.
   (“Wuthering Heights” by Emily Bronte)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#wuther
    「私は本を一冊手に取って、読むふりをした」

  I pretended that I was reading the book.
   「私はその本を読んでいるふりをした」

  というthat節も可能である。


 (f) After much cogitation Matthew resolved to go to Samuel Lawson's
  store instead of William Blair's.
   (“Anne of Green Gables”by Lucy Maud Montgomery)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#green
     「いろいろ考えた挙句、マシューはウィリアム・ブレアの店に行く代
      わりに、サミュエル・ローソンの店に行くことにした」

  instead of 〜 は“〜の代わりに”。

  after は前置詞で、その目的語となる名詞 cogitation までは、主語ではな
  い。主語は Matthew。

  アンの服を買うためにマシューが買い物に出かける。編集人と同じく、マシ
  ューは女性が苦手なので、女性店員のいない店に行くことにした。ところ
  が店を改装した Samuel Lawson's store には、女性の店員が……。


 (g) Then that is not the knowledge which we are seeking to discover?
   (“The Republic”by Plato, translated by Benjamin Jowett)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#republic
   「それでは、それは私たちが知ろうとしている学問ではないんだね?」

  that は、gymnastics「体育」のこと。プラトンはソクラテスの口を借りて、
  成長したり衰えたりすることに関する学問は、真に求めるべき科目ではない
  と言っている。


………………………………………………………………………………………………
(4)be entitled to do something
……………………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・be entitled to do something「〜する権利がある」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) We are entitled to use the road.
  「私たちにはその道を使う権利がある」

 (b) You are legally entitled to take faulty goods back to the store  
  where you bought them.(“LONGMAN Language Activator”)
  「あなたは法律的に、あなたが買った店に不良品を返品する権利が与えられ
   ています」
  「もしあなたが買った品物が不良品だった場合、買った店への返品は法的に
   認められています」

  “be entitled to不定詞”で「〜する権利がある」という意味になる。

  entitle には「題名をつける」「資格・権利を与える」という意味がある。
  title が「肩書き」や「題名」「権利」で、en は〔接頭辞〕で名詞や形容
  詞を〔動詞〕にする働きがある。

  “entitle someone to do something”「誰かに何かをする資格・権利を与
  える」という他動詞の使い方があり、その〔受動態〕が表題の表現になる。
  能動態よりも受動態で使われることが多い。


 (c) This coupon entitles you to a discount.
  (“The AMERICAN HERITAGE Children's Dictionary”Houghton Mifflin)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/dicchild.html#heri
   「このクーポンは、あなたに値引きの権利を与える」
   「このクーポンをお持ちいただければ、値引きいたします」

  “entitle someone to something”という表現もある。この to は前置詞。

 (d) Every child in Britain is entitled to free education at school.
  (『コリンズ英英辞典』秀文インターナショナル)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#collins
  「イギリスのすべての子供は、学校での無料教育の権利を与えられている」
  「イギリスのすべての子供は、無料で学校教育を受ける権利を持っている」

  こちらもよく受動態で表現される。

  entitle の他に incline という動詞も〔to不定詞〕〔to+名詞〕を続ける
  ことができる。

  受動態ではないが、agree, consent も〔to不定詞〕〔to+名詞〕を続ける
  ことができる。 

  形容詞だが、prone も〔to不定詞〕と〔to+名詞〕を続けることができる。


………………………………………………………………………………………………
(5)前(第123)号の訂正
………………………………………

  前(第123)号の(2)の例文(e)の日本語訳および補足説明に間違いが
  あった。お詫びして、訂正する。


 ▼(誤)=============================================================

 (e) We miss watching her ride her horse.
  (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
    English”Palgrave Macmillan)
   「私たちは彼女が乗馬するのを見逃した」

  「避けた」り「逃げた」りしたわけではないけれど、見るという動作とは 
  「出会わなかっ」た。

  ===================================================================▲

 ○(正)=============================================================

 (e) We miss watching her ride her horse.
  (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
    English”Palgrave Macmillan)
   「私たちは彼女が乗馬するのを見られずに寂しく思う」

 ===================================================================○

  三木さん他、数名の方にご指摘いただいた。ありがとうございます。


  例文を採った辞典の該当語義を読めば、こんな間違いはなかった。さらに、
  日本語訳をする際に、現在形 miss を過去形として訳出している。現在形で
  あることから「今、見逃す」ではなく「今、寂しく思う」の意味に気付かな
  ければいけなかった。<(。_。)>


………………………………………………………………………………………………
 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
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       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
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● あとがき

 幼稚園児や小学生のころ、近くにニッキの木(おそらく日本肉桂)があり、た
 まに葉をかんだりしていました。数回しかないのですが、根っこをもらった覚
 えがあります。これは、かなり強烈な味がして、ガジガジいつまでもかんでい
 ました。

 今我が家の北側の生垣に、ニッキの木があります。何年か前に鳥が種を落とし
 て行き、それが自生したのです。

 すぐに背が伸びます。2度ほど頭を切ったのですが、すぐ横から幹が出て、湾
 曲しながら上に伸びていきます。また切らないといけません。

 今日葉っぱをかんでみました。懐かしい味と香りが口の中に広がりました。


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 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/mit/info/maillec.html

 詳細はメールでご質問ください。

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                           松宮思考研究室
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