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第138号 目的語の動名詞が受動関係を表す他動詞


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.138    20091222   Chick Tack
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             ● 第138号 ●

………………
 Contents    目的語の動名詞が受動関係を表す他動詞
………………
       (1)need

       (2)want

       (3)require

       (4)deserve

       (5)don't bear

       (6)worth


………………………………………………………………………………………………
(1)need
………………

 (a) She needed to go out for a walk.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「彼女は散歩に出かける必要があった」

  〔to不定詞〕to go (out for a walk) が need の〔目的語〕になっている。
  go の主語は〔文の主語〕she と共通である。「出掛ける」のは she。


 (b) The bin is full.  It needs emptying.
  (“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#egu
    「そのゴミ入れはいっぱいである。空にする必要がある」

  bin は「食物を貯蔵しておく容器」で使うこともあるが、イギリスでは  
  「ゴミ入れ」として使うことがある。

  it は the bin のことである。empty「空にする」のは「人間」の仕事であ
  る。it は「空にされる方」である。need の目的語の〔動名詞〕は受動関係
  を表している。


 (c) The bin is full.  It needs to be emptied.((b)と同じ日本語訳)

  (b)の例文を不定詞を使って表すと(c)になる。to be emptied と〔to不定詞〕
  の〔受動態〕を使わなければならない。(c)よりも(b)の方が一般的である。


 (d) The bin is full.  We need to empty it.
   「そのゴミ入れはいっぱいである。私たちは、それを空にする必要がある」

  (d)も(b)(c)と同じ内容を伝えることができるだろう。we とは限らないが。


  安井稔著『英文法総覧(改訂版)』開拓社、28.5.4.3〔解説〕にはこうある。
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#betterguide

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    本来、動名詞は、能動・受動という態に関しては中立的であっ
    た。つまり、文脈によって、能動的な意味にも受動的な意味に
    も用いられていた。その名残が deserve, need, require <要
    する>、want(=need)、bear、worth などの場合にみられる。
    これらの語の意味上の主語が非動作主であり、能動の意味をも
    ちえないことが明白な場合に限られていることに注意すべきで
    ある。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


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(2)want
………………

 (a) The plants want watering daily. 
 (b) The plants want to be watered daily.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「その植物たちは毎日、水をやる必要がある」

  「必要がある」という意味で使われるのは、イギリス英語においてである。
  イギリスでも need を使うことが多く、使用例は少ない。to不定詞の受動態
  を使うことは、さらに珍しいようだ。


………………………………………………………………………………………………
(3)require
…………………

 (a) This computer requires repairing.
  《英》「このコンピューターは修理が必要だ」
  (研究社『ルミナス英和辞典第2版』竹林滋;小島義郎;東信行;赤須薫編)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lej

  コンピューターが「修理される」ので受動関係。

  require も required to be read と〔to不定詞〕〔受動態〕が可能なよう
  だが、江川泰一郎著『英文法解説』金子書房§246(2)の他には例文を見つけ
  られなかった。
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#newguide


 (b) Bringing up children often requires you to put their needs first.
 (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
  「子供を育てることは、しばしばあなたに子供の要求を第1に考えるように
   要求する」
  「子育ては、子供優先で考えなければならないことがしばしばある」

  “require+O+to不定詞”で「Oに〜するように要求する」という意味に
  なる。


………………………………………………………………………………………………
(4)deserve
…………………

 (a) They deserve punishing for what they have done.
   「彼らはああいうことをしたのだから、罰せられてしかるべきだ」
   (安井稔著『英文法総覧(改訂版)』開拓社, 28.5.4.3)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#betterguide
  ←「彼らは彼らのやったことのために、罰せられることに値する」

  punish するのは「国家」や「国民」か。they は罰せられる方なので〔受動
  関係〕が成り立つ。

  punishing の前に「国家」や「国民」が省略されていると考える人もいるよ
  うだ。そう見れば〔能動関係〕とみることができる。その方が分かりやすけ
  れば採用してみるのはどうだろう。

  小西友七・南出康世編集『ジーニアス英和辞典第4版』大修館、には
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#gej
  “deserve+動名詞”は出ていない。“deserve+to be 過去分詞”は紹介さ
  れている。


………………………………………………………………………………………………
(5)don't bear
………………………

  「〜に耐えられない」「〜に値しない」という意味の don't bear も目的語
  の動名詞が受動態の意味を表すことがある。

 (a) His language doesn't bear repeating.
 (b) His language doesn't bear to be repeated.
   「彼の言葉は(実に下品で)繰り返すに耐えない」
  (安藤貞雄著『現代英文法講義』開拓社)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lmeg

  repeating するのは「彼」である。主語の「彼の言葉」は repeat されるも
  の。やはり〔受動関係〕。

  この例文は、主語が違うものの、さまざまな書籍・辞書で do(es)n't bear 
  repeating と続くものばかりであった。

  ジーニアスでは、(b)のような〔to不定詞の受動態〕を認めていない(bear1-
  5)。

  人間が主語の場合は、後ろの動名詞・to不定詞は〔能動〕の意味を持つ。

 (c) I just could not bear even talking to him.
  (“CAMBRIDGE GRAMMAR OF ENGLISH”Ronald Carter & Michael McCarthy 
    380d)http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#cge
    「私は彼に話しかけることさえ耐えられなかった」
    「私は彼と話すことさえ耐えられなかった」

  even が割り込んでいるが、bear の目的語は talking が中心である。talk
  するのは I。能動関係である。


………………………………………………………………………………………………
(6)worth
………………

  worth は動詞ではないが、後ろの動名詞は〔受動〕の意味を表している。

 (a) The car isn't worth repairing.
 (×)The car isn't worth repairing it.
 (×)The car isn't worth to be repaired.
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan, 632-3)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu
    「その車は修理する価値がない」

  worth の品詞を〔前置詞〕とみる人と〔形容詞〕とみる人がいる。

 (b) It isn't worth repairing the car.
   (出典は例文(a)と同じくPEU 632-3)
   「その車を修理することは価値がない」→「(a)と同じ」

  it が〔形式主語〕で repairing the car が本当の主語と考えられる。


  “be worth (while) 動名詞”の構文については、酒井典久著『英語のしく
  みが見える英文法』(文芸社)のP11〜P14に考察がある。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#sakai


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
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       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html

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● あとがき

 冬将軍が到来し、私の住んでいる近くの山にも部下が陣を張り出しました。

 最近特に、手足が冷えるようになってきました。んー、まだまだ春は遠いなー。


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        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2009
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