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第171号 知覚動詞+目的語+過去分詞


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.171    20101229   Chick Tack
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             ● 第171号 ●

………………
 Contents     知覚動詞+目的語+過去分詞
………………
       (1)知覚動詞+目的語+過去分詞

       (2)原形不定詞・現在分詞と過去分詞の違い

       (3)受動態

       (4)all along


………………………………………………………………………………………………
(1)知覚動詞+目的語+過去分詞
……………………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・see[hear, feel,...] someone[something] done
     「誰[何]かが何かをされるのを見る[聞く・感じる]」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) His parents saw him awarded the winner's medal.
 (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
  「彼の両親は、彼が優勝メダルをかけてもらうのを見た」

  “LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”(LDOCE)と
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce   
  “Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 8th edition”(OALD)には、
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
  “see+目的語+原形不定詞”“see+目的語+現在分詞”の例文はあったが、
  “see+目的語+過去分詞”の例文は出ていなかった。(a)のCALDには3つと
  もあった。

  この構文が可能な〔知覚動詞〕は、see, hear, feel, find, discover であ
  る。

  (a)の内容は、His parents saw + he was awarded the winner's medal
  と考えることができる。一般的に「知覚動詞+受動態文」の内容を表してい
  る。

  award は give と同じように〔第4文型〕をとることが可能。多くは、+の
  後ろの部分のように〔受動態〕で使われる。


 (b) I heard my name called. <V+O+C(過分)> 
   「私の名前が呼ばれるのを耳にした」
  (研究社『ルミナス英和辞典第2版』竹林滋;小島義郎;東信行;赤須薫編)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lej

  hear のこの構文は CALD にも例文はなかった。LDOCE や OALD にもなかっ
  た。『ロイヤル英文法』には同じ例文が出ていた。『ロイヤル』の日本語訳
  は「私の名前が呼ばれるのが聞こえた」。

  I heard + my name was called の内容。


 (c) She felt herself lifted from her feet...
  (“Collins コウビルド英英辞典 改訂第5版”トムソンコーポレーション)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#cobuild
   「彼女は、自分の体が足から持ち上げられるのを感じた」
   「彼女は、足の方から宙に浮くように感じた」

  She felt + she was lifted from her feet。

  “CAMBRIDGE GRAMMAR OF ENGLISH”では feel oneself の形で〔目的語〕
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#cge
  +〔過去分詞〕の型を示しているが、see や hear のタイプは掲載していな
  い。“A Practical English Grammar”では、知覚動詞のこの構文の紹介は
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peg
  ない。どうも積極的には紹介しようとしていないことが多いようだ。


 (d) The soldiers found the village destroyed.
  (“The BBI Combinatory Dictionary of English 3rd”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#bbi
   「兵士たちは、その村が破壊されているのを見た[がわかった]]」

  『ジーニアス英和辞典第4版』に同じ例文があった。日本語訳は「兵士たち
  が行ってみると、その村は破壊されていた」。

  find の〔目的格補語〕に〔原形不定詞〕がくることはない。〔to不定詞〕
  がくることはある。

  discover については、『ジーニアス英和辞典』に構文の記載はあるが、同
  辞書を含め、手持ちの辞書では例文を見つけることができなかった。


  例文補充。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/161-180/egu171.html#supple1


………………………………………………………………………………………………
(2)原形不定詞・現在分詞と過去分詞の違い
…………………………………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・知覚動詞+目的語+原形不定詞
    ・知覚動詞+目的語+現在分詞
          ・・・動作をしているのは〔目的語〕
    ・知覚動詞+目的語+過去分詞
          ・・・〔目的語〕はその動作をされているもの
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) I heard someone call my name.
 (b) I heard my name called.
  「私は誰かが私の名前を呼ぶのを聞いた」
  「私は私の名前が呼ばれるのを聞いた」

  (1)の例文(b)を利用して考えてみる。

  (a)のように〔目的語〕の後に〔原形不定詞〕が続く場合、〔原形不定詞〕
  の動作をしているもの、またはその状態にあるものは〔目的語〕である。
  call の意味上の主語は someone である。Someone called my name. という
  文が意識される。

  I heard someone calling my name. と〔現在分詞〕が続く場合も〔目的語〕
  someone が calling の動作主であることは同じである。Someone was   
  calling my name. が意識されるであろう。

  (b)のように〔目的語〕の後に〔過去分詞〕が続く場合、〔過去分詞〕の動
  作をしているものは別にいて、〔目的語〕は動作をされるものである。
  my name は call の主語ではなく、Someone called my name. の関係で〔目
  的語〕になるのである。ただし、〔受動態文〕の〔主語〕であるとは言える。
  My name was called (by someone).

  〔現在分詞〕〔過去分詞〕については、
  Someone was calling my name. という〔進行形〕の文と
  My name was called. という〔受動態〕の文の
  〔主語〕を〔目的格〕にし〔be動詞〕を省略して〔知覚動詞〕heard の後ろ
  に置けば良い。
  I heard + someone (was) calling my name〔現在分詞〕
  I heard + my name (was) called.〔過去分詞〕


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 (c) We saw the snow being cleared away. (Eastwood 1994)
  「雪かきが行われるのを見ていた」
  (安藤貞雄著『現代英文法講義』開拓社、15.4.1A(8) カッコや下線を除去)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lmeg

  「〜が…されているところを」という意味を表したいときには、〔受動分詞〕
  “being+過去分詞”が使われる。〔現在分詞〕が続いている前号紹介の構
  文の分詞部分が〔受動態〕の形になっているのだ。

  この形は、see, hear, feel, find, discover の他の〔知覚動詞〕の場合も
  可能である。

 (d) As I watched the tree being cut down...
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan, 242.3)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu
    「私がその木が切り倒されているのを見ていたので[とき]……」

  The tree was being cut down... という文が意識されている。

  これらの構文は、see や watch といった知覚動詞の部分が〔受動態〕にな
  っている文では使用できない。受動態は次の(3)で調べる。


………………………………………………………………………………………………
(3)受動態
…………………

 (a) The boy was found dead [injured] in the woods.
   <V+O+C (形[過分])の受身> 
   「少年は森の中で死んで[けがをして]いるのを発見された」
  (研究社『ルミナス英和辞典第2版』竹林滋;小島義郎;東信行;赤須薫編)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lej

  〔受動態〕は、このような文になるのであろう。dead は〔形容詞〕なので、
  injured の方をあてはめて見てもらいたい。ただし、injured も〔形容詞〕
  として辞書に載っているので〔過去分詞〕の例にはならないか。

  〔能動態〕を考えると、They found the boy dead[injured] in the woods.
  くらいであろうか。

  find については、“S+find+O+(to be) C(形容詞・分詞)”という
  構文が元の形だったようで、to be の省略から、今号の構文と同じ形になっ
  たと考えられる。例としては、適当でなかったかもしれない。


  ごり押しで〔過去分詞〕を使った構文の〔受動態〕をつくってみる。

 (b) Someone saw the car driven by a strange man.
   「その車が見知らぬ男に運転されるのを、誰かが見た」

  これは、今号(1)で紹介している“知覚動詞+目的語+過去分詞”の〔能
  動態〕の一文である。これを〔受動態〕にしてみる。

 (c) The car was seen driven by a strange man.
   「その車は、見知らぬ男に運転されるのを見られた」

  このようになるはずだ。

  ただ、「運転される」よりも「運転されているところの一部分」を見られる
  ことが多いので、〔現在分詞〕を使う前(第170)号の使用状況がふさわし
  いように思う。素直にいけば、being driven と(2)で調べた〔受動分詞〕
  ということになろう。

  しかし、(2)の最後に書いたように、〔受動態〕の文では〔受動分詞〕は
  使えないとある(PEU)。

  グーグルで検索してみると“was seen driven”よりも“was seen being
  driven”の方が多くヒットした。もちろん違う意味で使われているものが多
  いが、それはどちらも同じなので、〔受動態〕+〔受動分詞〕も市民権があ
  るのではないかと思う。

 (d) Mrs McCann was seen being driven from the police offices at about 
  10pm after about eight hours of questioning.
  (“The Times” May 11, 2007“Police hunt woman and two men seen  
   with an unsettled blonde child”)
 http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/europe/article1774466.ece
  「マッキャン夫人は、約八時間にわたる尋問の後で、午後十時ごろ警察署か
   ら帰らされているところを見られた」

  子供を誘拐されたようだが、ご主人はまだ事情を聞かれているようす。


………………………………………………………………………………………………
(4)all along
……………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・all along「初めからずっと」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) I saw the joke all along.
   (“Rolling Stones” by O. Henry)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#ohenry
   「私は、そのジョーク[からかい]を最初から見ていた」

  “all along”が「(初めから最後まで)ずっと」という意味になることが
  ある。


 (b) I knew all along that it was a lie.
  (“Random House Webster's Unabridged Dictionary 2nd”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#rhwud
    「私は、それが嘘だと初めから知っていた」

  〔文頭〕に立ったり、〔目的語〕の前に割り込んだりする形も、しばしば見
  られる。

  (b)は that it was a lie という〔that節(名詞節)〕が knew の〔目的語〕
  になっているが、(a)とは異なり、長いので、all along が先に来て割り込
  んでいる。all along が knew を修飾していることを示している。   
  all along を文末に回すと、(it) was (a lie) を修飾すると解釈される恐
  れがある。


  along は〔古英語期〕には「〜と同じ方向にのびた」という〔形容詞〕だっ
  た。現在では〔前置詞〕〔副詞〕として働いている。

  (a)(b)の along は〔副詞〕である。


 (c) The Birch Path was a canopy of yellow and the ferns were sear and 
  brown all along it.
   (“Anne of Green Gables”by Lucy Maud Montgomery)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#green
    「カバの木の小道は、黄色いドームのようだった。そして、その道に
     沿った場所は全て、シダが枯れて茶色になっていた」

  along は〔前置詞〕として使われることが多い。「長いものに沿って」とい
  う意味である。(c)では 「it(=The Birch Path)に沿って全部(all)」という
  意味になる。

  (c)の it は「場所」を表しているが、it の位置に「時間」や「期間」が来
  れば、その「期間ずっと」という意味になる。「期間」を表す〔前置詞〕の
  〔目的語〕が〔省略〕されれば、all along が残り「初めからずっと」とい
  う意味を表すことができる。実際にはその例は見ていないが、こんな感覚で
  できたのではないか。


  例文補充。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/161-180/egu171.html#supple2


………………………………………………………………………………………………
 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html


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● あとがき

 23日の天皇誕生日にNHK総合テレビのお昼のニュースで、妹と旦那が映りま
 した。三千院の托鉢寒行(たくはつかんぎょう)のニュースでした。

 妹はお布施を手にして礼をしている姿が一瞬映りました。義弟の方はインタビ
 ューを受けて、数秒ですがコメントしていました。コメントも字幕になってい
 ました。

 たまたま見ていたら流されたので、びっくりしました。


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 良いお年をお迎えください。<(_ _)>


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2010
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
      

知覚動詞+目的語+過去分詞の例文補充

● see

Mr Frank has seen the economy of his town slashed by the uprising.
Collins コウビルド英英辞典 改訂第5版 トムソンコーポレーション
「フランク氏は、暴動によって彼の町の経済が打撃を受けるのを見た」

● heard

We heard the aria sung in Italian.
The BBI Combinatory Dictionary of English 3rd John Benjamins Publishing Company
「私たちは、そのアリアがイタリア語で歌われるのを聞いた」

● feel, find

He felt his hand seized. He found himself caught.
「彼は自分の手がつかまれるのを感じた」「彼は自分がつかまえられるのに気が ついた」

安井稔著 英文法総覧(改訂版) 開拓社

● 知覚動詞+形式目的語it+過去分詞+真目的語that節

We often hear it said that Japan is a great economic power.
=We often hear people say that Japan is a great economic power.
「日本は経済大国であるということをよく聞く」     

江川泰一郎著 英文法解説(改訂三版) 金子書房
it形式目的語本当の目的語that Japan is a great economic power

all along 例文補充

Oh, my friend, have I not said to you all along that I have no proofs.
The Mysterious Affair at Styles by Agatha Christie
「おお、友人よ。私には証拠がないと、ずっと君に言ってこなかったかい」

「?マーク」はなかった。

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