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第172号 分詞構文−1


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.172    20110112   Chick Tack
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             ● 第172号 ●

………………
 Contents          分詞構文−1
………………
       (1)分詞構文(導入)

       (2)接頭辞 ante-

       (3)cope with...


………………………………………………………………………………………………
(1)分詞構文
……………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・分詞構文・・・分詞を主要素とする句が文全体を修飾して
            いる文。これらの句は副詞的に働いている。
            主に文章を書くときに用いられ、会話では
            ほとんど使わない。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) I felt anxious while I was watching you up there.
   「あなたがそこにいるのを私が見ている間、私は気が気ではありませんで
    した」
  (『ケンブリッジ現代英語文法入門』Rodney Huddleston, Geoffrey K.  
    Pullum 著, 高橋邦年監訳、一部編集)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#sieg

  up there は単に「そこに(いる)」の意味を表す場合もあるが、up には 
  「上へ」という意味が含まれているので、どこか「高い場所」を指している
  ことがある。落ちれば危ない場所にいたのではないだろうか。だから、ハラ
  ハラしていたのだと推測する。

  I was watching you up there.「私はあなたがそこにいるのを見ていました」
  という英文を作ることができる。この前に〔接続詞〕を置いて、文の〔主要
  素〕や〔修飾部〕をつくることができる。学校英文法では〔節〕と呼ぶのが
  普通だ。

  (a)では while I was watching you up there の部分がひとまとまりとなっ
  て、I felt anxious の状態が「いつ起こったのか」を説明してくれている。
  自身の部分を除く文全体や、動詞などを修飾する働きを持つ言葉を〔副詞〕
  と呼んでいる。

  前2段落の内容を組み合わせ、while以降の部分を〔副詞節〕と呼んでいる。


 (b) I felt anxious watching you up there.
   「あなたがそこにいるのを見て、私は気が気ではありませんでした」
  (『ケンブリッジ現代英語文法入門』Rodney Huddleston, Geoffrey K.  
    Pullum 著, 高橋邦年監訳、一部編集)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#sieg

  (b)の文では、(a)にあった while I was の部分が消えているが、ほぼ同じ 
  内容を伝えることができる。

  watching you up there という〔(現在)分詞〕を主な構成要素とする語句
  が〔副詞〕の働きをしている文を〔分詞構文〕という名前で習うことが多い。

  (b)の watching you up there が、(a)の while I was watching you up  
  there の〔副詞節〕の代わりに働いているのだ。

  〔分詞構文〕は、書き言葉の文章の中に表れ、会話ではあまり使われない。


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  中学生の時にも〔分詞〕を使った英文をいくつか学習してきた。列挙してみ
  る。

   ・進行形・・・“be動詞+現在分詞”
   ・受動態・・・“be動詞+過去分詞”
   ・現在完了・・・“have+過去分詞”

   ・現在分詞の形容詞(的)用法・・・“名詞+現在分詞”など
   ・過去分詞の形容詞(的)用法・・・“名詞+過去分詞”など

  最後の2つは、〔分詞〕を中心とする語句が〔関係節〕と同じように〔名詞〕
  〔代名詞〕を修飾している。〔形容詞〕の働きをしているものである。

  この他、第170・171号で取り上げた〔目的格補語〕として働く場合や、紹介
  していないが〔be動詞〕ではない動詞の〔主格補語〕として働く場合もある。


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  そう教えられたと思うのだが、高校生のときは〔分詞構文〕の〔分詞句〕に
  は、コンマ[カンマ]がつきもので、文頭に置かれれば〔主節〕との間にコ
  ンマ、文中に置かれれば前後にコンマ、文末に置かれれば主節の後ろにコン
  マを書いていた。

     “分詞句,主節”
     “主節の主語など,分詞句,主節の残り部分”
     “主節,分詞句”

 (c) Leaping out of bed, he dressed so quickly that he put his boots   
  on the wrong feet.
  (“Collins Cobuild English Grammar 2nd edition”8.122)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#cceg
   「彼はベッドから飛び起きて、あまりにも慌てて身支度をしたので、靴を
    左右間違えてはいた」

  “分詞句,主節”の例。

 (d) Romeo, believing that Juliet was dead, decided to kill himself.
  (“A Practical English Grammar”A. J. Thomson & A. V. Martinet)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peg
  「ロメオはジュリエットが死んでいると思ったので、自殺しようと決心した」

  “主節の主語など,分詞句,主節の残り部分”の例。

 (e) My wife had a talk with Sally, explaining the problem.
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu
    「私の妻はサリーと話をして、その問題を説明[釈明]した」

  “主節,分詞句”の例。


  (d)の例文掲載のPEGには、

 (f) Opening the drawer he took out a revolver.
  (“A Practical English Grammar”A. J. Thomson & A. V. Martinet)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peg
   「引き出しを開けて、彼はピストルを取り出した」

  と、〔分詞句〕が文頭に出ているものでコンマがない例があった。

  “Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan では、
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu
  「-ing clause が文の最初に来た時は、その後ろにコンマを置く。後置する
   ときは、コンマは必要ない」とある。

  桐原書店『総合英語 Forest 4th Edition』には、
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#forest
  「分詞が文末に置かれる場合、コンマを使うことがある」とあり、コンマの
  ある例文とない例文の両方を掲載していた。説明はなかったが、文頭・文中
  で使われている例文は、いずれもコンマがあった。

  他の参考書・文法書の例文も見た結果、〔分詞句〕が文頭と文中にある時は、
  コンマを使うが、文末にある場合は、コンマを置いてもよいし置かなくても
  よい、というのが妥当なところのようだ。文中の場合は、コンマがないと難
  解になるし、文頭の場合もコンマを書いた方が親切である。


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  〔分詞句〕は、〔主節〕の動作が「いつ行われているのか」「原因や理由は
  何か」「周囲の状況」「行われる条件」「同時に行われている動作」などを
  伝えることができる。

  しかし、〔分詞句〕が文の中で、どういった働きや意味を持っているのかは、
  はっきりしない場合もある。開拓社『現代英文法講義』では、
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lmeg
  「むしろ、あいまい性が分詞節の特徴であると言ってもよい」としている。

  イギリス・オランダでは、この〔分詞句〕を〔分詞節〕と呼んでいる。また、
  (a)(b)の例文が掲載されている『ケンブリッジ現代英語文法入門』では、
  〔動名詞分詞節〕と書いている。これは〔動名詞〕と〔現在分詞〕の境界が
  はっきりしないために、一つにまとめてしまったと考えられる。〔過去分詞〕
  を使ったものは〔過去分詞節〕と出ている。


  次号以降、〔分詞構文〕について、もう少し突っ込んで調べていきたい。


………………………………………………………………………………………………
(2)接頭辞 ante-
…………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・接頭辞 ante-・・・「〜の前」=before
              形容詞・動詞・名詞の前に付ける
    {反意接頭辞:post-}
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  ante- は before や in front of の意味を表すラテン語 ante から来てい
  る。


 (A) antenatal〔形容詞〕「出生前の」「妊娠期間中の」

          ← natal〔形容詞〕「出生の」「出産の」

  アメリカ英語では「出生前の」は prenatal を使う。pre- も「〜の前」と
  いう意味の〔接頭辞〕だ。

  postnatal〔形容詞〕「出生後の」「産後の」は〔反意語〕。

  (a) Many young mothers do not attend antenatal classes.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「若い母親の多くは、産前講習会に参加しない」


 (B) antedate〔他動詞〕「〜より先に起こっている」「〜に先行する」
            「手紙・小切手を前の日付にする」

          ← date〔名詞〕「日付」「時代」

  同じ意味を表す predate という単語もある。

  postdate〔動詞〕「先の日付をつける」「先付けする」「〜より期日が後で
  ある」が〔反意語〕。

  (b) The crypt antedates the rest of the building by several     
   centuries.(“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 8th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「その地下室は、その建物の他の部分より数世紀前の時代のものだ」

  by は「どれだけ差があるか」を表すときに使うことができる。by several
  centuries で「数世紀だけ」「数世紀の差で」。


 (C) anteroom〔名詞〕「次の間」「控えの間」「待合室」

          ← room〔名詞〕「部屋」

  antechamber が〔同意語〕。古風。

  (c) The ministers waited for their meeting in the Cabinet anteroom.
  (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
   「大臣たちは、閣僚待合室で会議を待った」

  第145号(1)例文(c)にも anteroom が出ている。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/141-160/egu145.html#1


 (D) a.m. または am; A.M.; AM〔副詞〕「午前(に)」

  p.m. と共に、日本でもよく使われる。ラテン語 ante meridiem の頭文字。
  「一日の真ん中より前」という意味ではないか。「midday の前」。素直な
  英語で言えば before noon。p.m. は post meridiem の頭文字。

  (d) One minute before noon is 11:59 a.m.
  (“Random House Webster's Unabridged Dictionary 2nd”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#rhwud
    「正午の1分前は、午前11時59分です」

  このように“時刻の数字+a.m.”の形で使う。普通(?)AM11:59 とはしな
  い。また「分」を書かない時は 9 a.m. として(?)9:00 a.m. ともしない。


 (E) antecedent〔名詞〕「先行詞」「祖先」「前歴」

  「先に行く」という意味のラテン語が、フランス語に入り、それが英語に取
  り入れられたもよう。

  (e) In the sentence“I threw the keys to him and he caught them,”
   “keys”is the antecedent of“them.”
  (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
    English”Palgrave Macmillan)
    「“I threw the keys to him and he caught them.”という文の中で
     keys は them の先行詞になっています」

  〔関係代名詞〕を習ったときに出てきた〔先行詞〕もこれ。あとに出てくる
  語が指し示している語句のことだ。


 (F) anticipate〔動詞〕「予想する」    〔名詞形〕anticipation

  -cipate の部分は、ラテン語の「取る」という意味の語から来ているようだ。
  anticipate で「前もって取る」→「先取りする」→「予想する」。

  この anti- は ante- の変化だが、「反〜」「対〜」の意味で anti- が使
  われることがある。「アンチ・ジャイアンツ」など。これらはいずれ取り上
  げる。

  (f) The result was what might have been anticipated.
       (“Historical Tales, The Romance of Reality”by Charles Morris)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#htales
    「結果は、予想されたかもしれないものだった」
    「結果は、予想できたかもしれないものだった」


 (G) antique〔名詞〕「骨董品」〔形容詞〕「古くて値打ちのある」「古風な」

  フランス語から来ている。フランス語はラテン語から。「以前に現れた」と
  いうような意味から。「昔のもの」という感じか。

  (g) I am more an antique Roman than a Dane.
   (“HAMLET, Prince of Denmark” by William Shakespeare)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#hamlet
     「私は、デンマーク人というよりも、むしろ古代ローマ人だ」

  “more A than B”で「BというよりむしろA」という意味になる。


………………………………………………………………………………………………
(3)cope with...
…………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・cope with something「何かを切り抜ける」
               「何かをうまく処理する」
         =deal successfully with something difficult
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) He wasn't able to cope with the stresses and strains of the job.
  (“Oxford PHRASAL VERBS Dictionary for learners of English”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#opvdl
    「彼は、仕事によるストレスと過労に、うまく対処することができなか
     った」

  “cope with...”で「…を切り抜ける」「…をうまく処理する」という意味
  になる。


 (b) She has had to cope with losing all her previous status and money.
  (“Collins コウビルド英英辞典 改訂第5版”トムソンコーポレーション)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#cobuild
   「彼女は、これまでの地位とお金を全て失うことに耐え忍ばなければなら
    なくなった」
   「彼女は、これまでの地位とお金を全て失うことに対処しなければならな
    くなっている」

  something の位置に〔動名詞〕が来ることもある。


 (c) She could not cope with him.
  (“Sons and Lovers” by David Herbert Lawrence)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#sons
    「彼女は彼をうまく扱うことができなかった」

  少ないが「人」が来る例も。


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  cope は〔古フランス語〕「打つ」という意味の単語が〔中英語期〕に   
  coupe(n) の形で入り、「殴り合いになる」や「戦う」という意味で使われ
  始めた。

  「難局・難問に対処する[切り抜ける]」は、1641年のミルトンの政治的な
  散文以降。


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
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● あとがき

 本年もよろしくお願いします。<(_ _)>


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2011
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
      

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