Chick Tack 英語5文型  >  メール・マガジン『英語の文法と語法』  >  181号〜200号目次  >  190

第190号 名詞の複数形−1


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.190    20120131   Chick Tack
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             ● 第190号 ●

………………
 Contents         名詞の複数形
………………
       (1)語尾に -s, -es をつける

       (2)o で終わる名詞の複数形

       (3)子音+y → 子音+ies

       (4)all the same


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(1)語尾に -s, -es をつける
………………………………………

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    ・名詞の複数形・・・原則として語尾に -s, -es をつける
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 (A) dog(単数形) → dogs(複数形), book → books, day → days,
   judge → judges, mirage → mirages

  〔単数形〕の〔語尾〕に -s をくっつけて〔複数形〕を作る。このタイプが
  一番多い。新語ができたら、通常この原則にのっとって〔複数形〕を作る。

  難しい用語で恐縮だが〔歯擦音〕ではない〔有声子音〕、〔無声子音〕、
  〔母音〕で終わる〔名詞〕には、原則として -s をつける。

  dog[d⊃g][dα:g] の[g]が〔歯擦音〕ではない〔有声子音〕。

  book[bUk] の[k]は〔無声子音〕。

  day[deI] の[eI]は〔母音〕。

  〔歯擦音〕で終わる〔名詞〕でも、つづり字が e で終わっている語は -s
  をつける。結果的に語尾が -es になる。judge[d3∧d3] が、この例。
  mirage もそうである。


 (B) box → boxes, lens → lenses, brush → brushes, class → classes
   church → churches,

  〔語尾〕の発音が[s][z][∫][3][t∫][d3]の〔歯擦音〕
  で終わる名詞には、原則として -es をつける。これは[Iz]と発音して
  もらうための工夫である。[s]の発音語尾に直接 -s の字をつけると、
  [ss]や[sz]という発音を要請することになってしまう。これは発音
  しにくいので母音の[I]を間に入れて[sIz]としてもらうために -es
  と e を入れている。[z][∫][3][t∫][d3]についても同様
  である。

  “A Practical English Grammar”A. J. Thomson & A. V. Martinet では、
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peg
  「つづり字が o, ch, sh, ss, x で終わっている名詞には -es をつける」
  としている。

  o については、あとの欄で述べることにする。church の ch は[t∫]の
  発音である。brush の sh が[∫]。class の ss は[s]。box の x は
  [ks]なので[s]で終わっていることになる。

  “A Practical English Grammar”のつづり字には s 単独は出ていないが、
  lens の s は[z]の音になる。そのため -es がついている。

  [3][d3]の音で終わる語のつづりは ge で終わることが多い。(A)の
  最後に紹介した judge, mirage の他、edge, advantage などがある。これ
  らの語は -s だけつければよい。

  さらに[s][z]の発音をするつづり字 ce, se, ze で終わる語も -s
  のみつける。prince, horse, rose, size などがこの例である。


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(2)o で終わる名詞の複数形
………………………………………

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    ・o で終わる名詞の複数形は -es を付けるものが多い。
    ・o で終わる名詞の中にも e なしで -s を付けるものもある。
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 (A) bamboos(竹), folios(二つ折り版), zoos(動物園),
   radios(ラジオ)、ただし、no は二重母音[ou]を保障するため、noes。
  (安藤貞雄著『現代英文法講義』開拓社)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lmeg

  『現代英文法講義』では、「『母音+ o 』で終わる語には -s を付ける」
  「『子音+ o 』で終わる語には -es を付ける」としている。

 (B) heroes(英雄), potatoes(じゃがいも), tomatoes(トマト)
   ただし、solos(独唱)、tabaccos(たばこ)のような外来語や pianos
               tobaccos(2012年2月22日訂正) 
  (ピアノ)、photos(写真)、pros(プロ)のような短縮語には -s を付け
  る。(安藤貞雄著『現代英文法講義』開拓社)

  つづり字 o の直前の発音が hero は[r]、potato, tomato は[t]と
  〔子音〕になっている。

  solo はイタリア語から近代英語初期に流入。tabacco中辞典には出てい
                       tobacco(2012年2月22日訂正
  ないことが多いが、アラビア語起源のイタリア語から流入。
  および一部削除)
  piano はラテン語起源のイタリア語から入った pianoforte の〔省略形〕。
  photo は photograph の〔省略形〕。pro は professional の〔省略形〕。


 (C) dynamo → dynamos, kimono → kimonos, piano → pianos
   kilo → kilos, photo → photos, soprano → sopranos
  (“A Practical English Grammar”A. J. Thomson & A. V. Martinet)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peg

  “A Practical English Grammar”には、「o で終わる単語でも、〔外来語〕
  (外国語起源の語)や〔短縮語〕は -s だけ付ける」とある。『現代英文法
  講義』と同じ説明である。

  dynamo は dynamoelectric machine の〔短縮形〕dynamo-machine をさらに
  縮めて用いられている。

  kimono は日本語起源。

  kilo は kilogram や kilometer を〔省略〕して使っている。多くの辞書は
  kilogram の略としているが、kilometer のことも指す場合があるとする辞
  書もある。

  (c) He'd lost ten kilos in weight.
  (“Collins コウビルド英英辞典 改訂第5版”トムソンコーポレーション)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#cobuild
   「彼は重さの点では(それまでに)10キログラムを失っていた」
   →「彼は体重を10kg落としていた」

  soprano はイタリア語。ラテン語の supra からイタリア語の sopra「上の」
  ができ、そこから soprano「女性の上声部」が生まれた。


 (D) buffalo, buffalos, buffaloes;  mosquito, mosquitos, mosquitoes,
   tornado, tornados, tornadoes;  volcano, volcanos, volcanoes
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu

  -s を付ける人と -es を付ける人の両方がいる名詞もある。-es を付ける人
  の方が多い。

  buffalo は「トナカイ」「水牛」という意味のギリシャ語 boubalos が、ラ
  テン語 bufalus「野牛」を経て、イタリア語 bufalo になり、近代英語期初
  期に英語に入った。

  mosquito は、スペイン語の「ハエ」mosca から生まれた。-ita とか -ito
  は「小さい〜」という意味の〔指小辞〕。「小さいハエ」→「蚊(カ)」。

  tornado は、スペイン語 tronada「雷を伴う激しい嵐」と tornar「回転す
  る」が合成されてできたと考えられている。

  volcano「火山」は、ラテン語の Vulcanus「火と鍛冶の神」が、イタリア語
  volcanoを経て、近代英語期初期に流入。


………………………………………………………………………………………………
(3)子音+y → 子音+ies
……………………………………

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    ・“子音字+y”で終わる名詞の複数形は y を i に変える
     ので -ies になる。
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 (A) enemy(敵)→ enemies,  lady → ladies
  (『徹底例解ロイヤル英文法』宮川幸久、綿貫陽、須貝猛敏、高松尚弘著)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#royal

  現代英語の正しいつづり方では、語末では y、語頭と語中では i を用いる
  からである。16・7世紀のつづり字の習慣に「iが語末に現れるのは認め
  ない」というものがあり、これが適用されてきたようだ。khaki「カーキ色
  の」や spaghetti は、これ以降に移入された外来語である。

  この決まりは他の〔接尾辞〕を付けて作られる語にも当てはまる。

 (B) happy → happily,  mystery → mysterious,  beauty → beautiful
   reply → replied,  amplify → amplification,  busy → business
  (“CAMBRIDGE GRAMMAR OF ENGLISH”Ronald Carter & Michael McCarthy)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#cge

  shyness など〔1音節〕の語は y のまま保持されることがある。shy の部
  分が〔1音節〕。


 (C) Do you know the Kennedys?(NOT...the Kennedies?)
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan, 523.1)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu
    「あなたはケネディー家の人々をご存知ですか」

  〔固有名詞〕の〔複数形〕は、“子音字+y”で終わっていても -s だけつ
  ける。

  “Practical English Usage 3rd Edition”に I hate Februarys. という例
  文が出ているが、Random House Webster's Unabridged Dictionary,       
  American Heritage Dictionary, Collins English Dictionary, Collins  
  Cobuild Dictionary の4辞書では February の〔複数形〕は Februaries
  を掲載している。Merriam-Webster's Collegiate Dictionary は -ies と
  -ys を併記。


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    ・“母音字+y”で終わる名詞の複数形は y の後ろにそのま
     ま s をつける。-ys。
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 (D) toys, days, keys, boys, valleys, bays, rays, trays, essays, ways, 
   monkeys, chimneys(安井稔著『英文法総覧(改訂版)』開拓社)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#betterguide

   〔母音字〕は a, e, i, o, u である。

 (E) buy → buyer, grey → greyish, play → playful, enjoy → enjoyment
   try → trying
  (“CAMBRIDGE GRAMMAR OF ENGLISH”Ronald Carter & Michael McCarthy)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#cge

  この決まりは、他の〔接尾辞〕を付ける場合にも適用される。

  ただし、day → daily などの例外もある。

  2つ目の grey はイギリスつづり。アメリカ英語では gray, grayish が普
  通。


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(4)all the same
…………………………

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    ・all the same「それでもやはり」「にもかかわらず」
            =nevertheless
           「みんな同じ」「似たり寄ったり」
            =just the same

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 (a) It rained every day of our holiday - but we had a good time all  
  the same.(“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
   「休暇中は毎日雨ふりだったにもかかわらず、私たちは楽しい時間を過ご
    した」

  19世紀初めごろから使われている。「全く同じ」という意味が逐語訳なの
  だろうが、どういうわけで「それでもやはり」と使われるのであろうか。
  「さっき言っていたことと全く同じ真実性を持って……」ということであろ
  うか。

  just the same も同様に使われる。

 (b) He's not very reliable, but I like him just the same.
  (“Oxford Advanced American Dictionary”OUP)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「彼はそんなに信用できるやつじゃない。それでもやはり、彼のことが好
    きなんだ」

  〔文〕〔節〕の先頭または最後に置かれる。

 (c)“All the same,” said Peter, with his hands in his pockets, “I  
  don't exactly look forward to telling Mother the whole truth about 
  it.”(“The Railway Children” by E. Nesbit)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#railway
   「『それでもやっぱり、僕はそれについて初めから終わりまで、お母さん
    に本当のことを言うのを必ずしも望んでいるわけではないよ』と両手を
   (別々の)ポケットに突っ込みながらピーターが言った」


 (d) Thank you all the same.「でもありがとう」
   (★相手の好意を断る時などに)
  (三省堂『英語語義語源辞典』小島義郎・岸曉・増田秀夫・高野嘉明他編)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dewme

  断るけれども、やはり感謝しているということか。

  この次の欄の考え方の、何かをしてくれても、してくれなくても同じという
  のは、ちょっと失礼か。


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    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    ・all the same to someone「誰かにとっては全く同じ」
                 「どうでもよい」「差支えない」
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 (e) It's all the same to me whether you go or stay!
  (“The BBI Combinatory Dictionary of English 3rd”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#bbi
   「あなたが行こうが留まろうが、私はどちらでも構わない」
   ←「あなたが行くか、留まるかは私にとっては全く同じです」

  こちらは18世紀の後半から使われている。

 (f) If it is all the same to you, I'd rather have that one I was
  handling just now.
  (THE ADVENTURE OF THE BLUE CARBUNCLE from “The Adventures of
   Sherlock Holmes”by Sir Arthur Conan Doyle)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#holmes
   「もし差し支えなければ(私は)むしろ、たった今、私がさばいていたあ
    のもの[鶏]をいただきたい」
   ←「もしそれが、あなたに向かって全く同じならば、……」


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
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● あとがき

 若いころの体の状態になろうと望むのはぜいたくだが、せめてメルマガが書け
 るくらいの体を維持したい。

 同時多発の体の不調の一つが何とか片付いた。年末年始に強烈な痛みをもたら
 した尿路結石である。

 石は、23日か24日に体外に出たと推測される。25日には血尿が確認でき
 なくなった。昨日30日に尿検査をしてもらったら正常であった。

 一度石ができた者は、その後も石ができやすいという。気を付けて生活しなけ
 れば……。あの痛みはもうご免である。

 残っているのは、胸やけを伴った上腹部の痛みと胸痛の発作である。こちらの
 方は2月の中旬にならないと結果が出ない。


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2012
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
      



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