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第191号 名詞の複数形−2


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.191    20120229   Chick Tack
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             ● 第191号 ●

………………
 Contents         名詞の複数形−2
………………
       (1)[-θ][-f]

       (2)強勢のある短母音+ s, z

       (3)文字・数字・略語

       (4)前(第190)号の記事の訂正


………………………………………………………………………………………………
(1)[-θ][-f]
…………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・長母音・二重母音+[θ][f] は[θ][f]が有声化
     され[δz][vz]の発音になることが多い。
    ・[θ][δ]のつづりはどちらも th なので、つづりの変化
     がない。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (A) bath[baeθ(米)][bα:θ(英)]〔名詞〕「入浴」「浴室」
   → baths[baeδz(米)][bα:δz(英)][baeθs(英)]

  [ae]は1文字。その他、表示できない〔発音記号〕は類似の文字を代用して
  いる。正しい記号は確認しておいていただきたい。

  〔動詞〕bath の〔三人称単数現在形〕baths は、イギリス・アメリカ英語
  の別なく〔-θs〕の発音になる。


 (B) path[paeθ(米)][pα:θ(英)]〔名詞〕「小道」「散歩道」
   → paths[paeδz(米)][pα:δz(英)][paeθs]

  (A)の b が p に換わっただけ。


 (C) mouth[maUθ]〔名詞〕「口」→ mouths[maUδz]

  古英語期や中英語期の英語では、〔母音〕にはさまれた[s][θ][f]
  は〔有声化〕されて[z][δ][v]になっていた。

  mouth の古形は mup[mu:θ]のような語形(本当は p ではない)。こ
  の〔複数形〕は mupes[mu':δ∂z]。[u:]の〔母音〕と[∂]の
  〔母音〕に挟まれる形になるから〔θ〕ではなく[δ]になっている。

  現在では e もつづらず、[∂]は発音されないから、この決まりは適用さ
  れないはずだが、そのまま継続されている。

  house[haUs]の〔複数形〕houses[ha'UzIz]も、この決まりに
  従っている。


  oaths, truths, youths は[-θs]と発声されることもある。
                        2012年4月4日追加記入


    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・長母音・二重母音+[θ][f] は[θ][f]が有声化
     され[δz][vz]の発音になることが多い。(再掲)
    ・[f]から[v]への音の変化を示すため、つづりも -f(e)
     から -ves に変化する。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (D) knife[naIf]〔名詞〕「ナイフ」「包丁」→ knives[naIvz]

 (E) leaf[lI:f]〔名詞〕「葉」→ leaves[lI:vz]

 (F) wife[waIf]〔名詞〕「妻」→ wives[waIvz]


  古英語期からある roof[rUf][ru:f]の〔複数形〕roofs は
  [rUfs][ru:fs]とも[rUvz][ru:vz]とも発音され
  る。rooves のつづりが使われることもある。

  (g) "Rooves" is an older form of the word and rarely used these   
    days.(wikianswers.com、さらに詳しくは下記URLをつなげて)
    http://wiki.answers.com/Q/What_is_the_plural_form_of_roof_-  
    _roofs_or_rooves(リンクを張ったので一部操作が不要になった 2012年4月4日)
    「Rooves は、その語のより古い形(の一つ)で、最近ではあまり使わ
     れない」


  外来語や比較的新しい語では、-ves とならず -fs となるものがある。フラ
  ンス語から入った chiefs[t∫i:fs]、proofs[pru:fs]
  [prUfs]などがある。beliefs[bIli':fs]は、古英語期から
  ある。動詞形 believe との区別のためか、-fs で終わっている。


………………………………………………………………………………………………
(2)強勢のある短母音+ s, z
………………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・“強勢のある短母音+ s, z”で終わる語の複数形は、s, z
     を重ね -es を付けるものがある。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (A) quiz[kwIz]〔名詞〕「クイズ」→ quizzes[kwI'zIz]

  強勢のある短母音(ここではI)を忘れずに発声するためである。


 (B) bus[b∧s]〔名詞〕「バス」
       → buses[b∧'sIz]または busses[b∧'sIz(米)]

  (b) I like riding buses.「私はバスに乗るのが好きだ」
  (研究社『ルミナス英和辞典第2版』竹林滋;小島義郎;東信行;赤須薫編)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lej

  busses が使われるのはまれである。

  (b2) Extra busses could run during weekends and busy seasons.
    「週末や多客期には続行便が運行されることがある」
     (Wikipedia日英京都関連文書対訳コーパス)
      http://ejje.weblio.jp/sentence/content/busses
      ←「週末と忙しい季節の間は、臨時バスが走る可能性がある」


 (C) omnibus[α':mnIb∧s][⊃'mnIb∂s]〔名詞〕「総集編」
       → omnibuses

  (B)は〔短母音〕[∧]に強勢があるため s を重ねることがある。(C)では
  [∧][∂]には強勢がないため s を重ねることはない。ちなみに bus は
  omnibus「乗合自動車」「バス」が短縮されたもの。

  (c) They had lived all their lives in a street where cabs and    
   omnibuses rumbled by at all hours,....
   (“The Railway Children” by E. Nesbit)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#sons
                    2012年4月4日訂正  railway
    「彼らは(死ぬまで)、タクシーと乗合自動車が四六時中騒音をたてて
     走り過ぎる通りで全生涯を過ごした」

  ominibus のための例文だが、たまたま出ている lives は life の〔複数 
  形〕。これは(1)の記事後半の例。

  〔自動詞〕の用法がほとんどの〔動詞〕live が同じ語源を持つ〔名詞〕を
  〔目的語〕にして〔他動詞〕として働くことがある。この場合の〔目的語〕
  を〔同族目的語〕という。例文では (had) lived が〔他動詞〕で  (all  
  their) lives が〔同族目的語〕。語形からわかるように〔同語源〕である。


  (D) gas[gaes]「気体」「ガス」「ガソリン(米)」
     → gases
       少ないが gasses も併記している辞書がある

  (d) After tea, when all the gases were lighted, WORK went more   
   briskly.(“Sons and Lovers” by David Herbert Lawrence)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#sons
   「お茶の時間のあと、全てのガスに火がともされ、仕事はさらにてきぱき
    と進んだ」

  (d2) Instead, molecules in our atmosphere called greenhouse gasses 
    absorb the heat. Greenhouse gasses include water vapor, methane,
    ozone, nitrous oxide, and carbon dioxide.
   (“The Greenhouse Effect and Greenhouse Gasses” KIDS' CROSSING)
    http://eo.ucar.edu/kids/green/warming4.htm
    「その代わりに、温室効果ガスと呼ばれる大気中の分子がその熱を吸収
     してくれる。温室効果ガスは、水蒸気・メタン・オゾン・亜酸化窒 
     素・二酸化炭素を含んでいる」


………………………………………………………………………………………………
(3)文字・数字・略語
………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・文字・数字・略語の複数形は、原則 -'s であったが、現在
     ではそのまま -s とすることが多い。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) She spelt 'necessary' with two c's.
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu
    「彼女は2つのcを使って necessary をつづった」
    「彼女は necessary をつづるときに(間違えて)c を2回使った」

  necce- とつづったのだろうか? それとも nececca- とでもしたのだろう
  か?


 (b) I got three As in my examination.
   (“Problems with apostrophes”-- Capitals)
   http://www.eng-lang.co.uk/apostrophes.htm
   「私は試験でAを3つ取った」

  「As を as と誤解されるのを避けるため A's とすることは可能だが、A を
  大文字にしてあるためこれで良いだろう」と上記サイトは言っている。


 (c) Arrange four 7's (neither more nor less) with arithmetical signs 
  so that they shall represent 100.
  (“Amusements in Mathematics” by Henry Ernest Dudeney)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#aim
   「100になるように、算数の記号とともに7を4つ(だけ)工夫して配置
    しなさい」
   「7をちょうど4つと算数の計算符号を使って、計算結果が100になるよ
    うに式をつくりなさい」

   neither more nor less は「それより多くもなく少なくもなく」という意
   味だから「ちょうどそれだけの量(を使って)」ということを表している。


 (d) AIDS spread rapidly during the 1980s.
  (“English Vocabulary in Use”Michael McCarthy, Felicity O'Dell)
   「エイズは1980年代中に急速に広まった」

  1980's とすることも可能。

  spread は〔原形〕と三単現を除く〔現在形〕・〔過去形〕・〔過去分詞〕
  が同じつづり。


 (e) The popular name of UFO's is“flying saucers.”
   「UFOは俗に『空飛ぶ円盤』と呼ばれている」
   (江川泰一郎著『英文法解説(改訂三版)』金子書房 §10-D)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#newguide

  (b)の例文を採ったサイトでは CDs, PCs「パーソナルコンピュータの複数形」
  を推奨しているので UFOs を勧めるはずである。


 (f) Dot your i's and cross your t's.
   「(あなたが書く)iに点を打って、tには横棒を引きなさい」
   →「慎重に物事を行いなさい」

  こういう慣用表現がある。アポストロフィーがないと is と間違えられる。
  t's もアポストロフィーがないと危ないか?


………………………………………………………………………………………………
(4)前(第190)号の記事の訂正
………………………………………………

  前(第190)号の(2)の記事中に誤りがあった。お詫びして訂正する。

  「たばこ」のつづりを間違って記憶していた(〃_ 〃)ゞ
  辞書で探してもないはずだ へ(* ̄ー ̄)>

  訂正部分はこちら↓
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/181-200/egu190.html#impr1


………………………………………………………………………………………………
 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html


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● あとがき

 そのエコ、本当にエコなの?

 エコ(Eco)というのは Ecology「生態学」の略語ということだ。多くの場合 
 「エコロジー活動」=「地球環境を優しく保護する活動」という意味で使って
 いるようだ。

 私がこの「エコ」という言葉を耳にし始めたころ、「節約」という意味で使っ
 ているように感じた。そのため Economy「経済」「節約(すること)」の略語
 だと思っていた。

 私が言うまでもなく、エコにはお金がかかるということは気付いていらっしゃ
 ると思う。

 「原発推進はエコなのか?」という大きな問題を論じるつもりはない。もっと
 小さいことが気になっている。

 最近数杯分のコーヒー豆を粉砕できる電動ミルを買ってきた。コーヒーを毎日
 飲むと胃の調子がおかしくなるので、コーヒー豆挽(ひ)きには使わず、煎り
 豆やピーナッツ・緑茶など、粉にできそうなものは片っ端から粉末にしている。
 料理に混ぜたり、ご飯に振りかけたりして楽しんでいる。

 出汁(だし)を抽出した後の煮干(にぼし)も粉砕している。今までは捨て 
 ていたものだ。カルシウムもとれてうれしいことである。ただ、問題が……。

 ミル器に入れる前に煮干をフライパンで煎らなければならない。乾燥させるま
 でにかなりの熱量が必要なのだ。もちろん、お財布の方の Economy は気にな
 る。そのまま捨てれば、ガス・電気代が要らないのだ。

 しかし、食材を捨てずに使うという環境配慮の Ecology の観点からみれば、
 実行した方が良いのである。待てよ。二酸化炭素を発生させ、エネルギーを余
 分に消費している事実はどうなのだろう。

 あれこれ考えながら、今朝も煮干を煎って粉末にした。煎ったフライパンを洗
 う水道代や、煎る労働時間……。最後はエゴ(egoism)が「もうやめとけ」とさ
 さやいた。


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 お見舞いメール等、ありがとうございます。ヽ(∇⌒ヽ)三(ノ⌒∇)ノ

 本調子ではありませんが、何とかやっております。 (((-−)(−-).oO


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        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2012
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