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[4]英文の目的格補語になる原形不定詞

こちらは高校英語の文法範囲となります。【原形不定詞(げんけいふていし)】に対し、[3]で習った〔不定詞〕は、【to不定詞(トゥーふていし)】と呼ぶことが標準となっています。中学生の段階では、〔to不定詞〕しか習わないので特に区別する必要がなかったのです。

〔原形不定詞〕とは、前に to がつかない動詞の原形のことで、助動詞の使われている文中の動詞も〔原形不定詞〕だったのです(実は中学で習っていた)。 I can play the piano. の play が原形不定詞です。この使い方はよくありますが、その他は、限られた場所でしか使われません。どこで使われるか学習していきましょう。高校以上のレベルの英語では、非常に大切な部分でもあります。

〔目的格補語〕になる部分は、正確に言うと「原形不定詞に導かれる句」の部分です。私は〔形容詞句〕と考えていますが、そのことに言及していない学習参考書もあります。そんなこと知らなくても、英語の理解はできるからです。


(1)使役動詞が使われている文の目的格補語


使役動詞 make

(1) We will make him go there.

「私たちは彼をそこに行かせます」という意味になります。
We が 〔主語〕、will make が【使役動詞(しえきどうし)】、him が〔目的語〕、go there が【目的格補語】の〔第5文型〕となっています。him=go there、He will go there. の関係があることを確認してください。

(1)の文を受動態に書き換えると、
He will be made to go there.
と〔to不定詞〕にしなければいけません。このあたりは、問題作成者が狙ってくる部分でもあります。意識しておいてください。

【使役動詞】とは、「〜に……させる」「〜に……してもらう」という意味を持つ動詞のことです。英語では、make, let, have という使役動詞の後ろには、“目的語+原形不定詞”を続けることになっています。

もう1つ例文を、
I made my family disappear.(映画「ホーム・アローン」より)
I've made .... かも、そこは聞き分けられません。意味は自分で考えてください。


使役動詞 let

(2) We'll let you know the answer after spot commercials.

「私たちは、コマーシャルの後で、あなたがたに、その答えを知らせてあげるでしょう」→「答えはコマーシャルの後で」 We が〔主語〕、(will) let が【使役動詞】、you が〔目的語〕、know the answer が【目的格補語】となっています。after spot commercials は〔副詞句〕です。

使役動詞 let を使った文の受動態は、ほとんど見られません。これは考えなくても良さそうです。どうしても受動態をつくりたいときは、allow(〜させておく;〜するのを許す)、permit(〜するのを許す)を使います。ただし、この〔使役動詞〕は、能動態での目的格補語として原形不定詞ではなく、【to不定詞】を選びます。

(let)His father didn't let him marry her.
    「彼の父親は彼が彼女と結婚するのを許さなかった」
(allow)His father didn't allow him to marry her.
(受動態)He wasn't allowed to marry her by his father.
確か、何年か前のセンター試験の4択問題に、この能動態に近いものが出ていました。


使役動詞 have

(3) I had the man paint the house.

「私はその男の人に家のペンキを塗らせた」「私はその男の人にペンキで家を塗ってもらった」
have は、使役の意味が弱く「塗らせた」より「塗ってもらった」の方がしっくりくる場合もあります。

  (×)The man was had to paint the house by me.
のように have は受動態になることはありません。
    =I had the house painted by the man.
と【過去分詞】に導かれる句が〔目的格補語〕となる文には書き換えることができます。〔目的語〕が the house になっていることに注目してください。the house は paint するのではなく、paint される方なので〔過去分詞〕となっているのです。


使役動詞 get

(4) The man got his son to wash his car.

「その男は自分の車を息子に洗わせた」

get は、使役動詞でも、make, let, have とは異なり、【to不定詞】を〔目的格補語〕とします

先ほどの allow や permit(許す)なども【to不定詞】派です。この他、似たような意味を持つものに、compel(無理やり〜させる)、oblige(無理やり〜させる)、force(無理に〜させる)、cause(〜させる)、lead(〜するように導く)、leave(〜のままにしておく)、tempt(〜する気にさせる)、urge(〜を勧める)などがあります。これらの動詞は、“目的語+to不定詞”が続きます。たいていの英和辞典には、この情報は書いてあるので、辞書をひくときにそこまで確認してください。こういうのを【語法(ごほう)】といいます。高校生以上では、この語法は一番出題しやすい問題になります。


help(〜が……するのを手伝う)

(5) I sometimes help my brother(to) do his homework.

「私は時々、弟が宿題をするのを手伝います」

help は、〔使役動詞〕と言ってもいいのかどうかわかりません。大切なのは、help の〔目的格補語〕は、〔原形不定詞〕でも〔to不定詞〕でも、どちらでも良いということです。イギリス英語は〔to不定詞〕を好み、アメリカ英語は〔原形不定詞〕を好むということです。口語ではいずれも〔原形不定詞〕が主流です。

〔受動態〕は、もちろん〔to不定詞〕を使います。
    (受動態)My brother is sometimes helped to do his homework by me.

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(2)知覚[感覚]動詞が使われている文の目的格補語

(6) I saw him enter the room.

「私は彼がその部屋に入るのを見た」

see, watch, look at, hear, listen to, feel, notice, perceive, observe といった、目で見たり、耳で聞いたり、肌で感じたりする動詞を【知覚(ちかく)動詞】または【感覚(かんかく)動詞】と呼んでいます。そして、この〔知覚動詞〕の〔目的格補語〕には、〔to不定詞〕ではなく〔原形不定詞〕を使うことになっています。以下のようになります。

主語+知覚動詞+目的語+原形不定詞...

でも、〔知覚動詞〕が出てきたからといって〔原形不定詞〕しかないと決め付けてはいけません。
    (目的格補語が現在分詞)I saw him running.  「私は彼が走っているのを見た」

このように〔現在分詞〕(に導かれる句)が〔目的格補語〕となる場合もあります。私はこの部分が〔原形不定詞〕ならば「SはOが〜するのを……」と訳し、〔現在分詞〕ならば「SはOが〜しているのを……」と訳すことを基本にしています。もちろん他の要素が加わり、訳を変えることはあります。

〔原形不定詞〕ならば、その動作を「最初から最後まで」見たり聞いたことになり、〔現在分詞〕ならば、「その動作の一部分を」見たり聞いたりしただけ、と説明してあることがあります。

したがって、
    (目的格補語が原形不定詞)I saw him run.  「私は彼が走るのを見た」

彼が走り終わるのを見とどけているのです。まあ、それほど厳密に使い分けているわけではないと思いますが、原則はそうです。ですから、(6)の例文の動詞enter のように「一瞬で終わるような動作」は〔現在分詞〕が使いにくいのです。
    (目的格補語が現在分詞)I saw him trying to enter the room.
          「私は彼がその部屋に入ろうとしているところを見た」
    (動詞をcatchにする)=I caught him trying to enter the room.
と try を使ってやるとそれらしくなるようです。

(6)の受動態は、
     He was seen to enter the room by me.  「彼はその部屋に入るのを私に見られた」
と、〔原形不定詞〕の部分が〔to不定詞〕に変わります。このパターンは、〔使役動詞〕と同じですからわかりやすいですね。

watch, look at,listen to の受動態は、(あまり)見られません。


精神的知覚を表す feel

(7) I felt something crawl up my leg.
(8) I felt her to be a honest girl.

(7)「私は私の脚を、何かがはい上がってくるのを感じた」
(8)「私は、彼女が正直な女の子であると感じた」

(7)のように皮膚の感覚、つまり身体的な感じを受けた場合、目的格補語には〔原形不定詞〕が使われます。これは今まで述べたことと同じですね。でも、(8)のような【精神的】【感性的】な感覚には、to be...と〔to不定詞〕がやってきます。ただし、be の他の動詞が目的格補語となることはないようです。

(8)=I felt that she was a honest girl.≒I felt her honest.


経験の know

know が「見たことがある」「聞いたことがある」という過去の経験を振り返っている場合は、目的格補語に〔原形不定詞〕が用いられることがあります。疑問文や否定文で使われることが多いようです。

(9) I've never known him (to) lose his temper.
大修館ジーニアス英和辞典第3版 P1042 より引用

「私は彼が理性をなくしたところを見たことがない」

合衆国では、〔to不定詞〕が好まれます。また通常、know は過去形か完了時制で用いられます。当たり前のことながら受動態になれば〔原形不定詞〕の部分は〔to不定詞〕になります。

=He has never been known to lose his temper.
=He is never known to have lost his temper.


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