Chick Tack 英語5文型  >  メール・マガジン『中学英単語』  >  451号〜500号目次  >  479 wind

wind

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┃_┌───┐ 中学英単語   第479回   wind            ┃
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479.wind



<発音>――――――――――――――――――――――――――――――――
★[wInd ウィンド]

  mind[maInd マインド] や kind[kaInd カインド]、find  
  [faInd ファインド] のように、通常の規則に従うと wind も
  [waInd ワインド]となりそうです。

  実際「巻く」「曲がる」という意味の〔動詞〕wind は[waInd ワイン
  ド]と発音します。

  しかし、「風」の wind は、[wInd ウィンド]と発音します。気を付
  けましょう。

  派生した語の windy[wI'ndi] や windmill[wI'ndmIl]から、
  逆移入されたのではないかと推測されています。

  詩などでは、「風」の wind を[waInd ワインド]と読ませる場合も
  あります。


<品詞と意味>―――――――――――――――――――――――――――――
★[名詞]  {複数形:winds[wIndz ウィンズ]}

     {形容詞形:windy[wI'ndi ウィンディ]「風のある」「風の強い」}

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☆(1)風、強風

 The wind came from the west.《中2》
 (“Oxford Collocations Dictionary for Students of English”Diana Lea)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ocdse
   「風は西から(吹いて)来た」「風は西風だった」

  〔名詞〕としての wind ですが、〔定冠詞〕the が付くときが多いようです。
  〔数えられない名詞〕としても使いますが、種類を述べるときは〔数えられ
  る名詞〕になります。

 The wind is blowing hard.《中1》
  (Merriam-Webster's English Learner's Online Dictionary)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/onlineeed.html#mwl
   「風が激しく吹いている」

  It's windy.「風が強く吹いている」と〔形容詞〕を使う表現がよく使われ
  ます。例文は少しかたい。

 ...a cold wind blew through the dark woods,...《中2》
  (“Gone With The Wind”by Margaret Mitchell)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer04.html#gww
   「冷たい風が暗い森[木々の間]を吹きぬけた」

  a cold wind や a strong wind, a light wind など、〔形容詞〕を前に置
  き種類を示しているとき、〔数えられる名詞〕になります。

 Fires spread by strong winds have caused widespread damage.《中3》
 (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
   English”Palgrave Macmillan)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#meda
   「強風によって広がった火事は、広範囲にわたる被害を引き起こした」
   「強風によって広がった火事が、広範囲にわたる被害の原因になった」

  〔複数形〕で使っています。

  wind は、「風」を表す一般的な語です。何も説明がなければ、あまり気持
  ちの良い風とは受け取られません。「心地よい風」は breeze「そよ風」 
  「微風」で表します。

  blast や gust は「突風」で、gale は「強風」「暴風」です。

 An unexpected gust of wind blew away her umbrella.《中3》
  (“Scholastic Children's Thesaurus”John K. Bollard)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/words100/referw01.html#sct
   「予期せぬ突風が彼女の傘を吹き飛ばした」

  a gust of wind「一陣の風」「突風」と組み合わせて使うこともあります。


<教科書採用状況>―――――――――――――――――――――――――――

  ★★★★☆☆ 4/6

  Crown と Horizon には、本文掲載がありません。


<語源>――――――――――――――――――――――――――――――――

  名詞 wind は、ゲルマン語起源の言葉です。古英語・中英語期を通じて
  wind の形で使われました。中英語期は[waInd ワインド]と発音され
  ていたようです。

  古サクソン語・古フリースランド語・中世オランダ語・古高地ドイツ語とも
  に wind でした。

  現代ドイツ語は Wind、オランダ語は wind です。

  古北欧語は vindr、現代スウェーデン語・ノルウェー語は vind です。

  ゴート語は winds でした。


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  インド・ヨーロッパ祖語の言葉は「吹く」という意味の語から派生し、形が
  できたようです。

  サンスクリットは vatah、アベスタ語 vata-、ヒッタイト語 huwantis、
  ラテン語 ventus、古教会スラブ語 vetru、リトアニア語 vejas が、それ 
  ぞれ「風」の意味で使われたようです。ケルト語系のブルトン語 は gwent
  でした。

  ラテン語の子孫の現代フランス語は vent、イタリア語は vento、スペイン
  語は viento、ポルトガル語は vento です。


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  wind と同じインド・ヨーロッパ祖語から流れてきている現代英語の単語は
  次の通りです。

  weather「天気」、window「窓」、vent「通風孔」「換気する」、
  ventilator「換気装置」、wing「翼」。

  納得できますね。

  仏教用語に Nirvana[ニルヴァーナ]「涅槃(ねはん)」「涅槃の境地」
  という言葉があります。サンスクリット(梵語)です。

  この言葉は「吹き消すこと」というのが基の意味です。人間の煩悩(ぼんの
  う)を全て吹き消して、心の平安を得るのです。「さとり」と訳されること
  もあります。仏となるのです。仏教徒の目指す最終の目的地だと思います。

  少し前に「千の風になって」という歌が、大きくクローズアップされました。
  基になったのは“Do not stand at my grave and weep”という英語の詩で
  す。その詩の中に“I am a thousand winds that blow”という部分があり
  ます。「私は吹き抜ける千の風です」とでも訳しておきます。

  論理的に正しいわけではありませんが、涅槃の境地に至って亡くなった人物
  は、「風」となって地球上のものを見守ってくれているのでしょう。


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  「風」の象形文字は、「鳥」の頭に冠を左右に二つ着けた形でした。この冠
  が「凡」で、これが1つになります。「鳳」という字ができあがります。

  中国では「おおとり(鳳)」は、風神の使いと信じられました。「鳳」の 
  「鳥」はやがて動物全体を指す「虫」に入れ替えられます。「風」の誕生で
  す。

  一説には、「虫」は爬虫(ハチュウ)類を指す字だと言います。風神は「竜」
  の姿で現れ、風を起こします。竜も爬虫類です。

  「凡」は「帆船」という言葉からも分かるように、何かを「広げる」という
  意味を持っています。神の息吹が広く行き渡って、動物に生を吹き込む。そ
  んな心が「風」に宿っているようです。


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  日本語の「かぜ」の語源は、小学館『日本語源大辞典』では15説もあり、
  とても紹介しきれません。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/words100/referj.html#ngdj

  有力なのは、古語の「風」は「せ」または「ぜ」「じ」と発音していて、 
  「か」は「気」のことだというものです。「気風(かじ)」が「かぜ」とな
  ったとする説です。

  「風邪(ふうじゃ)」という字は、「体に悪影響を及ぼす風」という意味で
  使われていました。やがて、その風に当たって、お腹が痛くなったり、風邪
  を引いたり、頭がおかしくなったりする場合にも使われるようになりました。

  人間の体だけでなく、お茶や食べ物・薬なども空気に触れて酸化したりする
  ことも「風邪を引く」という表現がありました。

  病気の「かぜ」に「風邪」の漢字を当てるのが一般化したのは明治以降です。


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次回は window です。
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◆あとがき◆

 語源欄に出てきた vent「通気孔[口]」は、ラテン語の ven が基になってい
 ます。

 下のブログの次のページで紹介していますが、唐箕(とうみ)という農具があ
 ります。http://sobey.at.webry.info/201311/article_29.html

 ファン(うちわ)を回転させて、風の力で作物と殻・ゴミを分別します。

 もちろん形は違いますが、物理原理としては同じ考えの農具が古代ローマにも
 ありました。その農具の名前が vannus です。大きな扇子と考えてもらっても
 いいでしょう。

 この vannus は、英語に入ったときに v が f に代わり、fannus になりまし
 た。やがて nus が取れて fan「ファン」「扇」になります。


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 ◆ブログ『丹生川郷下村通信』:http://sobey.at.webry.info/
  『万葉集』の鑑賞を始めました。

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