継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例
 
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2015
. 4.12


 平成25年に改正された労働契約法では「同一の使用者との間で有期労働契約が繰り返し更
新されて通算5年を超えた場合は、労働者の申込により、無期労働契約に転換できる」と言う
条文が加わりました。

 会社の意思に関わらず、有期労働契約が通算で5年を超える場合には労働者の意思によって
有期労働契約が強制的に無期労働契約に転換されると言うものです。

 この法律の最も大きな問題は、定年で退職した労働者に対して継続雇用した場合、契約の内
容が1年更新であったとしても通算で5年を超えた場合にはやはり法律通り無期契約にしなけ
ればならないのか?というものです。
 とすれば、労働者の意思により無期契約、言葉を換えれば強制的に終身雇用契約に転換され
る内容であり、法律の趣旨はともかく、企業の実態にそぐわないのは明確です。

 法律が施行されたのは平成25年で、1年更新であれば平成30年から、3年更新であれば
平成28年から順次適用される労働者が出てくることになります。

 平成27年4月1日から施行される「専門的知識等を有する有期雇用労働者に関する特別借
置法」では、この不合理な内容に対して一定の例外を認める形で施行されました。

 定年後に有期契約で継続雇用される高齢者に対してはその適用を除外するというものです。
 (本稿では専門的知識を有する者を省いて記載しています)。

 定年再雇用した者に対しで無期契約というのは常識的に見てあり得ない話ではありますが、
法律の例外として認めるに当たり、若干の手続きが必要になってきます。それは認定申請です
 無期転換ルールの特例を受けるためには、事業主が雇用管理措置の計画を作成し、都道府県
労働局長の認定を受けることが必要になってきます。

 継続雇用の高齢者については”継続雇用の高齢者に係る計画(第二種計画)”になりますが
特例の対象となる有期雇用労働者の特性に応じて事業主が行う雇用管理に関する措置の内容を
記載しなければなりません。

 雇用管理に関する措置というと難しく感じるかも知れませんが、高年齢者雇用推進者を選任
する、建康管理・安全衛生の配慮をする、知識・経験等を活用できる配置や処遇を推進すると
言った内容で、それほど難しいものはありません。

 ただし、有期雇用特別措置法による特例の適用に当たっては、紛争防止の観点から、事業主
は労働契約締結・更新時に、特例の対象となる労働者に対して、定年後引き続いて雇用されて
いる期間が、それぞれ無期転換申込権が発生しない期間であることを書面で明示する必要性が
あります。

 四月以降には各労働基準監督署でも詳しいリーフレットが配布される予定となっていますの
で参考にされるとよいでしょう。


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 大阪  ・・・・ 10.04%(健保)    1.58%(介護)
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 兵庫  ・・・・ 10.04%(健保)    1.58%(介護)
 奈良  ・・・・  9.98%(健保)    1.58%(介護)
 鹿児島 ・・・・ 10.02%(健保)    1.58%(介護)




(社会保険労務士・後藤田慶子)


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