パートタイマーの社会保険加入拡大
 
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2016
. 1.10


 本年10月より従業員数が501人以上の会社は年金機能強化法によって短時間労働者に対
する厚生年金・健康保険の適用が拡大されます。

 今まで社会保険に加入するには、おおむね週30時間以上の働き方をする場合とされていま
したが、これが週20時間以上の働き方であって、次の要件を満たす場合には社会保険に加入
することになります。

  ①月額賃金8.8万円以上
  ②1年以上働く見込み込みがある

 加入要件を満たさない働き方をしていたパートタイムで、夫の健康保険の被扶養者になり、
国民年金の第3号被保険者として国民年金保険料を支払わなくても良かった方でも、改正によ
って妻自身で社会保険に加入しなくてはならない場合が発生します。

 自身で社会保険料を支払うことになり、これを機会に、働き方を考えるパートタイマーさん
も多いでしょう。

 週20時間末満の働き方に変更して、被扶養に入り続けるのか、今のままの働き方で社会保
険に加入するのか、いっそのことフルタイムで働くのか、など「働き方の選択肢」を設ける等
会社にとってもの柔軟な対応が求められています。

 改正で最も深刻なのは、大企業の中でもパートタイマーさんによって支えられていると言っ
ても過言ではない、大手スーパーや飲食店などではないでしょうか。

 12月5日の日経新聞では「パート就労拡大へ補助金」と題しての記事がありました。


   ” 政府はパートで働く主婦などが労働時間を増やすための支援をする。
     就労時間の延長と賃上げを条件に企業に補助金を配り、社会保険料の
    負担を和らげる。対象は20万人程度のパート労働者になる見通し。
     社会保険料負担を懸念して働く時間を減らす動きを抑え、人手不足の
    緩和につなげたい考え。ただ2019年度までの一時的な政策となる。
    (一部略) 


  対策は、16年から19年までの4年間で

  ① 大企業で2%、中小企業で3%以上の賃上げ
  ② パート労働者が働く時間を、週5時間以上延長するなどを条件に、労働時間の
   拡大に対して、パート労働者1人あたり20万円、賃上げ率に応じ2万円以上の
   補助金を支給するというもの。

  適用拡大は平成31年10月以降、全企業に適用することも検討されています。

 補助金の原資は雇用保険からです。大企業の救済が目的でしょう。全ての会社に適用拡大し
た際にも補助金の対策は打ち出されるのでしょうか。


(社会保険労務士・後藤田慶子)


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