ブラック企業・ブラックバイトを考える
 
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2016
. 2.10


 昨今、ブラックバイトという言葉をテレビや新聞でよく見かけるようになりました。

 企業が利益追求を考えるあまり、安い賃金・短期間で雇うことができる学生アルバイトに対
して長時間労働、無理なシフトの押しつけ、一方的な時給の引き下げをするなど、劣悪な労働
環境を強いるケースが後を絶ちません。

 最近では、学生がブラックバイトユニオンを結成したり、弁護士団体などが相談窓口を開い
たり様々な対策はとられているものの、学校や就職活動を中心とした学生にとって、実際に権
利を行使するのはなかなか難しいでしょう。

 先日、ある雑誌に居酒屋「塚田農場」をはじめ、数多くの飲食店を経営するエー・カンパニ
ーの異色な経営スタイルが紹介されてました。

 アルバイトの採用倍率は応募9人に対し1人の採用。
シフトは強要せず、全国のアルバイトを集めた感謝際を開催。社員とともにミーティングに参
加し、接客術の研修制度も充実。さらには就職活動中の大学生アルバイトに対し、応募書類の
添削や面接の練習から合同企業説明会でのマッチングまで、トータルにサポートする就活支援
プロジェクトの提供といった充実した制度を導入しています。

 学生アルバイトにとって手厚すぎるともいえるこの制度、実は企業にとって大きな利益をも
たらしました。
 大学生のアルバイトは、お店にとって貴重な人材。しかし就職活動が始まると極端に勤務日
数が減り、精神的にも不安になる。就活を会社が全面的にバックアップすることで、早期に就
職が内定、シフトも増え研修にも積極的に参加し、接客レベルも上がるというわけです。

 ブラック企業、ブラックバイトなどの問題は、企業側の悪しき体制、雇われる側の社会倫理
教育の不足など様々な要因はありますが、企業にとっても、労働者にとっても、さらには社会
にとっても有益となる新しいしくみを構築していくことが、これからの課題といえるのではな
いでしょうか。

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 ~学生アルバイトの労働条件確保で業界団体に要請~
 
 厚生労働省は、学生アルバイトの多い業界団体に対し・・・・

 ①労働契約締結の際の労働条件明示、賃金の適正な
  支払、休憩時間付与などの労働関係法令遵守

 ②学業との両立のためのシフト設定を配慮
  など自主適な点検実績を要請した。

           (労働法令通信 1/28号より)

(社会保険労務士・後藤田慶子)


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