雇用保険法の改正
 
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2016
.4.9


  総務省が発表した労働力調査では、2015年度の「完全失業率」が3.4%と、前年に
 比べ0.2%低下、5年連続の低下となりました。一方、少子高齢化が進展するなかで、
 高齢者、女性等の就業促進や雇用の継続を図ることが今まで以上に求められています。
  これらの問題に対応すべく、「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が提出され、3月
 29日に国会で成立されました。改正の内容と施行は次の通りです。

  
・雇用保険料率の変更(平成28年4月1日施行)
  完全失業率の低下による失業給付等の減少により、雇用保険料率が引き下げられました

  〈雇用保険料率〉

  平成27年度の年度更新では、「概算保険料」を改正後の雇用保険料率で算出することに
 なります。

  
・65歳以上への適応拡大(平成29年1月1日施行)
  従来は、週20時間以上で加入条件を満たしていたとしても、65歳以降に入社する人
 は雇用保険に加入することはできませんでした。団塊の世代が65歳に到達し、高齢者の
 就労希望が大幅に増加していることを考慮し、年齢要件がなくなり、加入できるようにな
 りました。
  施行日以降新たに入社する人で、加入条件を満たす人は65歳以上でも雇用保険の適用
 対象とし、「高年齢被保険者」という種別が誕生します。

   
・雇用保険料免除措置の廃止(平成32年4月1日)
  現在、毎年4月1日時点で満64歳以上の被保険者については、その後の雇用保険料が
 免除されています。前述の適用拡大にあわせ、4年の経過措置が設けられた後、平成32
 年にこの免除制度が廃止される予定です。
  高年齢者を活用してきた中小企業に新たなコスト増が予想されるため、今後、高年齢者
 向け健康診断制度導入や65歳以上の新規雇入れに対する助成金が検討されています。

  
・高年齢被保険者への失業給付等の支給
  今回の改正により、65歳以上で再就職した人も被保険者になることができますので、
 条件を満たせば「高年齢求職者給付金」や「就業促進手当」「教育訓練給付金」なども支
 給対象となります。

  また、高齢者以外にも期間雇用者の育児休業・介護休業申出対象者の拡大、介護休業の
 分割取得や所定労働時間制度、介護休業給付金の支給率の引き上げなど、様々な改正が盛
 り込まれており、これらは平成29年1月1日を施行とされているため、就業規則や社内
 書式等の整備が必要となるでしょう。
            
           

(社会保険労務士・後藤田慶子)

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