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2016
.9.19
マイナス金利・ヘリマネと年金


  マイナス金利が適用され、半年が過ぎた。それにも拘らず依然として物価は上昇しない
 ついにはヘリコプターマネーなる政府・日銀が紙幣をばら撒き、花咲かじじーになるとい
 う、究極の金融・財政政策が話題になっている。

  具体的には、日銀が国債を政府から買い取り、政府は返済の義務がないというこたであ
 ろう。これまでの社会秩序が壊されるとの感を禁じ得ない。国際化、情報化、高齢化によ
 り経済社会が大きく変化し、従来の手法では対応出来ないところまで来ているということ
 であろう。

  これらの影響が年金の仕組みに課題を突き付けている。すでに生命保険会社は、個人年
 金保険商品の新規契約の中止に動いている。マイナス金利の前提で個人年金を統計すれば
 保険料より給付費の方が下回る商品になる。現金を持っていた方が良いことになり、商品
 の体をなさない。マイナス金利を公的年金制度に当てはめてみよう。世代間扶養の賦課方
 式の下で、ある程度の積立金を保有し、保険料率は来年上限を迎える。給付は物価・賃金
 などの値に基づき、マクロ経済スライドが行われる。原理的には賦課方式であり、利回り
 は制度成立の決定要因とはならない。それでも、利回りが低下すれば、現在保有の積立金
 の減少速度が速くなる。財政の安定維持のために、給付水準である所得代替率を下げるこ
 とも必要になるかもしれない。

  日銀総裁からマイナス金利の深掘も検討に値するとの発言があり、また、低所得者への
 給付金支給という、ヘリコプターマネーを連想させるような政策も実施される。経済社会
 の大きな変化へ対応するためとはいえ、出来ることなら、これまでの常識が通用しなくな
 るような金融・財政政策は避けて通りたいものである。
                  (週間年間実務 8月29日号 ズームアップより)




年金統計(平成26年度末)

  (厚生年金の被保険者状況)

  平成26年度末の被保険者数は、前年度末に比べて71万人増加し、制度発足以来最多
 となっている。

                           男性  女性 
 被保険者数 22,929千人  13,057千人 
 年齢構成
(40~44の割合)
14.9%  13.5% 
 平均年齢 43.8歳  41.7歳 
 被保険者の標準報酬月間平均  348,043円  234,554円
被保険者の標準賞与額1回平均
50万6千円  30万 
 総報酬ベース・年額 499万2千円  325万4千円 
 標準報酬月額の分布   620千円/212万人   220千円/124万人  

  (厚生年金受給者状況)


  平成26年度末の厚生年金受給者数は、前年度末に比べて76万8千人増加している。

        男性              女性       
         受給者数            32,932千人 
年齢構成
(65~69歳の割合) 
26.2%/375万人  25.3%/373万人 
老齢年金月額平均
(65歳以上) 
179,578円  108,384円 




  (日本の人口)

  平成28年1月1日現在の日本の人口は、前年に比べ27万人減の1億2,589万人
 で過去最大の減少数となっている。さらに、最も多い年齢階級は65歳~69歳の982
 万人、40歳~44歳の976万人となっていて、45歳以上人口が全国人口の過半数を
 占めた。
 



  
~厚生年金保険料率が改定されます~

  9月分(10月納付分)より、17.828%から
18.182%に改定されます。


  
~算定届により報酬月額が運用されます~

  「算定届」による報酬月額が、9月分(10月納付分)から適用されます。
  年金事務所から届いた、健康保険・厚生年金保険の「標準報酬月額決定通知書」を確認
 して下さい。




           

(社会保険労務士・後藤田慶子)
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