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    オフィス通信    2017年3月 1日
働き方改革実現会議で残業時間の上限を・・・

  政府は2月14日に「働き方実現会議」を開き、36協定上限を月平均60時間・年
 720時間までとすること、違反企業に罰則規定を盛り込むといった上限規制案を提示
 しました。


  36協定とは


 労働基準法第32条では、「労働者に1週間に40時間を超えて労働させてはならない
 1日について8時間を超えて労働させてはならない。」としています。その罰則規定は
 6ヶ月以下の懲役又は30万以下の罰金となっています。
  しかし、第36条では「労使協定をし、労働基準監督署に届け出た場合においてはこ
 れにかかわらず、その協定の定めるところによって、労働基準を延長し、又は休日に労
 働させることができる。」としています。
  正式名称は、「時間外・休日労働に関する協定届」といいますが、法律の第36条を
 とって「36協定」と呼ばれています。


  36協定の延長時間の上限

  労働基準延長の上限は、法律ではなく「労働時間の延長の限度等に関する基準」によ
 り、原則1ヶ月45時間、1年360時間と規定されています。
  上限に収まらない場合でも、一時的・突破的であること等を条件に「特別条項」を付
 けて協定すれば、360時間の限度を超えて延長することができます。
  特別条項の定めについては「限度となる時間は示されておらず、労使当事者の自主的
 協議に委ねられている。」とされているだけで、法律的な縛りはありません。

  【特別条項に定める時間の例】 30時間×6ヶ月=180時間
                 60時間×6ヶ月=360時間
                       合計 540時間

  政府は、3月末までの方針決定に向け、議論をすすめています。
 ・残業上限を月45時間・年360時間とする。
 ・特例として、臨時的で特別な事情があると労使が認定した場合には、月平均約60時
 間・年間720時間を残業上限とする。


  改正案を考える

  今の36協定は、強制力のない大臣告示となっています。
  改正案では上限を法律に明記する為、それを超えて時間外労働をさせた場合には企業
 側に罰則が科されたり、企業名の公表も今日かされるかも知れません。
  法律の罰則があるから時間外労働を減らそう、という考えは果たしてどうでしょうか
  脳・心臓疾患の労災認定基準では、月45時間を超えて長時間労働すると、時間が増
 加するごとにそのリスクは徐々に強まるとされています。また、精神障害の重要な要因
 の一つとして位置づけられています。最近、勤務間インターバル制度を導入した中小企
 業への助成金が創設されるなど、勤務終了時から翌日の始業までに一定の休息時間を設
 けることで、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を実現するという考え方
 に関心が高まっています。
  人間の脳は、朝起きてから13時間しか集中力が持たないという学説があります。7
 時に起床したのであれば20時までしか良い仕事はできないそうです。
  限られた時間の中で、いかに働く人の能力を引き出せるかを考える時代がやってきた
 のしれませんね。



     




  ~協会けんぽ保険料率・介護保険料率改定~

  平成29年3月分の保険料より適用されます。

      【健康保険料率】
都道府県 現行  改訂後 
  京都府      10.00%    9.99% 
大阪府  10.07%    10.13%   
兵庫県  10.07%  10.06% 
奈良県  9.97%  10.00% 

      【介護保険料率】
       (全国一律)現行1.58% → 
改訂後1.65%


 ~雇用保険料率引上案が国会提出されました~

       成立した場合、平成29年4月1日以降の雇用保険料率は下表の通りに
      なります。
 事業の種類    労働者負担    事業主負担  
一般の企業  0.3%  0.6% 
建設の事業  0.4%  0.8% 

        



(社会保険労務士・後藤田慶子)


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