
 
労働者災害補償保険(労災)は政府が経営しています。
労災法第一条では、「業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に
対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行う」となっています。
会社の経営者(使用者)が労働者に対して職場で、負傷、疾病等にさせてごめんなさい(補
償)の保険です。

①災害の原因が「業務」であること
②災害と業務との間の「原因結果の関係」が労災法から考えて、相当と判断されること
(業務起因性)
③「災害の程度」が労災補償を必要とする程度であること

労働者が本来の職務に専念している場合のみならず、労働者が労働契約に基づき事業者の支
配下にある業務であればよい(業務遂行性)
 

作業従事中に地震で工場が倒壊し圧死した場合、業務遂行中ではあるが業務起因性には問題
がある。一般的にいって、どの工場も倒壊している場合には、地震のほうが原因で有り業務災
害とはいえないが、その工場の建築に欠陥があって倒壊したのけあれば業務災害といえる。
厚生労働省はその基準について次のように示している。
「業務災害とは、労働者が事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したものと経験法
則上認められる場合をいい、天災地変による災害の場合には業務遂行中に発生したものであっ
ても、一般的には業務起因性は認められない。
天災については不可抗力的に発生するものであって、その危険性については事業主の支配下
にあるか否かに関係なく危険があるといえ、個々の事業主に災害発生の責任を帰すことは困難
だからである。
しかし、被災労働者の業務の性質や内容、作業条件や作業環境、事業場施設の状況からみて 天災地変に際して災害を被りやすい事情にある場合には災害の危険は同時に作業に伴う危険と
しての性質も帯びていることとなる。
したがって、天災地変に際して発生した災害も同時に災害を被りやすい業務上の事情があり
それが天災地変を契機として現実化したものた認められる場合に限り、かかる災害について業
務起因性を認めることができるものである。」

通勤災害の中にも業務災害となるものがある。
「労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にある」場合である。突発事故のために使用者
から呼出しを受けて(あらかじめの命令も含む)休日出勤する途上で発生した災害とか、事業
主の運行する専用バス通勤する途上で発生した災害等が業務災害であるとされている。
通勤途上で発生した災害が業務上となるかどうかということは、それが事業主の支配下にあ
るかどうかできまるといえる。
通勤災害には、
①業務災害に該当する通勤災害
②労災派遣の適用がある通勤災害
③労災保険の給付対象にならない通勤災害がある。
 



(社会保険労務士・後藤田慶子)
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