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     オフィス通信   
                                                    2018年10月 1日



 


       ~天災事変の場合の出勤等に関する 取扱いについて~

  9月4日の台風21号の出勤対応について会社様からさまざまな問合せがありましたので、
 整理してみました。
  今年は地震や台風などの災害も多く、公共交通機関が翌日の運転を見合わせるなどの早い対
 応を取り、出勤することができない、帰宅することができないなど、会社として対応に苦慮す
 るケースが出てきました。
  この場合、休業手当の支払いは必要か、年次有給休暇扱いにしても良いか、資金控除は可能
 かなど、疑問が発生します。

  (休業手当とは)

  使用者の責めに帰すべき事由によって労働者を休業させた場合には、使用者は平均賃金の1
 00分の60以上の手当を支払わなければならないとされています。これが休業手当です。
  使用者の責めに帰すべき事由とは
 ①会社の故意・過失による
 ②資金難や原材料不足による経営上の障害による
 が含まれています。
  地震や台風などの天災事変については不可抗力によるもので、会社の責任で休業させたもの
 でないため、休業手当の支払いは必要ありません。
  ただし、ここでいう不可抗力とは
 (1)その原因が事業の外部より発生した事故であること
 (2)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故で
 あること

 とされています。
  飲食店などで「客の来ないだろうから、今日はもう閉めよう」として、営業を短縮する場合
 などは、台風という外部的な要因はあるものの、必ずしも業務の遂行に影響があるとはいえな
 いことから不可抗力的な休業とはみなされず、休業手当の支払いが必要になる可能性がありま
 す。

  (年次有給休暇とすることの可否)

  休業日に年次有給休暇を取得するよう従業員に指示できるのでしょうか?
  年次有給休暇は本人の申請によって取得するものなので、会社が一方的に取得させることは
 できません。
  本人と話し合い了解を得てというのが前提です。
  基本的に年次有給休暇は事前に申請しなければなりませんが災害時など突発的な場合には特
 別に事後申請を認め、従業員に説明をした上、希望者には取得してもらうなどの対応が必要で
 す。

  (賃金の取扱について)

  自然災害などの場合には、賃金支払い義務はもちろん休業手当の支払い義務も発生しません
  休日と振替(振り替えた結果、有給休暇を取得するか否かは本人次第)や帰宅(または自宅
 待機)を指示して、賃金控除なし(または休業手当支給)など柔軟な対応が望まれます。
  会社による一方的な取扱いは、従業員からの誤解を招いたりトラブルに発展する可能性があ
 ります。
  自然災害は突発的に起こりますが発生頻度が低いこともあり、十分な対策をしづらいかもし
 れません。
  災害時や事後に出勤や賃金の取扱いを考えるのではなく、事前に決めておくことで混乱を避
 けることができます。
  普段から自然災害時の事前のアナウンスや自宅待機とする際の連絡方法など検討しておくと
 良いでしょう。


 



      地域別最低賃金が改定されました!                  (2018年)









(社会保険労務士・後藤田慶子)


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