

外国人労働者の受入を拡大するため、新たな在留資格を創設すること等の内容とする一部改
正案が今秋の臨時国会の最重要法案の一つとなっていたが、11月27日に衆院委で可決され
ました。
政府は、今まで専門的・技術的分野以外の受入に消極的だったが、深刻化する労働力不足を
解消するために一挙に拡大の方向に舵を切る。
こうした背景にあるのが今まで認めてこなかった単純労働分野を含めた人手不足である。1
億総活躍プランでは女性・高齢者の就労を目指したが、なお労働力の困難な状況から、外国人
の導入に踏み出すことになる。
政府は、少子化を「静かなる有事」とまで表現している。日本の深刻な少子化は、社会経済
の根幹を揺るがしかねない国難ともいえる状況にある。

日本は外国人の存在なしでは成り立たない社会になっている。厚生労働省の調査によれば、
昨年10月末での外国人労働者は日本人の雇用労働者の2%にあたる127.9万人であり、
この5年間で60万人も増加している。
特に目立つのは製造業・建設業・農業・漁業等に従事する技能実習生や居酒屋やコンビニ等
のサービス業で働く留学生の増加であり、人手不足を外国人でカバーしている現状が見て取れ
る。

新たに受入対象とする業種については、生産性の向上や人材の確保の取り組みをしてもなお
外国人の受入が必要な業種としているが、具体的には示されていない。
業種としては14ほどが候補と報じられている。
新しい在留資格は「特定技能」が加わり、特定分野は一定の技能や日本語能力を有する「1
号」と、それより熟練度が高い「2号」が設けられることとなる。

賃金については日本人と同等以上の報酬額が義務づけられ、同じ業種間での転職も可能とな
る。受入にあたっては、各業種を所管する省庁が一定の知識や技術水準についての試験を行う
ほか、日常生活に必要な日本語能力も確認することで、最長5年の在留資格が認められる。
新しい制度は来年の4月スタートだが、各省庁の作業の難航も予想される。
政府は今回の受入拡大を移民政策とは異なるものと繰り返すが、すでに日本は移民大国にな
っているとの指摘もある。
政府は移民は認めたくないという一貫した考え方であるが、今後の人口減少や労働力不足を
考えるならば、いずれは移民受入も必要な時期が到来する可能性は否定できない。
(労働法令通信11月18日No.2503より)


(社会保険労務士・後藤田慶子)
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