| Back | Index | Next |

   
                                                       2019年 6月 16

      「労働保険の年度更新」と 「健康保険・厚生年金の定時決定」

  労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険の二つを合わせて、労働保険と呼びます。

  (労働保険の年度更新とは)

  前年度に支払っている保険料の精算をするための、「確定保険料」の申告と納付、新年度
 の「概算保険料」申告を行う手続きのことをいいます。
  保険料は、4月から翌年3月までの1年間に労働者に支払う賃金総額に、保険料率をかけ
 て算出し、概算で前払します。
  概算なので、支払った賃金が確定したら、あらためて精算することになります。これを翌
 年度分の概算保険料の納付時に合わせて行うこととされています。



  (確定保険料の計算)

  まず平成30年4月から平成31年3月までに支払った賃金の総額をだします。ここでゆ
 う賃金とは給与、通勤費、賞与、各種手当など、労働の対象として支払った全てのものが入
 ります。
  注意が必要なのは、労災保険はフルタイム、アルバイトなど全ての労働者が対象ですが、
 雇用保険の場合は一定の条件を満たした被保険者のみが対象ですので、対象となる労働者が
 異なる場合は、それぞれの賃金総額を計算する必要があります。
  つぎに、この賃金総額にそれぞれの保険料率をかけて、保険料を確定します。これを「確
 定保険料」といいます。
  しかし、前年度に「概算保険料」として頂いてた分がありますので、精算をすることにな
 ります。
  「概算保険料」が「確定保険料」より多い場合は、余った保険料を新年度分として頂ける
 「概算保険料」に充当します。
  逆に、少ない場合には不足額をプラスして納付することになります。保険料は、預けて精
 算、預けて精算…の繰り返しということですね。

  (新年度の概算保険料の計算)

  新年度の「概算保険料」は、これから支払う賃金の見込み額で計算します。よほど大きな
 変動がなければ前年の賃金増額と同じ額で計算します。

  (申告・納付)

  保険料の申告は、労働局または各労働基準監督署で行い、郵便局や銀行などで納付します
  年度更新の申告・納付は、6月1日から7月10日まで。口座振替の場合の納付日は9月
 6日です。

  (定時決定とは)

  健康保険・厚生年金「の被保険者の実際の賃金と、保険料の精算基礎となる「標準報酬月
 額」との間に大きな差が出ないように、毎年1回見直します。これを定時決定といいます。
  4月、5月、6月に支払った賃金を「被保険者報酬月額算定基礎届」に記入します。

  (届出の対象者)

  対象となるのは、7月1日現在75歳未満の被保険者です。ただし、6月1日以降に被保
 険者となった人は「資格取得時決定」で翌年の8月までの標準報酬月額が決まっており、今
 年の算定基礎届では対象外です。

  (報酬月額の計算方法)

  報酬月額は、4月から6月に実際に支払った賃金の合計を3で割った金額から導き出しま
 す。その際、その月の報酬を計算する基礎となった日数に(支払基礎日数)17日未満の月
 がある場合は、その月を除外して計算します。
  パートタイムについては、支払基礎日数が全ての月で17日未満の場合は、15日以上の
 月の報酬を対象に算定します。

  (提出先と適用期間)

  算定基礎届は、7月1日から7月10日までの間に、日本年金機構または健康保険組合に
 提出します。
  決定された標準報酬月額はその年の9月から翌年8月まで1年間適応されます。

  (決定通知)

  新しい標準報酬月額が決められると、「標準報酬月額決定通知書」が送られて来ます。
  このように決定した「標準報酬月額」から、本人分と会社分の保険料が確定し、毎月納付
 することになります。

  労働保険料と健康保険・厚生年金保険料では、納付時期や保険料の決定の仕方に違いがあ
 るのですね。

  



    (社会保険労務士・後藤田慶子)


HOME

メールはこちらまで。