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                                                       2019年 8月 


 後期高齢者の医療負担 ~拠出金負担で健康保険組合の解散~

   (高齢者医療制度による組合負担の増大)

   大企業等の健保組合は、保険料率の設定、法律よりも上乗せの給付、疾病予防のた
  めの保険事業等、独自の取り組みが可能であるため、組織の中の経営努力がそのまま
  反映しやすいことが最大の利点とされてきました。
   これにより健康度が増し、医療費下がり、組合の負担が減り、結果保険料率を低く
  設定できる優良な保険集団として機能してきました。
   しかし、現在健保組合の経営は悪化しています。
   平成29年度は1,400組合のうち4割以上が、支出が収入を上回る赤字状態と
  なりました。
   高齢者向け医療費の増加を、現役世代が加入する被用者保険からの拠出金で賄われ
  ることになったからです。


(被用者保険の負担はどこまで)

 健保組合全体の19年度の平均保険料率は9.218%ですが、中小企業が加入する協会けんぽの平均の保険料率である10%を上回る健保組合は302組です。
 10%の維持は協会けんぽの大目標ですが、維持が困難になるかもしれません。
 医療費の伸びを年間1.8%とすると、協会けんぽの保険料率は22年度で10.3%25年度で10.9%となり、これを上回る健保組合は解散の可能性が高くなります。
 ただし、昨年解散した健保組合の平均保険料率は協会を少し上回る10.26%でした。健保組合には
独自の付加給付なども考えられるため、協会の保険料を超えたから即解散という訳ではありませんが…。
 仮にすべての健保組合が解散となり、加入者が協会けんぽに移行した場合、協会には給付費の16.4
%の国庫負担があるため、国庫負担は6,300億円ほど増加することになります。




(社会保険労務士・後藤田慶子)



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