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                                                       2019年 9月 


 


           ~70歳まで雇用・就業~ 高年齢者雇用安定法

  政府は、希望する高齢者が70歳まで働けるための高年齢者雇用安定法改正案の骨格を発表
 しました。
  
  改正法案は70歳までの雇用・就業機会の確保に力を入れています。
  
  現行では会社は、希望する労働者には65歳までの雇用が義務化されているため、それ以後
 について、高齢者の能力やその他の状況に応じた様々な雇用・就業の方法を示しました。

  ①定年制度の廃止
  ②70歳まで定年延長
  ③70歳までの継続雇用制度の導入
  ④他の企業(グループ会社以外)への再就職
  ⑤個人とのフリーランス契約への資金提供
  ⑥個人への企業支援
  ⑦個人の社会貢献活動参加への資金提供など

  資金提供とは、フリーランスの場合、離職した高齢者に継続的な業務発注契約を交わす事な
 どを予定されています。
  社会貢活動では、高齢者が所属した団体などへの資金的支援などを意味しています。





  会社では、選択肢の中から採用すべきものを労使で話し合って決めるしくみを設け、会社と
 個人間で相談、選択できることを想定しています。
  改正の一段階は、上記の選択肢による70歳までの雇用・就業を努力義務化(次期通常国会
 で対応)、第二段階では、「
努力義務」から「義務化」に移行させ、行政指導に応じない企業
 名を公表できるしくみを予定しています。
  義務化にあたっては、健康状態や出勤率が不良で十分に能力を発揮出来ない人を除外するし
 くみや、年金の支給開始年齢を70歳以降も選択可能にする等選択肢を広げるとしています。
                             (労働新聞8月26日号より)


 


        ~在職厚生老齢年金のこれから~

  働き手不足を解消するため、高齢者の雇用促進が大きい課題となってます。
  勤労意欲を高めるため、在職老齢年金制度のしくみを廃止すれば、年金と給与の合計がその
 まま働き手の収入となります。
  しかし、年金制度を支えている現役世代との収入をみると、バランスが崩れ大きな格差が生
 じることになります。
  60~65歳では、年金月額と給与(総報酬月額相当額)が28万円を超えると支給停止が
 始まります。現在受給者の19%に当たる88万人が該当しています。
  65歳からは年金月額と給与が47万円を超えると支給停止が始まります。
  現在受給者の10%の36万人ほどです。(老齢基礎年金は全額支給されます。)
  勤労意欲を高めるための在職老齢年金制度の廃止は行き過ぎとの意見があります。
  今後28万円、47万円の支給停止ラインの引き上げが検討されることになるでしょう。
  厚生年金の保険料は、18.3%で固定されているためマクロ経済スライドの採用で年金の
 給付水準が低下することになりますね。


 





    (社会保険労務士・後藤田慶子)


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