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                                                       2019年11月 

 

            ~同一労働同一資金~

  政府の働き方改革の一つ「同一労働同一賃金制度」が大企業では2020年4月から、中
 小企業では2021年4月から始まります。
  「同一労働同一資金」とは、同じ仕事に従事するなら、通常の労働者か、それ以外の労働
 者(パートや契約社員等)かに関係なく同じ賃金を支給する、という考え方です。
  食堂や更衣室が利用できるのは正社員のみ、スキルアップ研修は正社員のみ受講できます
 等、福利厚生の待遇差も対象となります。
  基本給、家族手当や通勤手当、賞与なども、ガイドライン(※1)に具体的な記載はあり
 ませんが、その目的や趣旨によっては、手当の有無や金額の差が「不合理(※2)」と判断
 される可能性があります。

  (※1)ガイドラインとは・・ 「働き方改革実現会議」において政府案として提示された
               もので、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な
               待遇差の解消を目指すために策定されたものです。
 (※2)不合理とは   ・・ 職務内容、配置変更の範囲、成果、能力、経験等の個人の
               状況に合わせてではなく、雇用形態をもって待遇を決めるこ
               と。




  待遇の差があったとしても、「正社員の方が責任あるし・・・」「パートは簡単な仕事し
 かしていないから」など“主観的・抽象的”な説明ではなく、「この職務でこの能力であれ
 ばこの額です」「売上目標有無で、賞与率が○%違います」など“客観的で合理的”な説明
 が求められます。

  ~どのように対応する?~

  ① 働く人の雇用形態を確認
    社内でパートや有期雇用者はいますか?

  ② 待遇の状況を確認
    賃金や福祉厚生などの待遇について、正社員と取扱いの違いはないですか?

  ③ 違いがある場合
    設けている理由を確認し、その違いの理由を説明できるように整理しておきましょう
    改善の必要がある場合は、働く人の意見も聴取しつつ、改善計画を立てて取り組みま
   しょう。
    まだ時間があるからと考えず、なるべく早く取り組みたいですね。


 


    ~台風被害に伴う労基法に関する Q&A~


  Q1: 台風により、事業場の施設・設備に被害はないのですが、取引先や鉄道・道路が
     被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不可能となったことにより労働者を休
     業させる場合、「使用者の責に帰すべき事由」による休業に当たるでしょうか。

   A: 事業場は直接被害を受けていないので、原則「使用者の責に帰すべき事由」によ
     る休業に該当します。しかし、取引先への依存の程度、輸入経路の状況、他の代替
     手段の可能性、災害発生からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力
     等を総合的に勘案し、判断する必要があります。

  Q2: 台風で、事業場の倒壊や資金繰りの悪化、金融機関の機能停止等が生じた場合、
     賃金支払義務が免除されることはありますか。

   A: 労働基準法では賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一
     定期日を定めて支払わなければならないとされています。天災事変などの理由によ
     る賃金支払義務の免除に関する規定はありません。

  Q3: 台風の被害を受けたことにより、業務量が増加し36協定で定めた時間外労働の
     延長時間を超えそうです。
      災害によるためなので超えてもいいですか。

   A: 36協定を締結し、届け出ている場合であっても、36協定で定める範囲を超え
     る時間外労働をさせることはできません。






    (社会保険労務士・後藤田慶子)


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