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 ~副業・兼業のガイドライン改定~
 政府の進める「働き方改革」には様々なテーマがあります。その一つである「柔軟な働き方が
しやすい環境整備」を目指し、副業・兼業の普及促進をしています。働く人や会社がどのような
点に留意するのかをまとめたガイドラインが、令和2年9月に改定されました。
  
(副業・兼業の現状)
 副業・兼業を希望する労働者は増加傾向にあります。
 副業・兼業を行う理由は・・
 ① 収入を増やしたい
 ② 1つの仕事だけでは生活できない
 ③ 自分が活躍できる場を広げたい
 ④ 様々な分野の人とつながりができる
 ⑤ 時間のゆとりがある⑥現在の仕事で必要な能力を活用・向上させる
 ・・等です。
 形態は正社員、パート・アルバイト、会社役員、起業による自営業等です。

(労働者の留意点)
 ① 就業時間が長くなる可能性があるためね労働者自身による就業時間や健康管理が必要とな
  る。
 ② 職務専念義務、機密保持義務、就業避止義務を意識する必要がある。
 ③ 1週間の所定労働時間が短い業務を行う場合には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険等
  の適用がないことに留意が必要である。

(会社の留意点)
 ① 就業時間の把握・管理や健康管理への対応、職務専念義務、秘密保持義務、就業避止義務
  をどう確保するかという対応が必要である。
 ② 長時間労働、労務提供上の支障や業務上の秘密の漏洩等に留意する必要がある。

(会社の対応)
 裁判例から見ると、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当でしょう。
 しかし・・
 ① 労務提供上の支障がある場合
 ② 業務上の秘密が漏洩する場合
 ③ 就業により自社の利益が害される場合
 ④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合は、就業規則等に副
  業・兼業を禁止又は制限をかけることが必要です。裁判例で就業規則に副業・兼業に許可の
  手続きを求め、この違反を懲戒事由ととしている場合、形式的に規程に抵触しても、職場秩
  序に影響せず労務にも支障がない場合は、懲戒処分を認めていません。副業・兼業が形式的
  に就業規則の規定に抵触する場合であっても、懲戒処分を行うか否かについては、職場秩序
  に影響が及んだか実質的な要素を考慮し、慎重に判断することが重要です。
   また、会社は、自社の労働時間と他社の労働時間とを、通算して管理する必要があります
   通算して長時間労働とならないよう注意が必要です。

(確認方法)
 会社は、労働者からの申告により、副業・兼業の有無・内容等の確認が必要です。
 方法として・・
 ① 就業規則、労働契約等に副業・兼業に関する届出制を定める
 ② 既に雇い入れている労働者が新たに副業・兼業を開始する場合の届出を定める
 ③ 新たに雇い入れる労働者からの副業・兼業について届出を定める等
 ・・です。



 平成29年総務省の調査によると副業・兼業をしている割合は、雇用者総数の4%(68万人
)です。
 所得119万円以下の本業のみでは経済的に満足できない労働者と、高所得者(1000万円
以上)の労働者が上位の割合を占めています。
 今後やってみたいと考えている人は32.6%です。





 社会保険労務士・後藤田慶子

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