
新型コロナウイルス等の発生及び、そのまん延に対処するため、特措法の規定を適用し、
対策を講じることになります。
(期間は、令和2年3月14日から令和3年1月31日までとなっています)
(保健所への報告)
従業員がコロナウイルスに感染した場合、事業者が都道府県等の保健所に報告する義務を
明確に定めた規程はありません。
しかし、特措法4条1項は、事業者が、新型コロナウイルス等の予防に努め、対策に協力
する努力義務を、同条2項は、事業の実施に関して適切な措置を講ずる努力義務をそれぞれ
規定しています。
労働契約法5条が、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確
保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と規定し、使用者の労
働者に対する安全配慮義務を定めています。
従業員の生命及び身体等の安全の確保だけではなく、他の従業員への感染拡大を防止する
ため、安全配慮義務の履行として、保健所に報告する必要があると考えられます。
(事業者による具体的な対応)
報告の際に事業者は、従業員の業務内容(デスクワーク・営業職など)や勤務状況、症状
経過・感染経路・行動履歴・事業所内での接触状況・接触者の範囲・座席配置などについて
も可能な限りで保健所に報告するのが望ましいと考えられます。
◎ 濃厚接触者の確認
保健所は、積極的疫学調査を実施し、濃厚接触者に対する健康観察、外出自粛の要請等
を行います。
事業者は、速やかに濃厚接触者である従業員を確認し、保健所の疫学調査に協力するこ
とになります。
◎ 消毒措置と事業所の閉鎖
従業員が感染した場合、事業者は取引先に対する安全配慮義務の履行として、従業員が
感染した旨の情報提供をすることになります。
◎ 他の従業員への周知
事業者は、他の従業員に対して、安全配慮義務の履行として、従業員が感染したことを
周知するとともに、改めて感染予防策を周知する事になります。

新日本法規発行「新様式対応人事労務管理のポイント」より
社会保険労務士・後藤田慶子
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