| Back | Index | Next |




 (労働者協同組合とは・・・)
  組合員が出資し、それぞれの意見を反映して運営し、自らが働くという組織。

 (法律が成立した背景)
  労働者協同組合(以下、組合という)は、40年前から存在していたが、労働者協同組合法
 (以下、組合法という)がなかったため、NPOや任意団体等として活動していた。
  法制化のポイントは以下の通り
   ① 法人を簡便に設立する準則主義が適用されること
   ② 上下関係のないフラットな働き方
   ③ 雇用関係のない働き方を実現すること
  である。
  
  雇用契約では平等な立場である組合員に雇用者と労働者という位置づけが発生してしまう。
  しかし、雇用契約を結ばなければ労働基準法等の労働関係法規が適用されない。
  2008年5月に議員連盟から市民会議に提出された骨子案には、①組合の事業には、労働
 基準法等の労働関係法規を適用しない、②組合員は労災、雇用保険が適用されないので、代用
 として企業内で積立金を設定し、保険事故が発生した際は必要な給付を組合員に対して行うと
 記されている。
  日本労働弁護団から、労働=経営と捉えることによって、組合員が労働者ではないという立
 場に立ち、労働法令の適用を原則として排除するものとの懸念が指摘され成案には至らなかっ
 た。
  2017年3月、田村憲久議員を座長とした「与党協同労働の法制化に関するワーキングチ
 ーム」が設置され、法制化の作業が行われた。
  その中で田村座長から、労働契約締結の方向性が打ち出され、組合の連合組織からも賛意が
 示されたことから、2020年12月に衆院と参院本会議で一気に可決され成立した。

 (組合法のポイント)
  基本原理は以下の通り
   ① 組合員が出資すること
   ② 組合員の意見が適切に反映されること
   ③ 組合の行う事業に従事すること

  組合の要件は以下の通り
   ① 任意に加入し、脱退することができること
   ② 事業に従事する組合員(一部の役員である組合員を除く)との間で労働契約を締結す
    ること
   ③ 議決権等は、出資口数にかかわらず、平等であること
   ④ 組合との間で労働契約を締結する組合員が総組合員の議決権の過半数を保有すること
   ⑤ 余剰金の配当は組合員が事業に従事した程度に応じて行うこと

  その他
   ・ 営利を目的としてその事業を行ってはならない
   ・ 特定の政党のために利用してはならない
   ・ 組合員は社会保険や労災保険が適用され、組合には安全配慮義務も発生する
  とあります。

 (これからのポイント)
  組合員が平等に働く協同労働という働き方の実現に期待が高まっている。
  ただし組合法の成立は、日本において協同労働を実践するためのはじめの一歩であり、完全
 に完成した法律といえない。施工後5年を目処として検討が加えられることから、海外の実践
 なども学びながら理想的な組合になるための実践を展開し、その結果を法律に反映させていく
 ことが重要といえる。
 
     



 
社会保険労務士・後藤田慶子
 HOME

メールはこちらまで。