
「ハラスメント」対策は、1992(平成4)年のセクハラ裁判から始まりました。

「セクハラ」
1997年の「男女雇用機会均等法」改正で、企業に対して配慮が定められ、2006
年に義務(旧男女雇用機会均等法11条1項)になりました。
「マタハラ」
2016年「男女雇用機会均等法」改正(旧男女雇用機会均等法11条の2第1項)で
義務が追加、育児・介護休業法にも類似の規定が追加されました。
「パワハラ」
2019年「女性活躍推進法等の一部を改正する法律」により「労働施策総合推進法」
が改正され、2022年4月から中小企業も義務になりました。
・ パワハラの定義(労働施策総合推進法第30条の2)
職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な
範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることです。
・ セクハラの定義(男女雇用機会均等法第11条)抜粋
「職場において行われる」労働者意に反する「性的な言動に対し、労働者がその労働条
件につき不利益を受け、又は」「就業環境が害されること」です。
※ パワハラと異なり「業務上の必要性」があってもほとんど正当化されません。
・ マタハラの定義(男女雇用機会均等法9条3項第11の2)
(育児・介護休業法10条、16条、25条等)
妊娠、出産、育児休業等を理由とする嫌がらせのことです。
マタニティというと女性のみが対象のように思いますが、男性の育児休業も対象になり
ますので、法律上マタハラとは言われていません。
新たに問題視されるハラスメント
・ カスハラの定義
顧客等からの著しい迷惑行為をいいます(度を超えた要求や、悪質なクレーム)
法律上の記載はありませんが、令和2年1月「事業主が職場における優越的な関係を背
景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和
2年厚生労働省告示第5号)において防止、被害者への配慮の取組を行うことが望ましい
とされています。
ハラスメントを経験した者の割合は、パワハラが31.4%、顧客からの著しい迷惑行為
(カスハラ)が15.0%、セクハラが10.2%です。

「令和2年度 職場のハラスメントに関する実態調査 報告書(概要版)」による
職場で、ハラスメントが生じると受けた人だけでなく同僚にも影響し、職場全体のパフォ
ーマンスを低下させてしまいます。ハラスメントの予防・対策をする事で職場内のコミュニ
ケーションが活性化、風通しが良くなると言われています。
パワハラの判断は、行われた指導が「業務上必要があるか」と「業務上相当な範囲である
か」です。
相当な範囲というのは、平均的な労働者を基準として判断されます。たとえ叱責があった
としても、根底に信頼関係があれば許容される範囲は広くなります。
信頼関係のもとで注意・指導をするためには受け手を一人の人間として尊重し、また、受
けてがなぜ注意・指導をされているか、その意味を理解しているか、どのような受け止め方
をしているのか、気を払うことが大切です。
相手を思う心が大切ですね。
(パワハラ防止法対策がよ~く分かる本「参考」)
社会保険労務士・後藤田慶子
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