
新卒採用は、売手市場で、採用がしづらい状況です。
多くの企業が、SNSの活用や選考のイベント化など、工夫を凝らした採用手法を取り
入れ、優秀な人材を確保するため競い合っています。
今は、採用した人材が短期間で辞めてしまうという「人を採用しづらく辞められやすい
時代」。
人材の定着を目指し、企業では様々な試みがされてきました。
その中で注目を浴びている言葉のひとつに「エンゲージメント」があります。
エンゲージメントとは「組織に対する自発的な貢献意欲」とされています。
組織と個人が良好な関係を築き「しなければならない(have to)」ではなく、
「自発的にそうしたい(want to)」という状態のことをいいます。
ここ数年で、多くの企業で「エンゲージメント調査」の導入が進み、数値化が盛んに行
われるようになってきました。
しかし、新入社員のエンゲージメントの平均推移は、入社後3年目までに下がり続けて
いるというショッキングなデータもあります。
※「片足を上げて」入社してくるZ世代
離職率が上がる要因の1つとして挙げられるのが「世代傾向の変化」です。約5年前か
ら「Z世代」と言われるデジタルネイティブ世代が入社してくる時代となり、世代傾向に
紐づいた育成・組織課題が話題に上ることが増えました。
離職率に強く影響する傾向として「就職意識の低下」が挙げられます。
入社した時点で「この会社でずっと働き続けよう」とは考えていない新入社員が増えて
いるということです「入社=両足ついて会社で働く覚悟を決めている」時代は終わり、片
足を上げ、いつでも離職できる状態で「一旦入社する」という感覚を持った「新感覚世代
の新入社員」に向き合っていく必要があると言えます。
この背景には、日本社会の変化やグローバルトレンド等、大きな流れの影響もあります

※ Z世代とは・・・
1990年度後半から2015年頃までに生まれた人々。
X世代(1960年~1970年後半)→Y世代(1980年~1990年前半)の次
世代のため、アルファベット順でZ世代と呼ばれています。
特徴として、
・ デジタルネイティブであること。
・ グローバル感覚に優れていること。
・ ダイバーシティを尊重します。
・ 自分らしさ(個)を尊重する。
と、言われています。

10年後には新しいトレンドチェンジが起きているかもしれませんが、これから2~3
年後に入社してくる社員は、今の世代の傾向をさらに強く持っていることが予想されます
30代~40代の離職率も増加傾向にありますし、フリーランスや企業というかたちで
独立する平均年齢は上がっているというデータもあります。さらに独立する人のうちの女
性の割合も増えています「1社に根を張る」感覚が薄れているのは決して若手世代だけの
傾向ではありません。

※ OJTの基本的な進め方と変化
OJTとは「On the Job Training」の略語であり、実務を通して
学ぶ「職場内訓練」です。
期間は、各企業によって異なり短期だと数週間~1ヶ月ほど、長期だと1年間の企業も
存在します。
OJTの基本的な進め方は、4つのサイクルです。
① 仕事を任せる
② 仕事を進める
③ 気づき・学び
④ 次に活かす
このサイクルを回すことで育成責任者がサポートし、職場内での「成長経験の獲得」を
促すことが求められます。
基本的な進め方については昔から大きな変化はありませんが、OJTのポイントは時代
に合わせて変化しています。

参考 企業実務 4月号より
社会保険労務士・後藤田慶子 |