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  「ビジネスネーム」とは、仕事上で使用する「本名とは異なる氏名」のことを差します。
  芸能人は芸名、小説家はペンネームを使用したり、個人事業主が運気を上げる為に使用、結婚
 し改姓した女性が職場では旧姓のまま使用し続けることがあります。
  最近は、カスタマーハラスメント対策としてビジネスネームを導入する企業が増えています。

 【メリット】
  ① カスタマーハラスメント対策
    最近増加傾向にあり、企業にとって顧客からの著しい迷惑行為から従業員を守る為に導入
   されています。サービス業や、運輸業で導入されるケースが多いです。
    ロコミサイトやSNSサイトに実名を一方的に載せられ、デジタルタトゥーとして将来に
   影響を残すこともあります。
    企業が従業員のプライバシーを保護し、従業員の安全を守る姿勢を見せることでより良い
   職場環境になります。官公庁では、名札の表記を名字のみに変更しています。
  ② 仕事とプライベートのメリハリをつける
  ③ 従業員の個別事情
    結婚後も旧姓を使い続けるケースや、DV被害者で身の安全を守る必要がある場合。
    ダイバーシティの観点から、従業員の環境や境遇に配慮する。





 【注意点】
   企業内でビジネスネームを使用すると、社内で本名を知るのは人事担当者等限られた方にな
  る場合もあります。
   特に従業員の個別事情のためにビジネスネームを取り入れる場合は、センシティブな事情が
  ある可能性もあり本名の取り扱いに配慮が必要です。
   社会保険や税法上の手続き、銀行口座などは、本名を使用する必要があります。
   企業内でビジネスネームを取り入れる際には、「ビジネスネーム使用規定」を作ると良いで
  す。
  ① 使用者の範囲
  ② 申請方法
  ③ 許可基準
  ④ 本名を使う必要がある場合の列挙(社会保険、税務上手続き等)
  ⑤ 本名を開示する場合の基準
  (参考 ビジネスガイド No.952)


   住民票やマイナンバーカードには、旧姓を併記することができます。
   女性の就業率の増加に伴い、旧姓を使用し活動する人が増加してきたためです。
   申請には戸籍謄本等必要書類があります。
   契約書や銀行口座の名義に旧姓を使う場合、その証明になります。
   就職・転職時など、就業時に旧姓での本人確認ができます。






 【選択的夫婦別姓制度】
   衆議院では別姓支持の議員が多数を占めていて、野党は「選択的夫婦別姓法案」を提出する
  といわれています。
   しかし、国民多数の賛成を得るのは難しそうです。
   報道各社の世論調査 (TBSは7月、産経・FNN・読売新聞は9月) では・・
   ① 同姓支持
   ② 同姓維持の上、通称を使用
   ③ 別姓支持の3択のうち、
    ②の同姓維持・通称使用が47%と最多数でした。
    ①は20~30%
    ③は20~30%です。

   最高裁判決によると、民法の定める「夫婦同姓制」は合憲であり人格権の侵害や差別には当
  たらないとしています。
   政府の第5次男女共同参画基本計画において、「別姓制度の検討」は削除され「通称使用の
  拡大」だけを挙げています。
   選択的夫婦別姓は、選択できるのは夫婦だけで子供には選択の自由がないことが問題です。
   必ず親子別姓になってしまうこと、兄弟間で姓が別々になってしまうこともありえます。
   91%の子供たちは同姓を望んでいる調査結果もあります。
   夫婦別姓議論の背景は、経団連の提言によるもので、経済的合理性の観点のみで、家族・家
  庭のことは考慮されていません。
   そこで、現在使用されている通称制度 (旧姓を住民票等に併記) の法的根拠を明らかにし、
  国、自治体、民間企業等に対し使用範囲を拡大の方が国民世論にかなっていると思われます。
   (産経新聞 令和6年12/17 要約)
 



 
社会保険労務士・後藤田慶子
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