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 【退職代行とは】
  退職代行とは「退職する旨の意思表示」を従業員に代わって会社に伝えたり、退職に関する手
 続きを代行することをいいます。
  雇用契約を、従業員の都合により解消する意思表示で、退職届の提出が通常です。
  雇用契約終了の効果は、期間の定めのない契約の場合、意思表示が到達してから2週間を経過
 することによって生じます(民法627条1項)
  退職代行の利用は、増加しており「マイナビ退職代行サービスに関するレポート」によると、
 2019年以前は退職のうち退職代行の利用者が15.7%だったが、2024年には23.2
 %です。
  20代が18.6%で最も高い。

  利用の理由は・・・・
   「退職を引き留められた」40.7%
   「退職を言い出せる環境でない」32.4%
   「トラブルになりそう」23.7%
  です。


  ① 退職代行会社
    民間業者が運営するもの(例:モームリ)
    法的な交渉の代理権がなく、従業員が伝えたい内容を代わりに伝えると「使者」としての
   扱いになります。
    費用は、1万円~5万円。

   (ポイント)
    ・ 書面でなく電話、メールなどで連絡が来る場合がある
    ・ 代行会社に本人からの依頼証明を求めることが望まし
     いが、難しい場合、従業員に確認しましょう。
      従業員とのトラブルを避けるためシンプルに「依頼をしたか」「はい」「いいえ」等
     で確認しましょう。
      なぜ依頼をしたか等聞かないようにしましょう。
    ・ 本人確認も兼ねて、退職届の提出を依頼しましょう。
    ・ 退職日の確定や、撤回等のトラブルを防ぐため、「退職の受理承認届」を送り退職日
     を確定させる。
    ・ 退職に関する条件交渉(退職日の変更等)はできません。伝えてくれるようお願いする
     ことはできます。

    雇用契約に基づく業務命令権は会社に残っています。
    業務の引継ぎのために、休日出勤命令を出すこともやむを得ないといえます。
    従業員本人は、なるべく連絡は取りたくないと思われますので粛々と退職手続きをするの
   が良いですね。

  ② 退職代行組合
    労働組合が、組合員の労働条件に問題であるとして退職の連絡と、退職に関する問題を議
   題として団体交渉等を申し入れる方法です。
    費用は、2万5千円~3万円。

   (ポイント)
    労働組合には団体交渉権があるので、退職に関する条件等
   について交渉することができます。
    ・ 文書で申入れが届くことが多い。
    ・ 会社が組合員である従業員と直接やり取りすると支配介入、不利益取扱いなど労働組
     合法の問題に発展するリスクがあるので、あらかじめ直接やり取りについては組合と決
     めておく。
    ・ 申込事項、交渉事項を確認する。
    ・ 退職だけでなく、残業代請求や、ハラスメント問題など別の交渉事項があることも。
    ・ 団体交渉まで至らず、解決することもあります。
    ・ 退職届は提出してもらう。交渉解決の合意書を取り交わす場合、組合、会社、従業員
     の三者で行う。

  ③ 退職代行弁護士
    弁護士が、従業員との委任契約に基づき、会社に退職の意思表示を含む退職に関する交渉
   をする方法です。
    弁護士の場合、法的な交渉「代理」ができるため、弁護士自ら意思表示や交渉をすること
   ができます。
    費用は、5万円~10万円。

   (ポイント)
    ・ 内容証明郵便で連絡が来ることが多い。
    ・ 弁護士の委任の範囲を確認する。
    ・ 退職に関する交渉が可能。
    ・ 弁護士の文書で退職の意思が示されていれば、退職の証明になる。別途退職届を求め
     なくてもよい。
    ・ 残業代請求等の退職以外の請求をされる場合がある。
    ・ 業務命令権は会社に残っている。




 社会保険労務士・後藤田慶子

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