【改正の趣旨】
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化を図るため働き方や男女差等に中立的で、ライ
フスタイルや家族構成等の多様化を踏まえた年金制度を構築するとともに、所得再分配機能の強
化や私的年金制度の拡充等により高齢期における生活の安定を図るため。
【改正の概要】
1.被用者保険の適用拡大
1-1-1. 短時間労働者の適用要件のうち、賃金要件「106万円の壁」を撤廃。
※ 大阪では、最低賃金が1,114円の為、106万円は超えていますので
影響ありません。
1-1-2. 企業規模要件を下記の通り撤廃する。約180万人が厚生年金に加入すること
になります。

1-2. 適用拡大に伴い、保険料負担割合を変更することで被保険者の保険料負担を軽減で
きることとし、労使折半を超えて事業主が負担し制度的に支援する。
2.在職老齢年金制度の見直し
支給停止となる収入基準額が51万円から62万円に引き上げとなります。約20万人
が満額受給となる。
3.厚生年金の標準報酬月額の上限の引上げ

4.遺族年金の見直し
遺族厚生年金の男女格差を解消

※ 既に受給権を有する方は影響がありません。
5.iDeCoの加入可能年齢の引き上げ

【職場の熱中症の発生状況】
厚生労働省は5月30日「2024年職場における熱中症による死傷災害の発生状況」を発
表しました。
熱中症による死傷者数は、2024年に1,257人と、死傷者数について統計を取り始め
た2005年以降、最多です。死亡者数は31人と、死亡災害について統計を取り始めた19
89年以降、当時観測史上1位の猛暑の平成22年の47人に次いで多くなっています。
1,257人中、業種別でみると、製造業が235人、建設業が228人の順で多くなって
います。
月別の発生状況は、約8割が7月、8月の2ヶ月間に集中しています。
特に死亡者数については、31人のうち、1人を除き、7月又は8月に集中しています。
時間帯別の発生状況は、午前中や午後3時前後の被災者数が多くなってことが見受けられま
すが、いずれの時間帯でも発生しています。
年齢別の発生状況は、いずれの年齢層においても発生していますが、特に50歳代以上は全
体の約56%を占めています。
高齢者は、身体機能の低下等の影響により、加齢により熱中症を発症するリスクが高いこと
から、死亡災害に至る割合が高くなっていることが考えられます。
今年も猛暑が予想されますので、警戒が必要です。
参照 : 厚生労働省【令和6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)】
社会保険労務士・後藤田慶子
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