これは性成熟が進行して肺が形成され、ガス交換の比率がより肺に依存するようになった結果、外鰓への依存度が減少して、外鰓が短くなる方向へと退化したと考えることが出来ます。つまり、外鰓の長さが短くなるのは、アホロートルの肺が形成されたサインだという認識です。
(補足): これは2014年6月2日付の回答である。
「外鰓にあるフサフサしたもの」は「鰓弁」と言います。これが「日によって伸び縮みする」といった現象を私は観察したことはありませんが、アホロートルが幼形成熟し、肺が形成される頃になると、鰓弁が縮小することが知られています。このことから「ガス交換の比率が変化し、外鰓から肺への依存度が高くなったせいで、鰓弁が縮小したのだろう」と推察されます。しかし、こうして縮んでしまった鰓弁が、再び伸長するのだとしたら、私には答える術がありません。○○さんのほうで、是非、研究してみて下さい。
(補足): これは2014年6月9日付の回答である。
これは器官と言って良いのかどうか、有尾両生類の幼生やアホロートルを観察していると目にする機会が多いのですが、彼らは水面に顔を出した際に空気を口中に溜め、その空気の出し入れで浮力を調節しているようです。
(補足): これは2014年6月2日付の回答である。
アホロートルが水面に顔を出すのは、肺呼吸のためと考えて間違いないでしょう。しかし、空気を口内に溜めて水面近くに浮かんでいるのは、あくまで副次的なもので「この行動が、浮力を調節しているように見える」ということです。アホロートルの求愛行動だって水底でおこなわれるわけですから、私は、彼らが浮力を調節する必然性をまったく感じません。
(補足): これは2014年6月4日付の回答である。
これは肺に限らず、どのように器官が形成されるのかをまずは理解する必要がありそうです。一般に器官が形成されるときには、その器官の元となる原基細胞が最初に造られます。肺で言えば、肺原基細胞です。これらの細胞が塊になって肺原基が造られ、肺嚢へと分化して行きます。ですから、肺の元となるような器官が既に在って、それが肺としての機能を持つようになるわけではなく、まずは肺原基が造られるということです。これと似たような質問への回答として、成体が肺を持たないハコネサンショウウオ幼生の肺形成に関するものが在ります。
(補足): これは2014年6月2日付の回答である。
これは実際にやってみないと何とも言えませんが、おそらく水中から空気中に出しても、しばらくは生きられると思います。と申しますのも、性成熟したアホロートルの水中での呼吸は、皮膚・外鰓(口内粘膜)・肺でおこなわれ、これらの器官のガス交換比率が、空気中では変化する(つまり、皮膚呼吸と肺呼吸に依存する)可能性があるからです。
(補足): これは2014年6月2日付の回答である。
これはアカハライモリの色彩感覚が発達しているからで、警告色のような派手な体色を持つ動物が色彩感覚に優れているのに対し、隠蔽色のような地味な体色を持つ動物では色彩感覚も劣っているのが普通です。つまり、アカハライモリが水中の餌に反応できるのは、嗅覚ではなく、視覚に頼っているからと考えられます。
(補足): これは2014年6月2日付の回答である。
性成熟したアカハライモリは、時々陸に上がることはあっても、水中に棲息するのが普通です。○○さんのアカハライモリの飼育方法が分からないのですが、最初は固形餌を水中で与えていたのではないでしょうか。もしそうでしたら、固形餌を餌と認識するための動機付けがおこなわれ、固形餌に反応するようになったと考えられます。
(補足): これは2014年6月4日付の回答である。
これは一言では語り尽くせない現象です。詳細は他に譲るとして、一般に再生とは、いったん分化した細胞が脱分化して、再分化する能力を獲得する現象のことです。この再生能力は、アカハライモリやアホロートルを含む有尾両生類で昔から研究されていて、たくさんの文献が出ています(たとえば、総説としては、Nye et al., 2003)。
(補足): これは2014年6月2日付の回答である。
・Nye, H. L. D., J. A. Cameron, E. A. G. Chernoff, and D. L. Stocum. 2003. Regeneration of the urodele limb: a review. Developmental Dynamics 226: 280-294.
これはアホロートルに限らず、有尾両生類の幼生には普通に観られるもので、口から入った水の通り道(正式名称は、鰓裂)です。この質問を受けて「○○さんは、おそらく鰓呼吸の仕組みを理解できていないのだろう」と思いました。外鰓や内鰓といった鰓の形状や、魚類や両生類といった分類群に関わらず、鰓呼吸とは、口から取り込まれた水の溶存酸素を口内粘膜や鰓を通して摂取する行為で、そのためには残りの水を排出するための鰓裂が必要です。これ以外に、外鰓の場合、枝分かれした多数の外鰓が直接、水に触れることで、水中の溶存酸素を摂取することが出来ます。
(補足): これは2014年6月2日付の回答である。
以前にも書いたと思いますが、幼形成熟したアホロートルの呼吸方法は「皮膚・外鰓(口内粘膜)・肺」によるものですから、彼らが口内に水を取り込んでいることは確実です。
(補足): これは2014年6月4日付の回答である。
これはアホロートルに限らず、有尾両生類全般に言えることなのですが、変態した個体は頭骨の形状が変化します。変態直前の幼生と変態後の幼体の頭骨を比較した良い研究が在りますので、これを参考にして下さい(Reilly and Lauder, 1990)。
(補足): これは2014年6月4日付の回答である。
・Reilly, S. M., and G. V. Lauder. 1990. Metamorphosis of cranial design in tiger salamanders (Ambystoma tigrinum): a morphometric analysis of ontogenetic change. Journal of Morphology 204: 121-137.
このご質問から推測できるのは「○○さんは、おそらく取り切れていない筋肉が付いた状態の骨を煮出して、アホロートルの骨格標本を作製しているのではないか」ということです。軟骨を壊すことなく骨格標本を作製するには、まず個体の皮膚を物理的に尚かつ丁寧に剥がし、水酸化カリウム溶液で筋肉を透明化しながら、同時進行で硬骨や軟骨を染色する方法が在ります(いわゆる、透明骨格標本のことです)。ここではアリザリンレッドによる硬骨の染色方法しか示しておりませんので、以下にアルシアンブルーによる軟骨の染色方法を示します。これはあくまで目安ですので、染色の進行状況を確認しながら、より適切な濃度や時間を見つける努力が必要かと思います。
(5) 表皮を剥いだ個体を2〜4%水酸化カリウム溶液に入れ、筋肉を透して中の骨格が僅かに見える程度まで放置する(1〜3週間)。室温が低いと時間が掛かる。
5と6の間で、まず水道水を流して個体を充分に水洗いする(1日以上)。次に50%エタノール溶液に移し(1〜2日)、それから軟骨染色溶液に移す(1日)。その後、50%エタノール溶液に移し、染色反応を止める(1〜2日)。
[軟骨染色溶液(100ml)の作り方]
(補足): これは2014年6月4日付の回答である。
(6) 2〜4%水酸化カリウム溶液(6)、染色溶液*(1)の割合で混ぜた溶液に移す(1日)。
99%エタノール溶液(80ml)に氷酢酸(20ml)を加え、アルシアンブルー8GX(20mg)を溶かす。
これは「肺呼吸をしている」というのが正解だと思います。これと同様のご質問、並びに回答を示したURLが既に存在しますので、参考にして下さい。ちなみに、アホロートルは両生類ですので、魚類に観られるような「浮き袋」は持っておりません。
(補足): これは2014年4月28日付の回答である。
アホロートルの幼形成熟した個体には、肺が存在します。これも、同じURLを参考にして下さい。
(補足): これは2014年4月28日付の回答である。
アホロートルの幼形成熟した個体の呼吸は、基本的に「皮膚・外鰓(口内粘膜)・肺」でおこなわれます。これも、同じURLを参考にして下さい。また、ご質問には「変態すると」とありますが、アホロートルは基本的に変態しませんから「性成熟する頃に、肺が形成される」と考えて下さい。ご質問が強制的に変態させたアホロートルに関するものでしたら「変態後の呼吸方法は、皮膚と肺である」と言えると思いますが、これらのガス交換の比率には不案内です。申し訳ありません。
(補足): これは2014年4月28日付の回答である。
これは両生類に限らず、野生動物一般に言えることなのですが、視力が余り良くない動物は、目の前で動く物体が自分の口より小さければ「餌」と認識して捕食行動を採り、自分の口より大きければ「捕食者」と認識して回避行動を採ります。つまり、自ら動くことの無い固形飼料を餌として認識することは、通常、自然界では起こり得ない現象なのです。従って、飼育下にある動物が固形飼料を餌として認識するには何らかの動機付けが必要で、その場合、嗅覚による認識があると考えるのが普通です。
(補足): これは2014年4月28日付の回答である。
これも「食の嗜好が変わったから」というよりは「固形飼料が動かないので反応しない」と考えるのが自然でしょう。また、陸上と水中は不連続の異なる空間ですから、陸上の個体が水中の匂いを嗅げないのは当然のことで、餌が同一の空間に在ることが必要不可欠です。従って、陸上では自ら動く餌を供給する、あるいは給仕者が餌を動かしてやる必要があります。
(補足): これは2014年4月28日付の回答である。
これらのご質問に対する回答は、既に、このサイトに示してあります。通常飼育下にあるアホロートルが変態しないのは、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに問題があるからだと考えられています。
(補足): これは2014年4月28日付の回答である。
先の回答、及び既存の回答では「通常飼育下にあるアホロートルが変態しないのは、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに問題があるからだと考えられています」という曖昧な書き方をしましたが、これは「このホルモン(TRH)が出ていない」という意味ではありません。ラジオイムノアッセイを使用した研究では、アホロートルの「視床下部(hypothalamus)」には充分な量の TRH の存在が確かめられています。しかし、アホロートルの TRH は、なぜか甲状腺刺激ホルモン(TSH)の放出を刺激できないようです(だから「問題がある」という書き方をしているわけです)。従って「飼育環境の水位を下げることで、アホロートルを変態させることが出来る」という事実からは「視床下部で何らかの回路が繋がって、TSH の分泌が促進された」と考えられます。
(補足): これは2014年4月30日付の回答である。
両生類の変態に必要なホルモンは、甲状腺ホルモンです。つまり、このホルモンが存在すれば両生類は確実に変態しますので「アホロートルに甲状腺ホルモンを造る能力はあるが、視床下部が造れという命令を下さないから、変態しない」と考えるのが正解だと思います。強制的に変態させたアホロートルが「継続的に」脱皮をしているのであれば、変態後に TSH の分泌が促進された可能性があります。
最後になりますが「アホロートルの変態の研究には、150年間の歴史がある」という現実を心に留めて、研究を続けられることをお勧めします。
(補足): これは2014年4月30日付の回答である。